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みちのく一人旅 DAY3-1 平泉とシルクロードとアンコールワット

平泉

3日目。3/31。一関を8:00に出発し8:30に「道の駅平泉」。この日は平泉に半日滞在してじっくり史跡を巡る計画だったので道の駅に車を置いて歩き始めます。この旅唯一の雨でしたが、雨の平泉というのも味があってなかなかよいものです。平泉は北海道の中学校の修学旅行定番スポットなのですが、自分が中学生の時は震災の影響がまだ色濃く残る時期ということもあり関東方面への旅行だったため今回が初めての平泉。一歴史ファンとして楽しんできました。

高館義経堂

道の駅から平泉を反時計回りに巡るとまず最初に「高館義経堂」。源義経最期の地とされる場所で、北には衣川。小高い丘の上に義経を祀る祠があります。が、ここの見所は東側の眼下に静かに流れる北上川を望むこと。北上川そのものは平泉のどこからでも望むことができますが、大抵は国道や東北新幹線、東北本線が被って見えるもの。ここから見る北上川は人工物が重なっていないので、義経や奥州藤原氏が生きていた平安末期または江戸期に芭蕉が見た北上川に近い風景なんだろうと思います。北上川はこの地で産出される金や馬などをこの川の水運を利用して各地へ運び東北に一大経済圏を作り上げた奥州藤原氏の力の源でもあり、平泉を代表する景観です。

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中尊寺

義経堂から中尊寺へ向かう途中で東北本線の踏切を越えます。ちょうど盛岡方面へ向かう貨物列車が通り過ぎます。「普段北海道に届く荷物は平泉の風景を通っているんだな。」そんなことを考えながら中尊寺へ。
金色堂へ続く美しい松並木の長い参道を30分ほど登っていきます。ちょっとした軽登山。長い参道が金色堂になかなか辿り着かせてくれないのが中尊寺のいいところ。まさにコト消費。

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金色堂内は撮影不可となっているので写真は手前から。平安末期、源義家などが活躍した前九年、後三年の役で亡くなった人々の霊を敵味方の区別なく慰め、このみちのくに争いのない平和な社会を建設する!という藤原清衡(奥州藤原氏初代)の願いが込められた中尊寺。「非戦」の地をかみしめながら歩きます。金色堂内は電球に慣れている現代人からすると「圧倒されるような光り方」とは違うのですが、当時の平安期はもちろん電球のない時代。金が放つ独特の存在感ある光は、当時の人々に感動を越えて恐ろしさすら感じさせたかもしれません。

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平泉文化遺産センター

1時間半ほど中尊寺をじっくり巡り毛越寺方面へ。途中に平泉文化遺産センターという無料で入れる資料館があるのでもちろん見学。中尊寺や毛越寺にも資料館がありますがお寺にあるやつは仏像などの美術品を展示する宝物館要素が強く、こちらのセンターはパネルで平泉を分かりやすく紹介する施設です。
最も興味深かったのは世界地図に仏教伝来ルートとアジアの各都市を記したパネル。平泉はシルクロードから中国の敦煌を経て東に移動したところ。インドで誕生した仏教は小乗仏教が東南アジア経由で伝わり東端がカンボジアのアンコールワット。大乗仏教は中国を経由し飛鳥時代の日本に伝わりその東端が平泉。そうか、平泉は日本のアンコールワットなのか。しかも、奈良や京の中央権力ではなく当時は辺境の地であった東北の地方豪族の元にこれだけ豊かな仏教文化が花開いたことにものすごく意味があるような気がします。安宅関(石川県小松市)を舞台にして歌舞伎で有名な勧進帳が生まれたのも、当時奥州藤原氏が日本海航路をがっちりと押さえていたことの証でもあるらしく。最終的に頼朝に滅ぼされてしまったとはいえ、結構過小評価されている一族なのでは?と考えてしまうのでした。

毛越寺

センターを出て平泉の端にある毛越寺へ。途中、金鶏山に登りました。
中尊寺と毛越寺の中心にあり、借景として平泉の風景を引き締めている山です。眺望はあまり良くないのですが、歴史ある山に登るのは楽しいものです。片道10分くらい。

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そして毛越寺。建物は残っていませんが、とても綺麗な浄土庭園が残されており一周すると20分くらいかかる広い庭園です。下の写真の程よく傾いている石は荒波に洗われる磯の風景を表現しているらしく、庭園全体の風景を引き締めています。

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柳ノ御所遺跡

毛越寺を鑑賞して道の駅へ戻ります。ここまで約3時間。初めての平泉をじっくり楽しみました。最後、道の駅の脇にある柳ノ御所遺跡へ。平泉では元も新しく発掘が進んだ史跡で、北上川の右岸に奥州藤原氏の政庁兼屋敷があった場所。寺院である中尊寺や毛越寺よりも、平泉を象徴する場所かもしれません。メジャーな遺跡だけではなく、大河ドラマのエンディングで1分くらい流れる「○○紀行 」みたいな場所(上手く伝わるかなこの例え)に本当の歴史の痕跡が眠っていたりするわけです。

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道の駅平泉で南部せんべいをたくさん買って平泉は終了。もう少し岩手の東北道沿いを見てみたい気持ちもあったのですが、平泉を出発後はこの旅もう一つの目的地、東北太平洋側へ向かいます。平泉は、季節を変え時代を変え一緒に行く人を変えてこれからも訪れたい素敵な場所でした。

次回は「DAY3-2 遠野物語と後方支援」です。今回もありがとうございました!

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