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[二つの嘘]第二話



喧嘩が毎日続いている、ついには離婚を検討しているようだ。

母が自分の部屋に入ってきた。涙を流しながら。

“ごめん。離婚するかもしれない。弟と離れ離れになる。ごめんね。あなたは私についていくしかいないの、弟はお父さんに引き取られると思う。お父さんにとって血が繋がっているのは弟だけだから”

と母が発狂しそうに言っている。

一瞬頭が真っ白になった。

前々から知っていたけど、母の口から言われるとこれまた違う感覚。

その後、どうやって喧嘩が収まったのかは自分は覚えていない。

今は自分も大人になり、親も歳を取った。

家庭内で喧嘩することも減った。

"今日の夕飯は何が食べたい?好きなのなんでも作るよ"

そう父は言った。

今でも父は知らない。

自分が遥昔に知っていたこと

今でも自分はこのことを父には言わない。

言う必要性がない。

だって幸せだから。

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