女友だちへ捧ぐひみつの恋文


わたしは世界一、きみのことが好きなのに。どうしてわたしは、わたしが女であるというだけで、きみの一番大切な人間になることができないのだろう?


多くの女の子に大切な友人がいたように。中学生だったわたしにも、とても好きな女の子がいた。


きみ以外の友人なんて、いらない。恋人も、家族もいらない。わたしはただ、きみとふたりでいられればそれでよかった。わたしたちはふたりでいれば、最高で最強だったから。


わたしたちは、光と影のように、いつも一緒だった。ハート型に折った手紙を回し合い、休み時間のたびに内緒話をして、昼休みはカーテンのなかでお弁当を食べた。


夕焼けに照らされた帰路にできるひとつの長い影を眺めながら、これからもずっと一緒にいようねと指切りをした。きみが笑うとできるふたつのえくぼが好きだった。靴をすり減らす内股の歩き方も、傷だらけの膝小僧も、日光が当たると茶色く透けるショートカットも、ぜんぶぜんぶ好きだった。


それはたしかに、わたしの初恋だったと思う。


高校のとき、彼女に初めての彼氏ができた。彼女のなかの優先順位は、1番が彼氏、2番がわたしに変更された。


花火大会の夜だった。きみが彼氏とキスをしているところを見た。わたしは知らなかった。活発なあの子が、好きな男の前だけはしおらしくなるということ。別人のようなその横顔を見て、胸の奥が軋むように痛んだ。わたしはきっと一生、きみにそんな顔をさせてあげることができない。


夏休みが終わると、わたしときみの間には、決して埋めることのできない距離ができていた。何年も何年も何年も経ってから、きみが結婚したことを人づてに聞いた。毎晩の電話を欠かさないほど好きだったのに、今はきみの声さえも思い出すことができない。そんな風に疎遠になってしまった女ともだちが、わたしには何人かいる。


大人になって、大切なものが増えて、きみの一番になることを、あきらめられるようになった。きみとわたしの蜜月のような期間が過ぎても、長く細く続いてゆく友情に、愛おしさを感じられるようになった。


けれど、ごく偶に、わたしは思い出してしまうのだ。波紋なく、安らかで、水にたゆたうような、あの頃の時間を。誰よりも近くに寄り添って、きみとわたしが、わたしたちだけが、世界にたったふたりぼっちでいられますようにと願った、あの頃の日々を。


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