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レトロリブラ1st One-Man LIVE【もういちど】を終えて

…これってライナーノート?ふつうはライナーノートってCDとか音源とか出したときに、レコーディング当時の心境とか曲に対する気持ちみたいな解説を綴っていく様なものだと思うんだけど。ワンマンライブから数日経って、ヒートアップしていた頭もある程度落ち着いてきたかな、と感じています。【もういちど】のセットリストの曲たちの思い出を少し書いていこうかと。普段は見る専のnoteですが、試しにお邪魔してみます。

まだ12/11の23:59まではアーカイブをご購入いただけますので、未視聴の方は是非よろしくお願いします。


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僕はライブ中に1曲1曲の歌詞が聞こえるかどうかを、割と大事にしています。もちろん伝えたい事は沢山あるのだけれど、それは「自分が歌に込める想いを聴いてくれ」というより「勝手に想像して欲しいからこそ、聴こえないのは勿体ない」という感覚です。どう聴こえてくれてもいいし、どう解釈してくれてもいい。
僕のギターの音は僕の子音の発音と被る周波数を意図的にカットしているつもりです。メンバーもその意図を汲んでくれていると僕は感じています。そしてプレイハウスの音が素晴らしいので、かなり助けていただいています。
これから「あなたの意図」と違うことを書くかもしれませんが、そのあたりはブラウザバックなどお任せします。
(と言うほど歌詞には触れないつもりですが)

MC中にも軽く話したと思うけど、本当ワンマンライブって興味がなかったんですよ。より多くのミュージシャンが出演するステージの方が皆も見ていて飽きなくないか?俺たちも刺激受けるしさ、なんて。
だけど最近見た、とある先輩のワンマンライブのステージが凄まじくカッコよくて。まったく飽きなんて来なくて、本当はまだまだ聴きたかった。
自分もそうなりたいと思った。皆様に俺たちの音楽をたっぷり聴いてほしい、触ってほしい、と。
ご視聴ご来場本当にありがとうございました。皆様に支えられて実現したステージでした。初めてO.A.もオファーせずに自分たちだけで作ろうと前向きに思えたワンマンライブでした。
レトロリブラの今の形をとても誇らしく思えるのは、皆のおかげです。
今回のワンマンで良かった事は全曲「旧レトロリブラ時代から有った歌と新曲リブラ」で構成できた事。
反省点は1年くらい髪を切ってない事ですかね。

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0:闇夜の前に(アカペラ)

たしかレトロリブラ名義で初めてライブしたのが町田WestVoxだったと思うんだけど、その時には既に歌っていた様な…?
歌詞を書けば書くほど、嘘も本音も沢山並べなくてはいけなくて、芸術であろうとするほど嘘の割合が増えていくなぁ、と感じた時にふと「アカペラでライブに背表紙をつけよう」と考えて歌いはじめた。「言い訳」「先に謝っとく」と捉えていただいていいかと。今となってはレトロリブラのファンファーレみたいになっているといいな、と感じている。


1:命の記録


旧レトロリブラの解散直前くらいに作った曲。
歌詞はどう考えてもアレな感じになってますが、個人的には別れの歌ではありません。今となっては「もうすぐレトロリブラは終わるかもしれないな」という気持ちが加速していたんだと思いますが、イコール別離、別れ、という訳ではないと思ったんですよ。デルタという曲に「2つの星が出会う歌」っていうキャッチフレーズを勝手に自分でつけて喜んでるんですが、その後日談が書きたいな、という気持ちで作った歌です。
人間関係、嫉妬、いろいろ感じながら作った歌だけど、「自分とあなたの関係」より「あなたそのもの」に視点を置けるほど、俺はデキた人間じゃなかった、というひとつの結論。


2:夢見ヶ丘


コレはほんっとヤバい恥ずかしい。僕が大学生の頃に作った曲です(ほとんどギター弾けないのに)。
僕が通っていた大学は、毎年文化祭のテーマソング候補を生徒から募り、投票で決めて構内放送でかけまくって意識を高める的な伝統があるんですが。
まぁほとんど音楽専攻か軽音部員からの列挙になるんですよ。で、やっぱ採用率が高いのは明るくポップで耳に馴染む曲なんですが、なんかこういう曲作って応募したらどうなるんだろう的なノリで作った曲です。旧リブラの音源を予約特典で持ち帰っていただいた方は分かると思うんですが、当時は全然違うアレンジで演奏していました。いまではレトロリブラの大切な楽曲。ちなみに1票しか入りませんでした。恋をしていました。


