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【産後パパ育休通信Week4】 ChatGPTで見る男性育休のリスク

早いもので5週間の育休期間もついに最終週。ベビーのいる生活も当たり前となり、マインドとしてはかなり復帰モードへ切り替わってきています。

総括も兼ね「育休ってどうだったの?」という点について、メリット・デメリットの観点から2回に分けて掘り下げますが、後味が悪くならぬようあえてデメリットから論じていきます。


生成AIとの対話

「男性が育休取得することのメリットとデメリット」について今やお馴染みの「ChatGPT」に聞いてみた。すると、デメリットについて以下の回答が得られた。

① キャリアへの影響
男性が育休を取得することで、一時的に仕事から離れることになります。これにより、昇進やキャリアの面での競争力が低下する可能性があります。

② 社会的な偏見やステレオタイプ
男性が育休を取得することは、まだ一部の社会においては異例と見られる場合があります。周囲からの理解やサポートが得られないことがあり、社会的な偏見やステレオタイプに直面するかもしれません。

③ 経済的な負担
男性が育休を取得すると、一時的に収入が減少することがあります。育休中の生活費や家計の調整が必要になるため、経済的な負担が生じる可能性があります。

これらについて、実際に取ってみた人間が検証をしていくことにしたい。

① キャリアへの影響

真っ先に浮かぶのはやはりこれ。自分は「社会的ブランク」というワードが浮かんだが、リスク因子は様々なのでもう少し解像度を上げていきたい。

1-1. 偶発的な炎上リスク

育休に入るまでは「育休期間は大変で辛いことが多い」と想像していたが、自分の場合はむしろ、育休取得前の勤務の方が遥かに辛かった

自身のキャリアの中で最長の休業期間になるわけだが、「権利を享受するには職責を果たさねばならない」(権利ばかりを主張する人間になりたくない)という信条から、仕事は普段以上に捲り(普段からやれよという話だが)、相当入念な引継を行って休業に入った。

自分としては最大限のリスクヘッジをしたつもりではあるが、相手がある商売なので、偶発的な炎上リスクはある。

・自分にも顧客にも非はないが、第三者等外部要因でトラブルが発生するリスク
・自分に非はないが、顧客側の瑕疵や言いがかりにより現場が対応に疲弊するリスク
・自分に非があり、入口で自分がリカバリーできないことで傷口が広がるリスク
・自分にも顧客にも非があるが、入口で自分が整理できず収拾に時間を要するリスク

要は「自業自得で炎上するリスク」「自分のあずかり知らない事象で炎上するリスク」いずれもあるのだが、各々に言えるのは初動を自分が収められない(上位者などが適切に把握し対処することができない)ことで必要以上に傷口が広がる恐れがある。

復帰早々、火消しに追われることになれば、その後の勤務正常化は遅れ、休業期間以上の実質ブランクになる恐れがある。

もっと悪いシナリオとしては、責任が(不当に)自分に向けられること、責任が自分に向かなくても上司が責任を問われチームのマネジメントに支障が及ぶことが考えられる。

こうなると、自分のキャリアステップに中長期にわたり影響を及ぼすリスクがある。

とはいえ、リスクをゼロにはできないので、ある程度はリスク受容しつつ、入念すぎるくらい引継をしておく(そもそも日常的に職場や顧客とのコミュニケーションをベタベタ取っておく)ことでリスクを極小化することはできると思う。

もっとも、この答え合わせは復帰後にすることになるのだが―

1-2. 日常業務へのキャッチアップ

かつて、妻が長女出産に伴う1年間のブランクを経て復帰した際に語っていたのは「1年間で人も業務もかなり変わり、最初は追いつくだけで精一杯だった」ということであった。

この点は、男性に限らず共通して(むしろ超長期で育休取得する女性の方が)困難な点である。

自分の場合は5週間なので、社内体制に大きな変化はないだろうが、休業期間中にいったい何百件のメールが溜まっているのだろうか。考えただけでも吐き気がする。

復帰後、いきなり営業を捲るなど恐らく出来るはずもなく、しばらくは後れを取り戻すことに腐心するだろう。

1-3. 競争力の低下

一般的に、現実的に、これが最大のリスクだと思うが、その要因としては以下の2点に大別したい。

第一に、ブランク期間に人事評価はできないということ。

世の中には男性が育休復帰早々、左遷同然の異動を命じる残念な会社もあるようだ。
そうした不当な差別はあってはならないが、だからといって休んでいた人を厚遇するロジックも基本的には見当たらない。働いていないのだから当然といえる。

