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【山歩き記録 第79歩 2日目】那須岳 三本槍岳・中の大倉山・北温泉(2023年5月26日)【風に耐えた那須岳最高峰】

那須岳2日目。

この日は1日目より雲が厚いだけでなく、南~南西の風もより強く吹いている状況。あとから那須ロープウェイのツイッターを見ると、ロープウェイ山頂駅の風速は10~16mで、ロープウェイが運休するほどではなかったそうですが、それでも僕が山で受けた中では最強の風でした。もちろん、ずっと風を受け続けるわけではなく、稜線の草木が途切れているところでびゅーっと浴びる感じです。もし岩山の茶臼岳~朝日岳側を歩いていた場合はもっと大変だったでしょう。草木にずっと「ありがてぇありがてぇ」と言っていました。それから、モンベルのレイントレッカーも大活躍でした。レイントレッカーは、レインウェアでありながら、軽くしなやかでウインドブレーカーとしても使える万能ウェア。去年の富士山ではレインウェアとして短時間使用しましたが、今回はウインドブレーカーとして何時間にもわたって活躍しました。

曇りにも高い雲と低い雲がありますが、この日は両方出ていました。しかし、那須岳の周りだけ低い雲が無く、遠くの景色や雲海を拝むことができました。東京から日帰りで行ける山となると、多くの場合「富士山を見る」か「都心を見下ろす」にとらわれてしまいがちなんですよね。見る側も、山を整える側もそう。雲で富士山が見えないとがっかりしてしまうし、そもそも山頂で富士山と街の方角だけ木が切られていたりする。惜しくも、僕の大好きな「きれいな青空の下」とはいきませんでしたが、この2日間では、「富士山」と「都心」にとらわれない、雄大な山の景色を久しぶりに堪能できた気がします。

1日目のnoteはこちら↓

コース概要

地理院地図に書き込み

三斗小屋温泉を出発し熊見曽根の稜線へ。分岐を北に向き、1900m峰を越え清水平に下ります。分岐から三本槍岳を往復し、中の大倉尾根を下って中の大倉山、マウントジーンズへ。レストランやトイレで休憩できますが、ゴンドラで下りても駅へのバスが無いので、北温泉へ向かいます。日帰り入浴後、那須自然研究路白戸川線を歩き、白戸川バス停でゴール。ここから那須塩原駅までバスで行くことができます。

記録

大黒屋では、朝食も個室まで運んできてくれます。人生で初めて、ブロッコリーに対して「美味しい」という感想を持ちました。

朝食

また、お湯入り魔法瓶と茶葉入り急須と湯呑のセットも全個室に持ってきてくれます。僕はこのお湯で持参のインスタントコーヒーを飲みました。他にも、水筒を持っていれば、水筒に移し替えて山に持っていっても良いかもしれません。ちなみに、水は、小屋外の水源から出続けているので、自由に汲んでいくことができます。

7時30分に大黒屋を出発し、隠居倉を登ります。すぐ近くを雲が結構なスピードで移動していくので、強風とガスに対して不安な気持ちにさせられます。

歩き始めてすぐ振り返って。目線と同じぐらいの高さの雲が左から右へ流れています
茶臼岳の方向にも雲があって不穏な感じ
隠居倉から。幸い向かう先はガスっていない。しかし風が強い!
隠居倉から、朝日岳と茶臼岳

熊見曽根は、南側が少し低くなっていて、南風を受けやすい道。最悪引き返そうかということも頭をよぎりましたが、レイントレッカーのおかげで体温への影響はほとんどなく、吹き飛ばされるほどの強さではないので、前進します。前日は熱がこもって困るなと思っていた草木が、この日は風を防いでくれて大変助かりました。

朝日岳との分岐を北に向き、1900m峰(特に山名が無くこう呼ばれているらしい)を越えます。その先しばらくは1900m峰が南風をブロックしてくれたのか、少し穏やかでした。

分岐から、写真左の1900m峰を越えて歩きます
1900m峰から、スダレ山(右)と三本槍岳(左)。スダレ山山頂には登らず、その手前に左右の分岐があります

スダレ山手前の分岐を左に曲がり、三本槍岳へ。この間は、ほぼずっと左右に草木があり、強風を防いでくれていました。途中風を感じるところは、草木が無い=展望が良いところだと思いますが、まずはとにかく登頂、折返しで余裕があれば写真撮ればよいだろうという気持ちで、ひたすら前身しました。

分岐。低木に囲まれ、ベンチもあるので、よい休憩スポットです

9時50分、三本槍岳登頂。前日の鎖場とか、この日の風とか(、去年の悪天候キャンセルとか)、いろいろ乗り越えた分、達成感もひとしお。適度に広さもあるのでゆっくりしたいところですが、強風でそれどころじゃない。ささっといろいろな方向の写真を撮って、撤収です。