3:デルタ


川野が先に書いてる様に、偶然俺が作りかけてた曲と川野が作りかけてた曲が合致して出来た曲。旧リブラでは演奏しないライブが無いほど、自分達にとっての必殺技だった。にも関わらず、歌い出し以外は敢えて歌詞を決めず、毎ライブ思いついた事をその場でテキトーに歌うことに固執していた。簡単な言葉でいいと思うの。歌詞さいきん決めたんだけど、ワンマンでは思いっきり間違えました。
レトロリブラというバンド名からも察していただけると思いますが、僕けっこう星座というか地学が好きで。「食変光星」と呼ばれる星があるんですけど、ちょう簡単に言うと【複数個の天体が密接な関係である場合、地球からは1つの星の様に見える上に、時間や時期によって光の強さや色が変わる珍しいセット星】の事を指します。正に俺たちというか。
で、天秤座のデルタ星が食変光星なのね。


4:ゴーストリスナー

元々のタイトルは「代弁者の歌」。
なんでだろう、この当時、ライブハウスで歌うミュージシャンがみんな敵に見えたんですよね笑
都合のいい歌詞に都合のいいメロディとルックスで客つけやがって!お前が望んでるものはそんなしょうもない事なのか!とかトガって思い上がっていた。
それが俺に出来ただろうか。自分を売り物にする覚悟が俺に有っただろうか。愛される為の努力をしてる奴らを笑う事が、本当に恥ずかしく思えて。彼らの歌は目の前の数十人、場合によっては数人の為に輝いていた。その命の灯火を、俺は嘲ってきたのだ。
自分には伝えたい事があると勝手に思い込んでいた。ただ愛されたいだけだった。自分を疑う事を初めて考えた時に作った歌。
彼らに顔向けできるミュージシャンになりたかった。


5:裸の部屋

「はらぺこ」という女性2人組のユニットがいたのですが。僕がまだアコギ弾き語りを始めて間もない頃から、企画に誘ってくださった大切な仲間で。
彼女たちの企画に出演するにあたり、30分間のソロライブを組み立てるには曲が足りない!って焦って作りかけていた曲。
ちょうどその頃、川野と2人で活動を始める感じになっていて「こういう曲を作りかけてるんだけどタイトルも決まってないのよね」って言ったら「じゃあ裸の部屋っすね笑」くらいの感じで半笑いで言ってきたんだよね。そこから足りない歌詞が一瞬で書けて、即はらぺこの企画に川野を連れて行った。それ以来2人で演奏し続けてきた曲。とってもギター初心者向けの曲だと思う。
この曲をぼけーっと聴きながら、今回のワンマンライブのタイトルを決めたんだよ。


6:リブラ


俺たちの希望の歌。
レトロリブラの復活をどこかでずっと願っていたんだと思う。だけどその青春の光に、もういちど手を伸ばす勇気がずっと無かった。綺麗なままの思い出が、良くない形で現実になるのがずっと怖かった。
川野とリハビリのつもりで始めた松下譜割というステージ、マツムラの情熱、かけるの純粋さ、旧リブラを知る人との再会、俺たちの音楽を聴いてくれるあなたたちとの出会い。
新曲作るなら「リブラ」というタイトル!と決めてから作った曲。作ってすぐに#カシカサレタカシで(仮)として歌いました。
今までの僕の歌詞とはかなり印象が違うと思います。ただ誇りたいのは、すべて本音の言葉で書けた事。
誰かは「集大成」、誰かは「最終形態」などと表現してくれてうれしい限りですが、本当にありったけのとっておきです。
実は大昔、前述の「デルタ」に「リブラ」というタイトルをつけようかと川野に相談した事があったんだけど、その時川野に言われた一言が「ソレは本当のクライマックスまで取っておきましょうよ」だったんだよね。


7:夜の双眼鏡

先述した「はらぺこ」との共同企画時、松永紋華と夜な夜な電話で「イベントタイトルどーするー?」会議をしていたんだけど、ずっと煮詰まってて。
最終的に俺たちが取った行動は「なんとなく格好がつきそうな言葉を列挙して、その辺を組み合わせてイベントタイトルにしよう」だったのよ。
で、なんとなく「夜の双眼鏡」っていうタイトルがついて。川野と「なんだよ夜の双眼鏡って笑」「え、じゃあ夜の双眼鏡って曲作っちゃおうぜ」って作った曲。
夜に双眼鏡、使うことあるかなぁ…?
あ、アレを双眼鏡代わりに使ってなかったっけ?
って曲です。大変エモい曲に仕上がりました。当時はかなり速いテンポで演奏していて、ピカロステイトのCDに入っているバージョンがソレに近いかと。
驚いたのは「はらぺこ」も当日に「夜の双眼鏡」という曲を作ってきたことです。あれも名曲だった。もう一度聴きたいねえ。

