がーる みーつ あいす #1

12月3日、あっという間に日本は冬へと突入し、マフラーと手袋なしでは出歩けないほど冷え込んでいた。特に、仕事が終わって客のアフターに付き合った後の朝方の時間は地獄のような寒さだった。これからもっと寒くなることを考えると憂鬱でしかない。

駅のロータリーでタクシーを待っているとスーツの内ポケットに入れていたスマートフォンが震える。黒い皮手袋を右手だけ外して通知を確認するとさっきまで一緒にいた客の女から返信が来ていた。

「寿里ちゃん!今日は楽しかったよ♡また朝まで一緒に楽しもうね♡♡」

あくびをしながら適当に返事を書いてると黒塗りのタクシーが到着した。運転手に行き先を告げて目的地に着くまで仮眠を取ることにした。ホストを始めて1年近くが経つ。仕事は向いてると思いつつも体力的にはきつい日々だった。「可愛い女の子でも抱きたいな」と朝まで一緒にいた40過ぎのおばさんの体を打ち消すように若い女の体を思い浮かべる。しかし、性欲はあっさりと睡眠欲に打ち負け、しばし夢の世界へと入り込んだ。

この文章をお読みになられているということは、最後まで投稿内容に目を通してくださったのですね。ありがとうございます。これからも頑張って投稿します。今後とも、あなたの心のヒモ「ファジーネーブル」をどうぞよろしくお願いします。