がーる みーつ あいす#3

コンビニに入り、買い物かごを手に持つ。乱雑に弁当、スナック菓子やペットボトルのお茶、缶ビールなどを入れていく。

次に日用品が置いてあるコーナーへ向かい、コンドームを手に取り外にいる少女の方に目をやる。

少女はこちらに気づき少し微笑む。一度死んだ口角を気力で蘇らせ、できる限りの爽やかな微笑みを返した。そしてコンドームをかごに入れ、何事もないかのようなポーカーフェイスで会計を済まし、駆け足でコンビニをあとにした。

外へ出ると、ちょこんと——まさにその「ちょこん」という音が似合うような姿で——立って氷を食べている少女に近づく。

「お待たせ、じゃあ行こうか?」

少女は微笑み、頷いた。再び口角は死を迎え、緩みきった顔を少女に向けることになった。2人は並んで家へと歩き始める。

少女は歩きながら黙々と氷を食べている。その様子を見ながら口を開く。

「ねぇ、氷じゃなくてアイス食べたりしないの?」

少女は袋の中の氷がなくなったのを確認してこちらに目をやる。

「……アイス?」
「えっ?…アイス食べた事ないなんて言わないよね?」

ゆっくりと、少女は視線を下げた。

「あっ、ゴメン……家庭の事情とかあるもんね。家出するぐらいだし……じゃあさ、俺んち着いたらアイス食べようよ。この前お客さんから高級なアイス貰ったからさ」
「アイスってどんなの?」

少女は首を傾げ斜め下から覗き込む様に見つめてきた。あまりの可愛いさに動揺して目をそらす。

「あっ……えっと、味の付いている氷って感じかな?」
「ふふふ、美味しそうだね」

その表情に見惚れてしまった。それに気付き少女はこちらを向いた。

「どうしたの?」
「えっ、あっ……いや、君があんまりにも可愛くてさ」

決め台詞のように言い放ち、爽やかな微笑みを浮かべる。少女は照れた様に顔を背けた。それを見て、口角は三度目の死を迎える。十字路に差し掛かり左へ曲がると8階建てのマンションが見える。

「あっ、ここだよ。ここの最上階が俺の部屋」

少女は最上階の方に視線を向ける。

「じゃあ、行こうか」

入り口のドアをカードキーで開けて、2人はマンションの中に入っていく。

この文章をお読みになられているということは、最後まで投稿内容に目を通してくださったのですね。ありがとうございます。これからも頑張って投稿します。今後とも、あなたの心のヒモ「ファジーネーブル」をどうぞよろしくお願いします。