青春が終わっても朱夏があるから
10代の頃、特に高校生くらいだろうか。僕は何もかも斜に構えて、自ら楽しみや可能性を縮めていたような気がする。
「#8月31日の夜に」のハッシュタグを機に、過去を振り返ることにした。
後悔してることは山ほどある。だから僕と同じような後悔だけはしないでほしい。なにもせずになにかを期待していた過去の自分へ、叱責の意味を込めて。
「高校生」
それまでに比べて何か特別なことが起こるような気がしていた。「青春」という言葉で括られがちな瞬間。
たったの3年間である(留年しなければ)。三十路を越えた今では笑い話として消化できるが、あの頃はひたすら鬱屈とした日々を送っていた。
楽しいこともあった。友だちもできた。ただ、何事に対しても諦めるのが早かったと思う。
「だるい」
高校生の僕は、あらゆることをその言葉で片付けようとしていた。
部活は「だるい」から1年で辞めた。勉強は「だるい」から授業中は寝てるかマンガを読んでいた。朝起きるのが「だるい」ので遅刻回数はクラスでトップになった。なんの役にも立たない経歴である。
高校生の間は親にアルバイトを禁じられていたため、部活を辞めてから暇を持て余しまくった。その時間を何に費やしたか。ドラマの再放送を見ていた。
「高校生ってつまらねえな」
自業自得だったにも関わらず、すべてを外の世界のせいにしていた。
なにもしなかったから、なにも起きなかっただけなのに。
今、僕が10代だったら。実際の10代がどんな生活を送っているのかは分からないけど、多分ずっとスマホをいじっていただろう。テレビがスマホに変わっただけで、本質的にはなにも変わらない。
変わりたいという想いはあった。青春を謳歌したい気持ちもあった。でも「だるい」という呪いの言葉は自分にも降りかかり、「なにもしない気怠げに過ごす自分」をどこかで美化して、多くの時間を無下にしてしまった。「格好良さ」を勘違いしまくっていた。厨二病をこじらせて変な方向へと進んでしまったのだ。
三十路を越えても、一人暮らしを始めても、気持ちは大学生。もしくはフリーターな自分が偉そうなことを言えたものではないけれど…
もしもこれを読んでくれてるあなたが10代で、そして時間はあるけれどなにをしていいのかわからない、漠然とした寂しさを埋めるためだけにスマホの画面を眺めているのなら、僕の後悔を晴らして欲しい。
「もっと勉強すればよかった」
高2の終わりまでダラダラと過ごしていたせいで大学受験はものすごく大変だった。勉強アレルギーな状態を無理やり治すために予備校に通い、一時はストレスで円形脱毛症になった。文系だったので当時は無縁だったが今では数学を勉強し直したい。歳を重ねてから数学の面白さと大切さに気づく。
「もっと本を読めばよかった」
この歳になってようやく本の面白さと得られるものの大きさに気づいた。それこそ10代の頃に出会いたかった作品も多い。なかなかお金をかけられない人もいるかもしれないが古本屋だったら文庫本は意外と安く手に入る。数百円で何時間も費やすことができるコスパの良い娯楽だと思っている。
「もっと運動してればよかった」
部活を早々に辞めて大学では軽音楽部だったので運動することから遠ざかりまくった。運動をするという概念がなくなったのかもしれない。暇を持て余していた高校時代に毎日筋トレでもしていればよかったのだ。若さだけで不健康な生活を送れるのも20代で終わりを迎える。三十路を迎えてからびっくりするほど風邪が長引く。
「もっと映画を観てればよかった」
正直、映画館に足を運ぶのは金銭的なダメージを負う。でも強制的に物語に浸れるあの環境に身を置くと没入感が違う。高校生とかなら割引してくれる映画館も多い気がするし、映画館で映画を観るのはやっぱり特別な時間だと思う。DVDでもNetflixでも集中できるならそれでいいかもしれないけど、ドルビーシネマはすごかったので一度は体験して欲しい。映画は1人でも楽しめるし、映画館で孤独を感じることは少ないんじゃないかなと。寂しがり屋の僕ですら映画館にいる時間は好きだから。
「もっと仕事を知っておけばよかった」
なぜだかWEB業界に身を置いてるけど、初めは「ブラウザ?なにそれ美味しいの?」というデジタルネイティブ世代の人たちから笑われそうなレベルで無知だった。こんな仕事もあるんだなと20前半になって出会った世界だった。そんなこともあり、もっと前から「仕事」というものを意識しておけば、どんな「仕事」があるのか、どんなことなら興味を持てそうか、早い段階で考えておくべきだった。
振り返るような年齢になって、ようやく気づけた尊さみたいなのが10代にはあったのかもしれない。
頑張ってても上手くいかない人が多いのに、なにもしないでなにかを期待していた高校時代の自分を殴ってやりたいところだが、あいつ繊細だっからな…許してあげよう。
今も不平不満を抱えながら、腐りかけの足を一歩一歩進めてなんとか踏ん張っている。でも、いつでも後悔が頭をよぎる。未来に希望を持たないと過去にすがる悲しきモンスターになっちゃうようだ。
青春は一瞬だけど朱夏は長いから。中学、高校が上手くいかなくても悲観し過ぎないでほしい。こんなアホなおっさんでも20代は結構楽しかった。でもなんもしないままで運良く渡り歩けるの20代までかもしれない。適度に勉強する習慣を身につけることをおすすめします。でも頑張り過ぎないでくださいね。病まない程度に。息抜きは大切だから。息抜きし過ぎた結果が今の僕だけど。
10代の人たちが、僕を光の速さで抜き去ってくれる未来を願っています。それでは最後にこの曲を。七尾旅人で「サーカスナイト」
この文章をお読みになられているということは、最後まで投稿内容に目を通してくださったのですね。ありがとうございます。これからも頑張って投稿します。今後とも、あなたの心のヒモ「ファジーネーブル」をどうぞよろしくお願いします。