![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/114434571/rectangle_large_type_2_25e3dedc7e219a3355d9dc51760a57f0.png?width=800)
009 社員の主体性を高めたいなら方針づくりをさせたらよい
ときどき社長から「うちの社員ももう少し主体的になれば…」みたいなことを聞くことがある。
でもこの言葉にはやや違和感がある。
主体的な人とは目的自体を考え出せる人のことなんだけど、だとしたら、この会社には目的を考え出せる人が少ないということになる。
つまり、ワンマン企業である。
社長が「個人的な目的」を達成のために会社を立ち上げ、言うことを聞く社員を集め、トップダウン型のマネジメントをずっと続けているうちに、それがすっかり定着しているだけの話。
そもそもワンマン企業は組織じゃない。
改めて組織について考えてみたい。
当たり前だけど、人さえ集まれば組織と言うわけじゃない。
それでは運転免許センターに集まった更新時の集団だって組織になってしまう。
では、組織の定義は何か?
バーナードの定義では、「共通目的」「コミュニケーション」「協働」の3つが揃うことである。(チェスター・バーナード「組織の3要素」)
社員たちが共通目的に向かって、それぞれ自分の役割を果たすために有機的に動くようになった時、組織と呼ばれるってこと。
冒頭に書いた「主体性」はこのことを意味している。
社員みんなが主体性を発揮するためには、まず「共通目的」が必要であり、それを作り出すにも、維持するにも、「コミュニケーション」「協働(貢献意欲)」が必要ってことだ。
どうだろう? ワンマン企業と真逆なことが分かると思う。
社長の個人的な目的で動く集団を「ワンマン企業」。
社員みんなの共通目的で動く集団を「組織」。
主体性は組織にならなければ現れないんだよね。
社員を主体的にするには経営理念づくりに参画させることが近道
確かに昭和のころなら、ワンマン企業はそれなりに有効だった。
市場は今よりずっと単純だったし、働き手のニーズも「物質的に豊かな生活」だったからね。
でも、IT革命以降、世の中はすっかり変わり、「多様性」と「心理的成功」の時代になってしまった。
社長ひとりの能力じゃ市場適応も難しいし、働き手は自己実現可能性のある会社を選ぶようになっている。
じゃあどうしたら良いのか?
結論を言えば、社長から社員に「目的立案権」を移譲すれば良い。
ただし、「今日から君たちに目的立案権を移譲するから、後はよろしく!」と言えば良いのかと言えば、そんなことはない。
移譲するためには、すでに社員たちが主体的になっている必要があるからだ。
つまり、権限移譲と主体性は、鶏と卵の関係だから、次のステップが必要になる。
少し権限を委譲する
主体性の芽が現れる
もう少し難易度の高い権限を委譲する
主体性の芽が伸びる
さらに難易度の高い権限を委譲する
(これを続ける)
もし、まったく主体的でない者に、強引に権限委譲したらどうなるか?
まあ普通、辞めちゃうよね。
じゃあ、どういう形で少しづつ権限移譲するのが良いのか?
権限を細切れにして少しづつ移譲するイメージができないという人が多いだろうから、手っ取り早い方法を提案する。
社員プロジェクトを立上げ、経営方針を作らせればよい。
社員に主体性を喚起させるには、社員たちに経営理念を作らせればよい。
社員に経営方針を作らせ方は、まず、主体性の芽が見える者を集め、チームを組成するところから始まる。
そして1年がかりで、経営方針を作成し、方針発表会を開催する。
そこまでできrばチームメンバーは間違いなく主体的になっている。
効果はチームメンバーだけでなく、それ以外の社員たちにも波及しているはずだ。
ちなみに経営方針とは何かだけど次のとおり。
経営理念(ミッション・ビジョン・行動指針)
経営方針(ビジョン達成のための現実的な一里塚)
経営計画(具体的アクションプラン)
経営理念とは社長より上位の概念である。
たまに「経営理念なんて能書きだ、何の効力もない」という人に出くわす。
まあ、分かるけどね。
でも、ちょっと思い違いがあると思う。
実は経営理念は社長より上の概念。
憲法みたいなものと考えて良い。
したがって本来の意味の経営理念があれば、社員は、社長の言うことよりも、経営理念を優先するようになる。
そのことに社長が反発して「俺の会社なんだから、俺の言うことを聞け!」とやったら、途端に経営理念は能書きと化す。
経営理念にはそうゆうものである。
自律型組織には社内コミュニケーションが不可欠
さて、経営方針づくりが社員の主体性を引き出すとして、それだけで社員が主体的になるわけじゃない。
組織には共通目的(ミッション・ビジョン・バリュー・方針)の他にコミュニケーションと協働が必要だからだ。
もちろん、コアチームに関しては、経営方針作りを1年もかけて行ったので、密なコミュニケーションと高い貢献意欲(主体性)は発揮できるだろう。
でもそれ以外の社員はまだ主体的にはなっていない、すなわちコミュニケーションと協働の「循環構造」が出来上がっていない。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/44321944/picture_pc_8ce938b873856025c6686e8540b155b3.png)
じゃあ、コミュニケーションと協働の循環って、どうやって作ったらいいのか?
基本は簡単。
リーダーが頻繁に声掛けをしたり、積極的にミーティングを開催するなどして、共通目的を機能させれば良い。
ただし、共感できる経営方針になっていなかったり、リーダーシップが弱かったりするとなかなかうまくいかない。
組織作りは簡単じゃないんだよね。
『自律型組織をデザインする』好評発売中!!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?