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読書の日記(7/11-17)

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『失われた時を求めて』、私が受けた苦しみの独特さを、それを受けた状態のままで尊敬してゆく/往復書簡、誰かについて書くこと、怖さと祝福/顔を突き合わせる時間の必要性/生命保険の販売手数料/『初めて書籍を作った男』、ゆっくりいそげ、文庫本、娯楽としての読書の誕生/くまざわ書店、『ショットとは何か』/エッセイの執筆、Delarosa & Asora、ピーマンの和え物/手巻き寿司パーティー、寛容のパラドクス/心情の間歇、3連休、暇/マルホランド・ドライブ、キングス&クイーン、ションベン・ライダー/水風呂と山田太郎/

7月11日(月)

浮かんでいるのは今はなき祖母のしかめ面だった。よりにもよって。だけどそのままでいいと彼は思った。

言葉をかけたり祈をささげたりしながら、苦しみをもっとやわらげ、それを美化し、祖母が単に不在でしばらく姿を見せないだけであると想像する、そういうことにつとめようとは私はしなかった。けっしてやらなかった、なぜなら、単に苦しむことをねがっただけではなく、私が受けた苦しみの独特さを、私がふいに、無意志で、それを受けた状態のままで、尊敬してゆこうとしたからだ
マルセル・プルースト『失われた時を求めて〈6 第4篇〉ソドムとゴモラ 1』(井上究一郎訳、筑摩書房)p.272

私が受けた苦しみの独特さを、それを受けた状態のままで尊敬してゆく。素敵な言葉だ。サンキュー、マルセル。

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