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045 私の使っている対話の技法3つ

ビジネス対話において必要なスキルを分類すれば、次の3つになる。

①基本スキル>傾聴スキル

②1回ごとのセッションスキル>マイクロ技法

③1人のクライエントに中長期で使う統合的スキル>システマティックアプローチ

今回はこれら3つの技法を説明する


傾聴

傾聴は、カウンセラーやコーチのみならず、コンサルや士業など支援者なら不可欠なスキルである

いや、支援者に限らず接客でも営業でも、必要なスキルじゃないかな

そもそも相手のニーズをしっかり把握しなきゃ支援方針は定まらないのだから、「まず傾聴」は当たり前の話だと思っている

来談者中心療法とは?
提唱者:カール・ロジャーズ
◆概要:傾聴していれば助言しなくてもクライエント自らが気づき成長できる(傾聴の3原則)

三原則その1「共感的理解」

(意味)相手の感情を、あたかも自分事のように感じ取ること、と同時にそれに巻き込まれない立場を保つこと

三原則その2「無条件の肯定的配慮」

(意味)相手の話を善悪の評価や好き嫌いの評価をせずに聴く

三原則その3「自己一致」

(意味)こちらが感じていることと相手に対する言葉や態度が一致している状態を意識的に保つ

マイクロ技法

上記の「傾聴」は、ほとんどの人間関係において有効だけど、仕事のばあい傾聴だけじゃ展開面で物足りなくなる。

仕事は「時間当たりの生産性」と「具体的な課題解決」が求められているからね

従って、「助言」「フィードバック」「説明」、時には「支援者側の自己開示」などが必要になることがある

これを体系化したのがマイクロ技法である(「マイクロ」という言葉には、一つ一つ小単位ごとに区分し順次着実に進める意味がある)

マイクロ技法の構造

上の図を見て気付いた人もいると思うけど、「助言」や「説明」は「積極技法」に区分され、基本的技法から外されている

つまり、必ずしも必要ないんだよね

傾聴していれば、助言などなくてもクライエント自らが本当のニーズや必要な解決策に気づくからだ

ちなみに私の場合、上記の「基本的かかわり技法」が9割って感じかな

特に最初の10分くらいは、うなずき、あいづち、伝え返し中心である

もちろん、クライエントの話しやすさが大事なので、不自然にならないようにあたかも雑談のように楽しく進めている

システマティックアプローチ

上記のマイクロ技法を使って対話すれば、クライエントにとって非常に話しやすい対話になる

経験則だけど2時間もかければ大概の悩みは解決される

お互いの自己開示の度合いによってはU理論で言うところの「プレゼンシング」段階に達することもある

だけど、これだけじゃビジネス対話としてはまだ足りない

確かに、プレゼンシング状態まで対話が深まれば、「本当の自分らしさ」に気付き、直感も湧きやすい

そこからイノベーションやリーダーシップの発揮につながるだろう

でも、その領域に達するのはそんなに簡単じゃない

経営者クラスでも、十分な自己開示と自己探求なしには難しい

ましてや外的動機で働かされている者が、そこまでの開示や探求をすることはまずない

彼らに必要なのは、もうちょっと手軽で、内的動機を涵養する中長期にわたる仕組みなんだよね

それに応える手法が「システマティック・アプローチ」である

一般財団法人日本職業協会のHPより

上の図を簡単に説明する

システマティック・アプローチのやり方
①「マイクロ技法」で対話する
②支援目標を設定する
③方策の言語化を促す(宿題の場合が多い)
④一定期間(通常2~4週間)後に③の結果について話し合う
⑤再び①へ戻る
⑥このサイクルを何か月か続ける

筆者作成

読んで分かるとおり、PDCAと同じである

もしくはコルブモデルかな

システマティック・アプローチなどと言うと、マニアックな技法のように思われそうだけど、決してそんなことはない

多くのコーチングや企業内での「1on1」で使われているいたって普遍的なやり方

つまり誰でも簡単にできる

注意点は、傾聴、マイクロ技法、システマティック・アプローチ、この3つ揃わないと、あまり効果がないこと

とくに傾聴のできていない人がいきなりシステマティック・アプローチをすると、目標や方策の設定が指示的になり、逆効果になるから注意しようね

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