甲子園に「出たい」チームと「勝ち上がる」チームの差。

先月行われた第104回全国高等学校野球選手権での率直な感想。

初戦から効率的に投手を複数起用して、勝ち上がるにつれてかかってくる疲労をできる限り残させないというのが。

それがうまくできたのが優勝した仙台育英なのでしょう。
須江監督の人間力もあったのでしょうが、ベースにある効率的な選手起用もよかったのでしょう。
高校時代の監督自身の経験があったとは聴きます。

下関国際も準々決勝で優勝大本命の大阪桐蔭、準決勝では近江を下して勝ち上がってきましたが、マウンドを守ってきた二枚看板が決勝で力尽きたように感じました。
ただ、大阪桐蔭と近江を破ったことは紛れもない事実ですので、胸を張ってほしいものです。

で、感じたのは投手の起用。
例えば近江を例にするとエースで主将の山田君にチームと多賀監督が心中するような感じに見えましたが、やはり準決勝は疲れが相当残っていたのでしょうね。
下関国際の2名も決勝では仙台育英打線に捕まってしまいましたし。

甲子園に「出る」ためにはエース独り投げ続けても可能かも知れません。
ただ、甲子園で「勝つ」、もっと言えば「勝ち上がる」ためには4~5人の投手を登録して、かつ効率的に起用する形するのがベターなのかも知れません。
ちなみに第100回大会で準優勝した金足農のエースだった吉田輝星投手(北海道日本ハムファイターズ)が仙台育英の優勝に触れて、自分の時は一人でずっと投げていてきつかったという談話がありましたが、そうでしょうね。
勝ち上がっていけば中1日、下手すれば中0日でというのもありますし。
今回は雨に振り回された前回と違い順延が無く予定通り日程が消化して、設定された休養日はきちんと適用されましたし。

高校野球の起用って今のプロ野球だったら考えられない運用ですからね。
大学のリーグ戦だったら無くも無いですが。
例えば東京六大学などでは土曜日に先発したら日曜(場合によっては月曜)も中継ぎでスタンバイするとかありますけど。

ただ、エース独りで投げて勝ち上がるのが美徳だみたいな風潮もありますが、それって昭和時代の硬直した思考ですよねと思うのです。

最後に一つだけ言えることは、仙台育英の優勝で高校野球が新たなフェーズに入ったのかなということで。

それにつけても、決勝直後の仙台は凄かったそうですね。
仙台駅西口では号外を求める長蛇の列ができていたり、決勝中継直後のNHK仙台発東北ブロック向けのラジオ番組ではパーソナリティ(宮城出身のアナウンサー)が大喜びだったり。
あと翌日の昼のニュースで大阪局から仙台育英が泊まっていたホテルの近くのコインランドリーで心温まる交流があったというニュースもありましたし。

あともう一つ。
男子の選手権が開催される前に、女子の高校硬式野球の決勝が甲子園で行われました。
ABCテレビ制作でBS朝日がテレビ中継をしていました。
新潟の開志学園が決勝に進出していたことで、新潟テレビ21(UX)も中継していました。
最終的にタイブレークまでいく熱戦で、本来の中継時間からこぼれてしまったUXは全国ニュース、県内ニュースを少しして再度中継に飛び乗ったようですし。
そして中継のゲスト解説で訪れていた侍ジャパン監督の栗山英樹さんが解説の方(元女子プロ野球選手で出場校の監督)にさかんに質問していたのは印象的でした。
あと栗山さんはタイブレークも初めてご覧になったそうです。
WBCはありますからね、タイブレークが。

女子も来年以降も引き続き決勝、できれば準決勝から甲子園でお願いしたいものです。
女子の開催時期を考えると男子の選手権が始まる前がベターですし。
タイガースも京セラドーム大阪で開催できるのですから、大家であるオリックスさんと調整すればよいのですし。




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