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デッサンで鍛えられるもの3つ

6月半ばを過ぎ、来週いよいよ関西も梅雨入りでしょうか。
ここのところの日差しのキビシサ、
そしてイマイチ制作がはかどらない憂鬱に
正直「はやくザーッと降ってくれまいか」と思っています。

さて、先日こちらの記事にて、私の投稿を引用頂きました。

私の記事は「シャーペン壊れたけど直ったよ」という、
かなり他愛のないものなんですけれど、
こちらの雲さん、デッサンをコツコツ続けていらっしゃるんですね。

大人になって、勤めもあって、
そこにこの淡々とデッサン習慣、
正直、「すごい」と思っています。

狩猟や山登りや釣りやアレコレ、広範囲にわたって興味をお持ちの方であれば尚のこと。

雲さんのデッサンをやる目的というのがこれまた私、好きでして
動画撮影のイメージや、狩猟道具をつくる際の簡易な設計図、
こういったものをより上手く描けるように、という。

「考えやイメージを図にする力」、これをつけるため。


もう、これ本当に真っ当で。

真っ当さのあまり
脳裏に浮かんだのはレオナルド・ダ・ヴィンチでした。

(「絵うまくなるために色々勉強しなきゃ」↔「発明・設計するのに絵って便利だよね」の無限ループに入ったあの万能超人さんです)



デッサンすることで鍛えられる力があり
それを得るためにトレーニングする、いわば筋トレ。

今回はそんなデッサンで鍛えられる力3つを
雲さんと自分へのエールを込めてご紹介してまいります。





デッサンで鍛えられるもの3つ

1.線をひく力


まず「線がひけるようになる」。
これに尽きます。

線って意外とフリーで綺麗にひけないもの。

「線きれいにひけますか?」など真顔で言われるとたじろぎます。


例えばですが

A4用紙の長辺をヨコにしまして、
端から端までの直線(だいたい25cmの長さ)を
左から右に、1秒間に1本引くぐらいのスピード感で20本。
線と線の間は5mm程度で。

次は右から左に同様に。
また、上から下、下から上、右下から左上にナナメで…


それがデッサン続けているとわりと出来るようになります。
なぜ出来るようになるか、

慣れです。


ゆっくりやればできるミジン切りが、
慣れるに連れ光速でできるようになるのと同じです(私はできません)

線を反復練習するだけでも鍛えられますが
デッサンでは複合的なトレーニングができます。

・直線、曲線、短い、長い、ナナメ、タテヨコなどバリエーション豊かな線
・陰影や質感をつけるために引き分けていく

筆記具の持ち方、傾け方などの扱いも身につき
気付けば線をひくのに必要な力加減や体勢が得られるという流れです。


初めて画塾で描いたレンガ。
豆腐のよう。こんなもんでしたね(’ω')



2.目勘めかん


次に目勘。
「めかん」って一般用語なのだろうか…と気になり検索してみると

「目の子(めのこ)勘定」の略語です。 畜産業界では目で体重推定することを指します。

「目の子勘定」、また新たなワードを覚えました。



ここでいうメカンとは
目でおおよその長さを見てとれるようになる、といったところです。

「あの水筒、だいたい高さ20cmくらいだな」とか
「厚さ8cmはあったよ、あの文庫本」とかですね。

デッサンでは

・全体のタテヨコ比率を見る
・全体に対しての部分の比率を見る
・いくつかモチーフがある場合はそのモノとモノの対比もする

などなど、
形をとる段階で長さ観察していることが多いです。
そのため、これまた知らず知らず目勘が養われます。

自分の手のひらの幅、
両手を広げた長さを覚えている方もいらっしゃると思いますが
そうした身体の物差しや規格品の寸法(襖は基本高さ180×幅90cmなどなど)なんかとあわせると、より便利に使えます。

余談ですが、定規があれば楽しめる「目勘競争」というのがありまして…
対象のものの長さを当て比べするんですね。
ピタリ賞にはなにも出ませんが「やったった感」が半端なくあります。


初期はこうした不思議な物体を見つめ続けました。
円柱の奥の形がアヤシイ。



3.空間認知力


視点やモノの置かれている面を意識して描くので
「空間」を認識するトレーニングになります。

・対象をどの角度から描くか視点を決める
・それにのっとって空間を設定し、その中にモノを置く


私のデッサンで見ていくと、

最初の豆腐なレンガ。

レンガ左側面の影がたちあがり過ぎていて、床のフラット感が損なわれ
設定した空間に置ききれていません。


すこし慣れてきた頃のもの。

こちらも同様。
持ち手の影はそれらしいのですが、奥はまだ立ちすぎてます。


慣れてきた頃のダルマ落とし。

視点と床と前後感が描けるようになってます。
楕円の形はこれまたアヤシイですけれど(’∀')


奥行きや前後関係、それらがひとつの空間にきっちり乗っかりおさまる。

これが難しい。
3次元のものを2次元に描く難しさがここにあります。

それを要領よく実行するために透視図法が発明され
それにガンガン乗っかってやっていくデッサン。

なにかイメージを描く時、これがめっぽう大切です。
ぜったい透視図法にのっからなきゃではないものの
現代人のいちばん慣れている「2次元化」なので、説得力があるんですね。

ちなみに写真トレースで線描を起こすときも
この力の差はニョジツに出ます。

3次元を2次元化することに慣れた人は
2次元になった立体物の構造も読み取りやすくなる。

「画像となった立体物の構造を読み解く力」と申しましょうか。





書き終わってみて、思ったのは。

いやこれ、実際どう役に立つのか。


読みながら、
絵を描きつけるわけでもないならこの能力は意味がないのでは…と思われた方もいらっしゃるでしょう。

そんな気もします。


雲さんみたいにイメージ図や設計図を描くというのには
ぜったい役立ち能力なんですけれど。

そうですね、私が日常および仕事で役立ったことといえば

・線が引ける→表がさらっときれいに描けます
・目勘がはたらく→養生テープのムダが少なく切れる(これ大事!)
・空間認知→(’∀')


空間認知はあれかもしれません、私が低いのかもしれません。
よく道迷いますからねぇ…

いちばん役立つなぁと思ったのは
やはりイメージ図で、打ち合わせや段取りがはかどりました。
簡単に図を描きながら進めると、スムーズかつ和気あいあいと運びます。
共有が深くなるので距離も縮まるというか、
図を描きながらだとソーシャルディスタンスも縮まるというか。

そういう現場のやりとり、上手い下手はさほど問題でなく
描き出せる勢いが大切です。
そうすると意外と打ち合わせ相手も描いてくれたり。

「描けない」と思い込まないようちょっと筋トレしとくか、は良いかもしれません。


うまく描けなかった時は

「必殺・文字」


文字、記号とは便利な「イメージ図」である


とはいえ、このサイズにイイカンジに配置するのも
デッサンで養われたところがあると思うのです(うまく回収した)


いかがでしたでしょう。

とはいえ私はもう美大受験のようなデッサンは正直やりたくないです(笑)
今あの頃みたいなデッサンは描けない。
「受験デッサン」はかなり特殊領域ですから、筋トレしてないとすぐ体力落ちるんですね。

「筋肉バカ」のような意味合いで「デッサンバカ」と言われる人もおり、
ボディビルディングを目指すような雰囲気が、デッサンという筋トレにはあります(’∀')


以上、デッサンで鍛えられるもの3つでした。





おまけ


すでにご覧になられた方もいるかと思いますが、保育園時代の名作。
エサ箱の形が素晴らしい「2次元化」です(*’∀')

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