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3Dセキュア2.0とカード利用について説明させてください

4/1(月)より、GPARTSでのクレジットカードによるお買い物利用時に「3Dセキュア2.0」という聞き慣れない機能が実装されました。

「3Dセキュア2.0」とは、簡単に説明すると、クレジットカードの不正利用のリスクをより軽くするための本人認証のシステムです。

これが実は説明がちょっと大変なんですが、多くの方に知っておいてほしい内容なので、敢えて今回書くことにしました。

■カード不正利用の横行を防ぐ仕組み

ネットショップの場合、決済時にクレジットカードを使ってお買い物をする方の率は月に8割以上です。

以前は「代金引換」や「銀行振込」のお客様も一定数おられましたが、代引きはキャッシュレスの登場により大幅減少、銀振は振込手数料が上がるなどお客様の負担も多くなっているので、GPARTSでも今はほとんどがクレジットカードでの決済です。そしてカードでのお支払いのお客様が多いと、どうしてもトラブルも増えていきます。

ネットショップでのクレカの不正利用って、どれくらいあるかご存知ない方が多いと思いますが、実はこれまで、GPARTSでもそういった懸念のある注文が過去何十件もありました。多い月では1か月に2件~3件ということもあります。

「そういった懸念のある注文」と書きましたが、つまり不正利用は出荷前にある程度察知ができます。ではこのクレジットカードの不正利用を、どうやってショップで判断するのか。

これ実は、漏洩したカード情報の使い道や使い方などにパターンがあるからです。

例えば、お店にクレジットカードでご注文が入ります。
不正利用の場合、その注文内容が単品で高額品であることがほとんどです。
これは、カードで不正に購入したものを、最終的には転売して利益を上げるのが目的だからです。

更に、購入商品のお届け先が、過去に不正利用で使用された住所であること、もしくは一部住所が当てはまるケースが多いです。

この「不正利用された履歴のある住所」というのは、各クレジットカード会社から店舗に情報共有されているので、出荷前にそれをショップ側で確認することで、不正利用されるリスクを減らすことができるようになっているのです。

ただし、高額品でない場合や、これまで使われたことのない住所の場合などはその限りではありません。つまり、お店を運営する人間の経験や、共有されている過去の履歴の確認によって防止できているというのが現状です。

■お客様とお店の負担を同時に軽減する本人認証

カード番号以外に、セキュリティナンバー(カード裏面やカード番号の右肩上などに記載の3ケタの番号)を追加で入力しなければ購入できない店舗さんでお買い物された方もいらっしゃるでしょう。これは「3Dセキュア1.0(以下「1.0」と記載)」という本人認証の仕組みです。

「1.0」はカード決済番号以外に追加認証が必要な不正利用防止の仕組みなので、この「1.0」が導入されていると、当然すべてのクレジットご利用の方に追加認証の入力を強いることになります。

つまり、もしカードを手元にお持ちでない場合は利用できなくなってしまうわけです。

そのため、購入に至る過程でひと手間が増えて途中離脱が増えてしまい、購買率を下げる可能性があります。これはお店としての大きなデメリットに繋がります。

ショップとしては不正利用は防ぎたい、でも追加認証をすべての方に行うと、高い確率で購入ステップにハードルが増え、購入されにくくなってしまう、それはできれば避けたい・・・。

お客様としては、セキュリティの高いショップでお買い物をしたい、でも面倒な入力が増えれば増えるほど、楽しいはずのお買い物が、面倒な作業になってしまう・・・。

そこで「2.0」では、そのカードの利用履歴などから、普段と異なる購入行動が認められる時だけ、追加認証を行うというアップグレードされた仕組みが導入されているのです。

3Dセキュア2.0の本人認証システムの概要

※上の画像は、G PARTSが導入しているGMOイプシロンという大手決済代行会社のサイトから拝借しています。

この「リスクベース認証」というのが「1.0」ではなかった点で、「2.0」では自動的にこのリスクを判断する仕組みになっていますが、「低リスク」と判断された場合は追加認証はありませんので、ショップ側の懸念は少なくなります。当然、いつもご利用されるお客様にとっても、毎回本人認証を求められるわずらわしさが無くなるので、快適なお買い物ができます。

逆に、不正利用をしようとする側にとっては、不正入手したクレジットカードを、持ち主の使ったことのない環境から使用しようとするため自動的に「高リスク」と判断されて、決済前に厳しい本人認証を求められるので、簡単には不正利用ができなくなる仕組みです。

■「チャージバック」のリスクは低くなる

「チャージバック」という言葉、ご存知ない方も多いと思います。

これは、クレジットカードを使う方には知っておいてほしいシステムなんですが、カードの不正利用の被害にあった方が、身に覚えのない支払いは拒否することができるという仕組みです。

当然ですが、お店にとってはマイナスだらけの仕組みです。
なぜならチャージバック申請はカード決済額の引き落とし後に返金を求めるものなので、製品が出荷された後だからです。

仮に製品が届いていれば返送してもらえばいいわけですが、上で述べたように、不正利用をする側は「高額品を転売すること」が目的ですから、ご本人に届いては全く意味がありません。

つまり不正利用されたショップにとっては、もし製品を出荷してしまった後でチャージバックの申請を受けると、製品も戻らず、売り上げも返金しなければいけないというダブルのダメージを食らうわけです。

これが「チャージバック」という仕組みなんですが、店舗が「2.0」を導入している場合、クレジットカード会社がこの不正利用の返金の負担をすることになっています。つまり、不正利用時のショップ側の実質的かつ精神的負担は大きく減少するのです。

これまで消費者に、この「チャージバック」という返金の仕組みの認知度があがらなかったのは、お店側が一方的に負担しなければならなかったという、少し歪んだ仕組みの影響もあると私は思っています。

しかし「2.0」以降の今後は、基本的に「チャージバック」自体が店舗の負担とならなくなるため、できるだけ多くの通販店に導入してもらい、お客様にとってはこれまで以上に安心して利用できることを広く認知していくことが大切になってくると思います。

■安心して使えるネット通販であること

これからこの通販という業界には、もっと業界全体のモラルの向上や、消費者向けの情報提供を細かく行っていく取り組みが必要です。

相変わらずネット通販のトラブルは後を絶たず、偽サイトや偽ブランドコピー品などを平気で売る通販会社などが摘発されるケースも相次いでいます。

昔から全く変わっていません。
そういったトラブルが多いのには、業界のモラル以外に、今回の「3Dセキュア2.0」のような使う側、お店側、双方にとって運用、理解しやすい仕組みの周知が進まなかった事も原因のひとつです。

因みに「2.0」は、2025年3月までに、すべての通販店に導入が必須となりましたので、これから一気に加速するはずです。

その結果、この仕組みはネット通販をめぐるトラブル拡大の抑止力のひとつに確実になると思われるので、ぜひあまり知識のない若い方を含めて多くの方に知っていただき、社会全体でこういう空気を作っていってほしいなと感じます。


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