三本槍岳山頂
三本槍岳から、たしか南西の方

登りではとにかく登頂を目指しましたが、案の定と言いますか、下りの途中から撮る写真の方が、足元の草木が写らない分、浮いているような印象の写真が撮れました。撮る人間は、風でカメラが揺れないように一生懸命です。

下り始めて5分ぐらいの場所から茶臼岳方面。雲が低い位置にあって幻想的
スダレ山北斜面と雲海

分岐から中の大倉尾根に入りますが、ここも風との戦い。向かう先は確実に森が生い茂っているのが見えているので、とにかくそこまでの辛抱です。開けたところは足早に通り、低木のある個所で一息つく、の繰り返しでした。

はじめの内はこう草が低いので風をもろに受けます。道は整っているので、無風快晴だったらもうとても気持ち良いと思いますが。少しずつ、人の背丈ぐらいの木が増えていきます。
あれがおそらく『山と高原地図』で「大岩 自然の展望台」と書かれているものですが、ここにいるだけで風を浴び続けるので、登る余裕なし
これぐらいの高さの木が見えてくると、もう大丈夫です
つつじのトンネル。マウントジーンズはもうすぐ
マウントジーンズ散策コースの分岐。「中大倉山」の看板あり

マウントジーンズ一帯は、ちょうどゴヨウツツジが咲き誇っている時期で、散策される方が大勢いらっしゃいました。ゴンドラ駅の横に山頂カフェというレストランがあり、ここのスパゲッティを昼食としました。他にもピザなどしっかりした食事になるメニューが充実していました。

マウントジーンズ現地の地図
「茶臼山展望台」というのに行ってみましたが、ちょうど霧が広がってきたタイミングで、この直後から全く見えなくなってしまいました
ドッグランや遊具も充実のマウントジーンズ

マウントジーンズから北温泉に向かいます。地形図的に、北温泉の直前がかなりの急坂のようでしたが、ちゃんとつづら折りの登山道ができていて、安全に下ることができました。

マウントジーンズの辺りは白いツツジがほとんどでしたが、下りの途中で赤いツツジを間近で見られました
北温泉

北温泉旅館も非常に歴史ある場所で、入った瞬間、昔の小柄な日本人に合わせたのかなと思うような狭めの空間にいろいろなものが所狭しと置かれていて、異世界のような雰囲気。日帰り入浴では、僕のような男性は露天風呂と天狗風呂に入れるのですが、その2か所も遠く離れていて面白い。露天風呂は貸し切り状態だった一方、天狗風呂の方は、のれんをくぐった瞬間、いきなり風呂と先客が目に入り、一瞬どきっとします。天狗風呂の方は、脱衣所と風呂の仕切りが無い、ひとつながりの空間でした。お湯はやや熱めで、バスの時間を見ながら、少し早く出た方が良いかなと思っていたので、早く温まることができてちょうどよかったです。

北温泉から、舗装路を登って駐車場に出ます。ここから車道沿いに北湯入口バス停まで歩くつもりでしたが、少し歩いたところに「那須自然研究路 白戸川線」の案内板が。それによると、自然歩道を歩くとより短い距離で白戸川バス停に出るそう。歩く距離が短くなって、しかも舗装路でなく自然歩道なら、そちらを選ぶしかなかろう、ということで、予定変更です。

那須自然研究路 白戸川線 の案内板
幸いベンチがあったので、静寂の緑に包まれて、大黒屋でもらったおにぎりを食べます
白戸川にかかる橋
きれいな橋だなと思ったら、名前から一発で新しいと分かりました

13時58分m白戸川バス停に到着。14時19分のバスで那須塩原駅に帰りました。

各種情報

コースタイム:5時間20分

標高:1460m(三斗小屋温泉)~1916m(三本槍岳)~1090m(北温泉旅館付近)

眺望:隠居倉から中の大倉尾根まで開けています。三本槍岳は360度の展望。マウントジーンズは晴れていれば東側の街並みが見られたはず。

トイレ:マウントジーンズ山頂カフェ(施設内のため営業期間のみ利用可と思われる)、北温泉旅館(トイレのみの利用は不可とのこと)

危険個所:1日目と同じく、熊見曽根の道が狭いこと。あとは風次第。

アクセス:マウントジーンズのゴンドラを利用しても、バスが出ていません。北湯入口バス停か、今回利用した白戸川バス停から那須塩原駅に行けます。

周辺情報:マウントジーンズ那須のHPはこちら。シーズンを区切って営業されているようなので、要チェックです。春シーズンは6月4日で終わっており、次の夏シーズンは7月15日からだそうです。

北温泉旅館のHPはこちら。日帰り入浴大人700円です。


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