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【お盆ver/無料】日本株暴落と今後の着眼点 2024年vol.31 8月5日週振り返りと8月12日週見通し

↓先週記事こちら


今週は月曜日に”令和のブラックマンデー”ともいわれる日本株式の暴落があり、色々あった週に感じておられる方も多いかと思いますが、実際はそこまで多くの出来事が起こっているわけではなく、冷静に相場を分析すると着眼点は多くないのが私の相場認識です。

本日から19日までの11連休をいただいており、gooseは夏休みですので、今週の記事も簡略verでお届けいたします。相場も薄いので、あまり取引機会は多くないと思います。ただ米指標で少し動く可能性があるので、何が着目されるのかだけは書こうかと思います。



今週振り返り要約


日銀利上げ

8月5日の日経平均株価は、約4450円の株安と過去最大の下落幅となりました。この要因はいくつかありますが、7月日銀金融政策決定会合による利上げ、米国経済の景気後退懸念の2つが大きく影響しているものと思われます。

日本は2024年3月に17年ぶりの利上げを行い、7月には0.1%→0.25%に利上げ(短期金利上昇)と長期国債買い入れ額の減額(長期金利上昇)を行いました。日銀が利上げを行った理由は、長期的なインフレ見通しが立ったこと、金融市場の安定化(国債流動性正常化)の2つと思われますが、市場からは実質賃金がマイナスであるにも関わらず、利上げするのは早いという声もありました。私も少し早かったかなとは思っています。

日銀の利上げは日本経済にとって少しでもブレーキをかけることになりますので、株価が少しばかり下落するのは仕方のないことではありますが、思っていたよりも影響を過大評価している人が多かったようです。これは日銀植田総裁が会見で追加利上げを匂わせたことも関係しているでしょう。

日銀が利上げしたといっても、15bpの利上げでしかなく、日銀は中立金利を最低でも1%程度とみているようなので、会見でも言っていたように、利上げしても緩和的な状況には変わりがないです。住宅ローンを変動金利で組んでいる人は支払いが増えますが、その影響は3500万円を30年ローンで組んだ際に、月々3,000円(年間36,000円)程度の支払い増加になるくらいの話であり、インフレして賃上げされることを加味すると、影響は相殺されます。

寧ろデフレから脱却し、インフレするようになったことを喜ぶ声もあってよいかと思いましたが、日銀への不満が多かったですね。円安批判をしていた人は手を返して、利上げを批判するようになったので、SNSは批判したがりだなとつくづく思います。

そんな話はいいとして、日本が利上げして日本が景気後退するかというと、GDP見通しは悪くなく、今後安定してインフレできることを考慮すると、日本の景気後退の懸念は見られないとみています。

株が暴落した翌日の8月6日に家計調査という、日本の賃金動向をみる指標の1つがありますが、その結果にて27か月ぶりの実質賃金がプラスになったことが明らかになりました。これは賞与ボーナス込みということもありますが、春闘による大幅賃上げ達成に加え、着実に賃上げに繋がっていると思われ、植田総裁はこれを見越していたのではないかと思います。(タイミング悪い、、)


米景気後退

そして次に世界がもっと気にしていること、米経済の景気後退ですが、大きなインパクトを与えたのは、先週金曜日8月2日米雇用統計でした。

米国株は米金利安期待の株高を織り込んでいる状態に、雇用統計での失業率が4.3%と想定よりも悪化していることから、リセッションを想定した株売り状態になっています。よって最もリスクオフらしい株安・金利安(米国債買い)となりました。この米雇用統計をきっかけに9月利下げはほぼ確実視されているだけでなく、利下げ幅50bpや年内もう1.2回の利下げをする声も出てきています。

しかし、FOMC後のパウエル氏の会見からも、労働市場のバランスがとれてきた、インフレは低下している状態ですので、金利を高水準に保つことでインフレ熱を冷めさせることは大切ですが、労働市場までも崩壊させては意味がないですので、ある程度のバランスを取りながら、ソフトランディングを誘導することを目的としています。よって、FRBとしても利下げをすることでバランスをとって、安定した経済成長を促すつもりですので、市場の関心は、今後の利下げで経済の安定性は保たれるのかにあります。

しかし、米雇用統計が思ったよりも悪かったこと、金利安を織り込んでこれ以上の株上昇の期待が薄れているタイミングだったことから、米経済を中心にリスクオフを織り込む展開となっていた、少し過剰に反応してしまったものと思われます。