特に、昇進の条件に勤続年数を課す年功型の企業であれば、相対的に出世が遅れることも想定される。

第二に、男性の育休取得に対し評価者である上司が「本質的に」理解があるかどうかは不透明ということ。

これはChatGPT先生が②で述べていることと重なるが、男性が育休を取得することについて我が国ではまだ異例とみられるリスクは十分にある。

国策や時代の流れから男性の育児参画、ダイバーシティが叫ばれる昨今では、男性育休に異議を唱える上位者もだいぶ減ったように思う。実際、自身も職場の上司からは気持ちよく送り出してもらった。

ただ、本音と建前が一致しているかはわからない

そう思う根拠として、上位者の多くは育休など取っていない(男は仕事、女は家庭の時代を生きてきた)ことが挙げられる。

ここで言う「理解がない」というのは単なる批判ではなく、自身の経験が乏しいため本当に理解していないというリスクも含む。

「乳も出ない男がずっと家いて何するの?」「そんなに長く休んでもやることなんてない」ということを純粋に考えているリスク。これが「本質的に」というところの真意である。

会社は仕事をするところであって、仕事一筋・馬車馬のように仕事をこなしてくれるAさんと、WLBを重視して休暇や早帰りでブランクを作りがちなイメージのあるBさんがいたら、Aさんの方が登用しやすいということは冷静に見るべきところかと思う。

自分の場合は年次的にもある程度やることやってるという自負のもと「文句は言わせない」くらいの気持ちで申請したが、例えば、成長途上でスランプに陥っている若手社員のようなケースであれば、取得をためらう、あるいは長期間の育休取得を断念する、といたネガティブな選択をしてしまうことがあるのではないかと思う。

こうしたリスクについてもゼロにはできないが、極小化する方法はある。
それは、自分自身が上司に理解を促すことである。

一つは「事前に」高める方法。そもそも産後パパ育休など制度の概要すら怪しい上司も少なくないはず。そこで、話題の中で「さりげなく」レクチャーして上司側の理解度を予め高めておくという手はある。

もう一つは、「事後的に」理解を促す方法。実際に自分が取ってみて、どんなルーティンをこなしていったかを積極的に発信する。会社が許すなら男性育休をテーマに自ら講師となって研修を開催してもいい。これにより、上司ひいては職場のバイアスを払拭していく。

② 社会的偏見やステレオタイプ

  1-3で述べた通り。

③ 経済的な負担

意外と知られていないが、育児休業期間は基本的に無給(福利厚生で一部有給となる会社も)。代わりに雇用保険から、当初半年=休業開始時賃金の67%、それ以降=50%の育児休業給付金が支給されることになる。

産後パパ育休については、男性の育児参画向上を実現すべく給付率を引き上げる検討がなされているが、休業期間が長期になるほど家計維持の面ではリスクとなりうる。

その他、賞与や退職金も基本的には休業日数分減額されるケースが多い。共働き世帯であれば2人分の経済的ダメージになるし、専業主婦家庭であれば一馬力のパワーダウンになるので、1-3同様、取得をためらう、あるいは長期間の育休取得を断念する要因になりやすい。

この点、男性が育休を取得することで経済的メリットを享受できる制度設計を国が主導していくことが重要であると考える。

かつてドイツも日本同様、出生率低下に悩んでいたが「両親手当」の育児休業給付制度創設により受給権を両方の親に付与(14か月の受給可能期間のうち、2か月分を片方の親が取らなければ失効)した結果、出生率は改善。男性の育児参画により「子供を産みたい」という家庭が増えることがわかった。

④その他

筆者が考えるリスクとして「心身の不調」「家庭不和(=夫婦で長時間生活を共にすることやパパの育児遂行が不十分であることなどによる紛争)」が挙げられるが、文字数がかさんだため割愛。だいたい前回書いた通りなので、よければご参照いただきたい。

次回は、育休最終週として育休取得のメリット(こっちが本題です)を掘り下げたいと思います。

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