【山歩き記録 第52歩 2日目】ヤビツ峠~塔ノ岳~丹沢山~大倉(2021年11月28日・29日)【バカと言ったのはどこのどいつだーい?】
塔ノ岳2日目。1日目はヤビツ峠から塔ノ岳まで表尾根を歩き、尊仏山荘に泊まりました。その記録はこちら。
この記事はその続きです。
コース概要
2日目は塔ノ岳から出発して丹沢主脈を丹沢山まで往復、その後は大倉尾根をひたすら下って大倉バス停まで歩きます。
記録
朝、5時半に朝食の声がかかります。日の出は6時半ごろ。日の出時刻とずらして朝食を設定してくれています。
朝食のおでんで温まったら、日の出を見るために外に出ますが…西風が絶えず吹き込んでめっちゃ寒い。6時10分ごろに出て写真を撮りましたが、寒すぎて一度引っ込みました。
太陽が見え始めたのは6時26分。標高が高い分、日の出時刻より少し早い日の出です。低い位置に雲が伸びていて、その雲で太陽が切られてだるまさんのように見えました。
冬型は弱まっているはずなので、次第に風が弱まらないかなーと期待しつつ(同時に大の便意を待ちつつ)、ゆっくり準備しましたが、風はなかなか弱まりません。とはいえ小屋にいてやることもないので、出発します。7時15分。
そうそう、出発前に尊仏山荘で水筒にお湯を入れていただきました(100円)。ありがたい限りです。
塔ノ岳~丹沢山間は、整備された木道と土の道でとても歩きやすいです。ただ、寒さで木道にびっしりと霜が降りていました。滑らないようにだけ気をつけます。
道端には大量の霜柱ができていました。ためしにひとつ拾ってみたところ、10㎝を超えるような長さがあってびっくり。冬ならではの経験です。
丹沢山までは、いくつか小さいピークを越えていきます。次の写真は、あれが丹沢山かと思って撮ったけど結局違ったピーク。全体的に木も少なく、開放的な気分で歩けます。
振り返ると塔ノ岳が存在感を出しています。ふつうは歩き始めると暑くなって服を1枚脱いだりするものですが、この日は全体的に薄曇りで日差しが弱く、さらに風が強いままだったので、丹沢山往復の間はガチガチの防寒のまま歩きました。
8時20分、丹沢山登頂です。山頂は広く平坦で、ベンチ、みやま山荘、トイレがあります。残念ながら周囲に木が生えていて、塔ノ岳ほど広い展望はありません。「丹沢山」の看板の方面だけ富士山の展望がありました。
この日まだ誰も使っていないベンチ一面に覆われた霜をサーっと払いのけます。そこに腰かけて、尊仏山荘でもらったお湯を使ってインスタントコーヒーを淹れました。座っていると、まだ早い時間ですが、蛭が岳から縦走してきたであろう人や、朝早くから塔ノ岳を経由して登ってきたであろう人が、5人ぐらいやってきました。みなさんすごいですね。
8時45分、コーヒーを飲み終わり、塔ノ岳に帰ります。同じ道ですが、向いている方向が違うだけで見えるものは変わってくるもので、こんな景色が見られました。青空バックの見慣れた富士山とも違って、とても趣がある絶景です。
9時40分、塔ノ岳。上の写真の右側にも低くて黒っぽい雲が写っていましたが、それが西風に乗って塔ノ岳含む丹沢主脈に迫ってきました。相変わらず風も強いので、ゼリーをぐいっと飲んでエネルギー補給したら、雲から逃げるように下山を始めます。
下山後すぐは長い階段が続きます。その後は砂になったり、岩もあったり、いろいろなタイプの道を歩けます。塔ノ岳に一番近い花立山荘という山小屋がありますが、花立山荘の少し先までは、遠くの海が見渡せて景色が良いです。途中、尊仏山荘に毎日荷揚げをしていらっしゃる「丹沢チャンピオン」様とすれ違いました。
展望がなくなってからも、いろいろなタイプの道が入れ代わり立ち代わりやってくるので、とても楽しい。標高が下がってくると、美しい紅葉が待っていました。
なお、花立山荘の先に、堀山の家、駒止茶屋、見晴茶屋とありますが、いずれも営業していませんでした(おそらく月曜日だからだと思います)。
楽しくて飽きないとはいえさすがに長い大倉尾根。ようやく車道に出たのが12時30分ごろ。さすがに疲労してきました。下山後に見られるこういう穏やかな風景も好きです。
12時40分、大倉バス停に到着。上の写真と下の写真に写る空から分かるように、下界は薄雲ながら晴れていましたが、塔ノ岳の方は黒い雲が覆っているようでした。景色の良いうちに歩けたのは個人的には幸いでしたが、途中ですれ違った大勢の登山者を思うと気の毒になります。
大倉バス停からは渋沢駅に出られますが、そこから丹沢・大山フリーパスを使って小田急線を東海大学前駅で途中下車し、秦野天然温泉さざんかに寄りました。平日の昼にもかかわらず結構にぎわっていました。広いお風呂に、食事処でおなかも満たせて、なかなか良いところでした。
ところでこの大倉尾根、通称バカ尾根とも呼ばれ、だらだらと長い登りが続くからである、と言われておりますが……まったくそんなことはない、道は変化に富んで、紅葉も展望もある、ここはあえて天才尾根とでも呼んでおきましょう。バカと天才は紙一重つってね。
標高差1200mもあって直線距離もそれなりにありますから、一日で往復しようものならキツイのは当然です。考えてもみてください。富士山5合目から山頂まで標高差1400mぐらいです。体力のない人が1日で富士山往復など言い出したらそれこそバカでしょう。勝手な推測ですが、大倉尾根は難所もない低山なので日帰りで行こうとする初心者も多く、そういう人たちが予想以上のキツさに思わずバカと呼ぶようになったのではないでしょうか。だってこんなに素晴らしい尾根だもの。
各種情報
コースタイム:5時間20分。このコースタイムには塔ノ岳~丹沢山往復3時間が含まれますが、実際は2時間ほどで歩けました。一方で大倉尾根下山は3時間ほど(小休憩含む)かかりました。
標高:1567m(丹沢山)~290m(大倉)
眺望:塔ノ岳~丹沢山間は、ところどころ東西に展望が広がります。大倉尾根は花立山荘付近より上で南側の展望があります。
トイレ:丹沢山、塔ノ岳、花立山荘、観音茶屋、大倉。花立山荘など、平日は営業していない施設も、屋外にあるトイレは利用可能です。
危険個所:塔ノ岳~丹沢山間、大倉尾根、それぞれ一か所ずつ、塔ノ岳に近い場所にかなり狭い尾根道がありましたが、それ以外に危険と思った個所はありませんでした。いずれも短いので過度に心配する必要はないです。
アクセス:大倉~渋沢駅間のバスは、約30分に1本の頻度で出ているので、あまり下山タイミングを気にせずに歩くことができます。
https://www.kanachu.co.jp/dia/diagram/timetable01/cs:0000800127-1/nid:00127910
周辺情報:アクセスのよい温泉といえば、今回行ったさざんかと、鶴巻温泉の弘法の湯だと思います。
さざんかは毎月第3火曜日、弘法の湯は毎週月曜日が定休日とのことです。
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