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【譜割ソロ】

・悲しみのある町

この曲について語る事が無いなぁ…笑
規模ちいさめの方の「町」を採用していますが、もちろん町田を歌った訳ではないので、町田を嫌いにならないでください。町田好きな皆さま、松下を嫌いにならないでください。
大きな失恋とかがあった訳じゃないんだけど、きっと喪失感に飢えていたんでしょうね。失くしてきたモノをどうやって自分が供養してきたのか、に興味があったというか。
今ふと思い出したけど、たぶんこの曲書いたのが四捨五入30歳くらいになった時だと思う。いろいろあったんだと思う。歌詞もメロディも書き切らない頃、ボツにしようか迷ってる時に秋田犬のリハでちょこっと歌って、PAのグッチに「あの初めて聴く歌は、歌った方がいいよ」って言われて30分くらいで仕上げて当日歌ったのが始まりだったかな。


・心の持ち主

冗談みたいな歌です笑

・おやすみ(バンドin)

すっごい迷ったんだけど、ワンマンライブで「手を洗おう」という曲を歌う事をやめたんですよね。
旧リブラからすると代表曲とも言える鬱ソング笑なんですが。
自分にも(おそらくお客様的にも)かなり精神的に負荷がかかる曲で、イベント的にもずーん、ってなるのを避けたかった。「手を洗おう」という楽曲自体はとっても好きなんだけど、ワンマンで「え、このあとどうしよう」みたいな空気になるのが嫌で。傷つけたい訳でも、傷つきたい訳でもないのに。楽しく帰って欲しいじゃない?
もし「手を洗おう」に興味を持っていただけたならYoutubeに大分昔のが転がってると思います。
で、ここまで前置きなんですが。その「手を洗おう」という曲の後日談を作りたかった、から作った歌です。Aメロは夜の双眼鏡との兄弟感があります。
旧リブラ時代に「手を洗おう」をカバーして歌ってくれた方がいて、それ聴いてすごく嬉しかったのと同時に「あ、視聴者側で見るとこんな気分になるんだ」って、すごくしんどかったのも覚えていて。手軽に救えやしないんだけど、俺なりの結論があってもいいかな、と思って。
レトロリブラがバンドinしてくれた、松下譜割からの最大のメッセージ。
どうかあなたの全てを赦してあげて欲しい。

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8:声がする方へ

前述した「手を洗おう」という曲が出来てから書いた曲だったかな?
「手を洗おう」が7分くらいある超大作(笑)なので、2分くらいで収まるサラッとした曲があると30分のライブが組み立てやすいな、と思っていたんです。旧レトロリブラでは1曲目か、最後に演奏することが多かっただろうか。
ギター弾いてる人じゃないとピンとこない単語かもしれないけど、ループステーション、ディレイ、オーバードライブ、コーラスなどのエフェクターを全開にしてアコギにかけて、グシャグシャピーピーしていることが多かった。シューゲっぽいと言えば聞こえはいいけど、単純にバンドサウンドに憧れていたんだと思う。
よくもまあ2人でやろうと思ってくれたよ、当時の川野は。


9:てのひら

あまりこういう事を書くものではないかもしれないけど、一部に松下譜割の実話が使われている曲。
珍しく、完全に歌詞が書き上がってからメロディつけたのを覚えている。で、結果6分越えの超大作(笑)が誕生してしまいまして。どこの歌詞も削りたくなかったし、個人的にはギリギリの表現してる箇所がいくつもあるんだけど、そこも推敲したくなかった。歌詞というより、文章にむりやりメロディつけてみた、に近い。演奏やアレンジは極力シンプルにしたかった。
そうすると、ライブで演奏するとダラダラした感じになるというか面白みがないなーって感じる気がして。
旧レトロリブラ時代にも僕はアコギ弾き語りソロでステージに立つことも多かったので、その時くらいしか歌ってなかったんじゃないかなぁ?
ただねぇ、ベース、コーラスとのアンサンブルが非常に気持ちいい曲で。「ドラムが入ったら緩急つくから、真っ先にライブでやろう!」って俺んちでずっと川野とガチャガチャ音出し続けてた曲だったなあ。