恐怖指数のVIXが一時暴騰するなど、市場のパニックぶりが見て取れます。


その他株価暴落要因

よって、世界的な景気後退が危惧される不安定な状況に、日本の利上げ(将来的な利上げ)が重なったことから、月曜日も大きな下落の引き金を引く結果となりました。

また、この日本株の暴落は上記の2つのメイン材料とし、円安キャリートレードの解消売りが売りを呼ぶ投機的な売り、ウクライナロシアや中東情勢の悪化も関係していると考えています。

日本の利上げと米景気後退となると、将来的なドル円金利差の縮小、つまりドル円の下落が起こります。これまで安く円を調達して日本株を買っていた人はそれを解消するために、割安で買っていた日本株を売却する、これが円安キャリートレードの解消です。日本株は海外投資家による売買の影響も大きかったので、暴落をアシストする要因となりました。

そして売りが売りを呼ぶことに関しては、売りで利益をとる輩のようなものだけでなく、投資機関による先物売りも関係していると思われます。多くのポジションを保有する投資機関は瞬時に一気に株を売却するようなことはできません。ただし今回の暴落時には指をくわえて眺めるようなことはせず、下がる相場において損失を回避するように両建てポジションをとるために売ります。これが買いよりも売りのほうが早いと言われたり、そのポジションを解消するために急落後に急騰する「デッドキャットバウンス(語源:死んだ猫でも叩き落せば跳ねる)」が起こったりする要因かと思われます。

最後にウクライナロシア戦争や中東情勢ですが、最近あまり情報を追うことが出来ていませんが、ウクライナはロシアの国境にまでかなり近づいている模様ですし、ハマス幹部をイスラエルが〇害するなど、戦況が着実に進行し、リスクも高まっているかもしれません。


米指標振り返り

これらの多くの要因が重なり、パニック売りにつながってしまったのではないかと考えています。すでに日経平均株価は月曜日の始値をを上回っており、次の日の月曜日には大暴落からの大暴騰をしており、いかに投機的なパニックだったかが分かります。

しかしこの株の買い戻しに関して重要なのは、「ただのパニックだったね。もう大丈夫だね。」というわけではなく、米指標によって景気後退懸念が若干解消されていることも関係しています。

8月5日(月)米ISM非製造(サービス)業の景気指数や雇用者指数が上振れたことによって、景気後退懸念が少し解消されています。

また、8月8日(木)米失業保険に関する統計でも、特に問題なく、寧ろ少し安心材料になる結果が得られたことも株の買い戻しにつながっています。

しかし戻したといっても、高値から3割程度戻したくらいであり、まだまだ油断はできない状況が続いています。今は夏の枯れ場という薄い相場であること、8月中旬のジャクソンホール会議、米大統領選挙を控えていることもあり、様子見している人も多いことでしょうから、景気後退懸念が払しょくされれば、年末にかけては上昇基調が保たれると考えています。ただ、これまで以上の強い上昇率には期待しすぎない程度の安定した、前のような株上昇推移をイメージしています。


8月12日週見通し

これまではインフレ退治に必死でしたが、今は景気後退懸念がトレンドですので、インフレ指標よりも景気後退に関する指標のほうが注目が高いと考えています。

<相場材料>
※8月12日(月) 日本休場
8月13日(火) 米生産者物価指数PPI
8月14日(水) 米消費者物価指数CPI
8月15日(木) 米小売売上高、フィラデルフィア連銀/ニューヨーク連銀製造業景気指数
8月16日(金) ミシガン統計

インフレ最重要項目の米CPIがあり、勿論重要ではあるのですが、上振れた時のリスクが高い程度で、予想を大きく上回らなければそこまで影響ないと思います。動くのであっても、方向性の想定ができませんので、トレード好機には思えません。

8月12日週は木曜日の米小売売上高が注目されそうです、GDPの7割を支える米消費の参考指標になりますので、景気後退を伺う指標になります。その他の製造業景気指数も注目はされます。

8月12日週は相場も今後の様子見週になる気がしています。米金利も株価もある程度戻しており、指標がもし景気後退を想起させる悪いものだったときに、米金利や株価は底を確かめたいのではないかと考えています。

米10年金利の目安は4.2%程度かなとみています。

ちなみにドル円はファンダメンタルズ的に短期的な方向感はなく、トレードに向いているとは思えないので、見通しは特にありません。150.700-151.000あたりはテクニカル的に売りポイントになるかなくらいです。

お盆でお休みの方も多いと思いますので、身体(資本)をしっかり休むとともに、時間があるからトレード頑張ろうなんてことはやめましょう。相場が薄く、いつものようにいかない・変にボラが出る可能性のが高いと考えていますので、トレードするにしても引き付けが必要です。

ではよい週末を。


今回もご精読頂き
誠に有難う御座いました😄

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