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芙蓉歌句集

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わたくしが詠みました短歌・俳句をこちらでご紹介させて頂きます。
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#俳句部

七夕を飲み干すやうに今朝の雨

七夕を飲み干すやうに今朝の雨

皆さまごきげんよう。
本日は7月7日ということで、七夕の夜ですけれども如何お過ごしかしら。

七夕は古来「乞巧奠(きっこうでん)」とも申したそうでして、古くから機織りや裁縫の上達を願う風習として定着していたようですわね。

わたくしの今の願いは――、やはり俳句と短歌の上達かしら。

七夕と言えば昨今は願い事を書くことになっております短冊ですけれども、古くは七夕に由来する詩歌を書いて飾ったりしたそう

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夏落葉ラケットは雲とらへけり(NHK7月号佳作)

夏落葉ラケットは雲とらへけり(NHK7月号佳作)

皆さまごきげんよう。今週は一日ぱっとしないような梅雨らしい空模様が続いておりますけれども如何お過ごしでしょうか。

さて、表題のとおりなのですけれども、NHK俳句7月号さまにて拙句「夏落葉ラケットは雲とらへけり」を佳作にとっていただきました。ありがとう存じます。

これからも俳句と向き合い、より精進して参りたく存じますわ。

今年に入りましてお勉強の都合でしばらく雑誌への投稿から離れてしまっていた

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【あやめ祭り】結果公表・選評など

【あやめ祭り】結果公表・選評など

0.ご挨拶皆さまごきげんよう、芙蓉セツ子と申します。水無月に入りまして早くも夏日の日々に音を上げそうなのですけれども、如何お過ごしでしょうか。
わたくし寒いよりかは暑いほうがまだ良いのですけれども、今年の夏はそれにしても厳しい暑さになりそうな気がいたしますわ――。

さて、先週から一週間をかけて催させて頂きました【あやめ祭り(第廿回俳樂會)】なのですけれども、無事に一連の行事が終了致しましたので結

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【第十九回俳樂會】結果公表・選評など

【第十九回俳樂會】結果公表・選評など

0.ご挨拶
ごきげんよう。芙蓉セツ子と申します。
4月も終わりに差し掛かりまして、いよいよ春も詠み納めといった季節になりましたけれども、皆さま如何お過ごしでしょうか。

さて、ということで先月の【観櫻句會】から早一月。今月も俳樂會を開催させて頂きまして無事に一連の行事が終了致しましたので、こちらにて結果をご報告させていただきたく存じます。

ご投句・ご選句・ご観覧頂きました皆様まことにありがとう存

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珈琲を知らぬ子猫の踵かな

珈琲を知らぬ子猫の踵かな

皆さまごきげんよう。昨日4月14日は、明治21年に日本初の喫茶店が開業した日とのことで、喫茶店にちなんだ俳句を詠むという催しが行われておりました。そこでわたくしも突発で何句か詠んでみましたわ。

こうして毎日の「何か」をきっかけに詠んでみるというのも中々面白いですわね。機会がありましたらまた参加してみたいですわ――。

珈琲を知らぬ子猫の踵かな
珈琲の遺した笑みや花の雨
思ひ出の溶けた珈琲春の雨 

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お辞儀する羽織の紐や灌佛會

お辞儀する羽織の紐や灌佛會

皆様ごきげんよう。
本日は4月8日ということで「灌佛會」お釈迦様の誕生を祝う日ですわね。
よく行われますのは仏像に甘茶をかけて祝う行事かしら。実は新暦で行うのは日本だけと聞いたことがあるのですけれども、大切なのはお祝いする気持ちですから大目に見ていただきたいところですわね。

ちなみにわたくし特に仏教徒というわけではないのですけれども、何故か、般若心経や観音経は覚えておりますわ。
それはさておき、

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芙蓉雑詠帳〔二〕

芙蓉雑詠帳〔二〕

【新年より立春】
膵臓の奥まで初明りを呑む
初明かりそつと瞼に仕舞ひ置く
喰積や真白き箸の触るるとき
七種粥去年と異なる羽織かな
背表紙のととのひ七日粥の音
喰積や真白き箸の触るるとき
鉛筆の音の温みや初句会
乗初や御召列車の重き窓
七色に匂ふ泉や避寒宿
大寒の影絵に匂ふインクかな
学友の着慣れぬ服や紀元節
草霞み市電鳴り行く常世かな
梅が香の微かに雀の毛玉かな
常磐津の皷のごとき春の風
凍蝶の瞼

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無花果の丸く馬匹の音すなり

無花果の丸く馬匹の音すなり

今日往来を歩いておりましたら、無花果の実が庭先に生っているお家があったことをふと思い出しました。

古書街の匂ひや色なき風の触る

古書街の匂ひや色なき風の触る

ごきげんよう。今週は神田の神保町のほうで古書祭が催されておりますわね。わたくしも早速足を運びまして何冊かの古い本を手に入れて参りましたわ。

手にしておりますのはそのうちの一冊で「詩學貫珠」と題が書かれておりますわ。日付を見ますと天保辛卯ですから11代将軍徳川家斉さまの頃、西暦ですと1831年ですわね。

漢詩を作るための本のようで、中々内容が難しいのですけれども、読んでおりましたら、一度漢詩とい

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うら枯や帽子ゆきかふ喫茶店

うら枯や帽子ゆきかふ喫茶店

皆さまごきげんよう。
本日10月24日は二十四節気の「霜降(そうこう)」ということで、いよいよ秋も終わりの節となってまいりました。「木枯らし」の吹く季節ですわね。

徐々に色づき、そして寂しくなってまいります街路樹を眺めておりますと、否が応でも一年の経過というものを意識いたしますわ――。

この時期に吹きます強い北寄りの季節風を「木枯らし」あるいは「凩」と漢字で書きますけれども、俳句の歳時記ですと

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秋深き明治の音や銀時計

秋深き明治の音や銀時計

皆さまごきげんよう。
10月23日は、西暦1868年に元号が慶應から明治に改元された日ですわね。

本邦で新暦が用いられましたのは明治6年でまだ当時は旧暦ですからややこしいのですけれども、この秋空の下で「明治改元の詔」が発せられたと思いますと、なんだか「明治」にも季節感が感ぜられますわ。

そうそう。「明治」という元号はくじ引きで決めたそうでしてよ。

他のくじにはなんて書いてあったのかしら――。

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柿の実の若さのままに朽ちにけり

柿の実の若さのままに朽ちにけり

柿の実の若さのままに朽ちにけり

曳船や水音細き菊の宿

提灯の裏側にある夜寒かな

夜を寒み図書館の灯の煙りたり

香台の若き香りや菊供養

秋旻や実験室の色薄し

雨音や夕餉静けき予報円   創作季語(予報円:仲秋)