10:アトリエ

この曲は…本当に色々あった曲ですね笑
まず大元を辿ると中学生時代の親友が結婚する事になって、彼の門出に歌おうと思って作った曲でした。が…歌詞に絶望だの失望だの松下節が炸裂しまくって、式場で歌うわけにいかなくなってしまった呪いの歌です笑
たぶんレトロリブラとして演奏しようとした事はなかったんじゃないかな。原型は川野に聴かせていたと思うけど。
それから完成する事なく月日は流れ、旧レトロリブラは解散。ピカロステイトで「売れ線の曲が欲しい」となった時に、歌詞を完成まで持っていきました。ピカロの曲というイメージの方が強いかもね、どっちでもいいんだけど。
余談ですがピカロステイトというバンドの為にゼロから書き下ろした曲は「メルビレイ」「ペーパークラフト・アンソロジー」この2曲だけです。
なんだか自分の中では「友達の門出に作り損ねた」「売れる為に続きを書いた」という後ろめたさが、いつまでも呪縛となって最近まで演奏することに抵抗があった歌。
たしか久しぶりに歌おうと決意出来たのは星野源さんの「#うちで踊ろう」が僕にまで回ってきた瞬間でした。
まだ終わってねえけど、この2年、本当に大変でしたね。誰かの背中を押したり、支え合って赦しあえる歌が俺にあるとするならば、それは絶対に「アトリエ」だった。
で、ソレを見たマツムラから「え、アレ演奏しないの?」くらいな感じで言われて踏ん切りがついたというか。お前らと一緒なら怖くないよ、魔法は解けたが、呪いも解けたぞ、と。
今の形のレトロリブラで歌える事を本当に幸福に思います。新しい俺たちの門出の歌。
ちなみに今では結婚式で歌う専用のウエディングバージョンが存在します笑。


11:朝日の前に

原型は僕が大学時代に作った歌です。これを川野が気に入ってね。
色々シンプルだけど、実験的な曲ですよね。田宮さんに初めて聞いてもらった時には「ビートルズのエキセントリックな部分だけで作ったような歌だね」と評価いただきました笑
歌詞の完成に向けて考えたことは、旧レトロリブラの「夜明けの前に」というCDの裏表紙になる曲にしたくて。例のアカペラ曲に「闇夜の前に」と名前をつけたのもこのタイミングですね。
個人的には朗読するのが最も恥ずかしい歌詞。どうしてでしょうね。本音だからかもしれない。
たぶんこの曲もギター初心者には大変優しいコード進行になっていると思います。僕はギターが苦手です。


12:続きはまた明日


自分を売り物にするという事、ソレが果てしなく苦しい事、期待にも応えたい事、嫌われたくない事etc。
自分の中のたくさんの正論に責め立てられて自分に幻滅したり、だけど人気者になってゆく友人たちへの嫉妬心とか、歌いながら多くの事を感じてきました。
で、それぜーんぶ纏めて明日にぶん投げてやろうと思って書き始めた曲です。
厳密には当時掛け持ちしていた別のユニットの為に仕上げたんですが、なんか全然しっくりこなくて。そっちはそっちで全然別の路線だったんですよ。で、レトロリブラに持ち帰ったらすごくハマったというか、無理なく歌えたというか。
それからはシンプルに、僕らに会いに来てくれる皆様の明日を願える歌になっていきました。
子供の頃は当たり前に出来たこと。繋いだ手を一度離してバイバイ、そしてまた明日手を繋ぐ。
その日のライブは終わってしまうけど、そういうことをステージ上で出来たら何も悲しくないよ。


En:希望の或処

はいコレ。いちばん曰く付きの歌。
いったい何バージョンあるんだろう…箇条書きにしてみるか。
①はらぺこの1st音源「未明の歩み」リリースに伴い、短い「詩(文章)」をプレゼント
②試しにソレにメロディつけてみた(変拍子+ディレイでぐっちゃぐちゃVer)
③と思ったらはらぺこも詩にメロつけてきて「カシオペア」という名曲に
④だったら歌詞をしっかり書き直して兄弟みたいな別曲に仕上げよう(原型が完成)
⑤変拍子にこの歌詞だと合わないから最初だけスローな3拍子に変更しよう(半分だけバラード化)
⑥やっぱ全部スローテンポにしよう(現在の形へ)
紆余曲折あって、今ではコチラもレトロリブラの代表曲に。ひとつの希望を提案するロックバンド「レトロリブラ」のキャッチコピーの元になった曲です。予定調和させてくれてありがとう。皆様に最後に伝えたいメッセージ、アンコールはこの曲しかないと思っていた。

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【あとがき】 

 (かけるんば不在↑↑笑笑)
といっても、もう本当に感謝しかありません。
僕らの内側に触ってくれてありがとう。今度は俺たちから触りに行く。
再会はステージで、画面の向こう側で、音の鳴る何処かで。
2022年はMVとかEP作ったり、おもろい企画打ったり、もういちどワンマン(しばらくいいわ)とか、より一層楽しく音楽を届けに行きます。
今後ともよろしく。ありがとう。皆だいすき。

松下譜割

写真:amano yasuhiro
https://twitter.com/hiro_57p
https://twitter.com/hiro_pic09

新譜リリース【リブラ】


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