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理由というか言い訳を考えながら夜を越える

彼女(交際相手という意味ではなく単純に三人称である)曰く、「デートは互いにデートだと認識してこそ成立するものであり、片方が友達と遊んでるだけと思っていたらそれはデートではない」らしい。こんな堅苦しい口調ではなかったが、そんなようなことを言われたことがある。

そんな独自の「デート理論」を持った彼女を飲み以外、それこそ僕は「デート」と呼んでしまいたいものに誘うのはなかなかな勇気のいることだった。「飲みに行こう」は気軽に言えるが、「遊びに行こう」はハードルが高かった。

思い返せばここ数年は「酒を飲む」→「酔っ払う」→「勢いで泊まる」→「付き合う」と、まぁ目も当てられないような流れで女性とお付き合いしてきたので、徐々に相手との距離を詰める方法を思い出せなくなっていた。

しかし、僕はなんとしても彼女と2人で遊びに行かなければならなかった。かれこれ20年近く「友人」としての付き合いが凝り固まってしまった現状を打破するには、2、3ヶ月に一度のペースで行われるサシ飲み以外の方法でアプローチをかける必要があったのだ。

そんなわけで僕は彼女のLINEのトーク画面を開いて、どういう一文を送るのか缶チューハイと煙草を交互に持ち替えながら考えた。目的地は僕の恋愛をひたすらに応援している人妻子持ちの友人からのアドバイスを受けて某水族館と決めていた。(それ以外の目的地を考えるのが面倒でもあった)

自然と、そして断られない感じの一文…目的地は水族館…

この水族館行きたいんだけど男1人は辛いから付き合ってくれない?

めっちゃ普通ーー

彼女も「いいよー」と返してくれたので遊びに行くことはほぼ確定したのかもしれない。が、「そっちの予定に合わせるから空いてる日にでも」と僕がぬるいことを言ってしまったが故に日付は確定せずにLINEは終わった。

「流れる可能性もなきにしもあらずだな…」などと思いながら換気扇へと煙を送り込み、金曜の夜を締めくくる。もう日付は変わって土曜日なのだが。

「実現すると良いね」、と他人事のような気持ちもありつつ、この企画が無に帰したら人妻(友人)に残念会を開いてもらおうと思う。

それでは最後にこの曲を。スピッツで「愛のことば」


この文章をお読みになられているということは、最後まで投稿内容に目を通してくださったのですね。ありがとうございます。これからも頑張って投稿します。今後とも、あなたの心のヒモ「ファジーネーブル」をどうぞよろしくお願いします。