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【詩】衝突

私の運転する車が壁に突っ込んでいく
もうぶつかるというところで目が覚めた

「飲酒運転がいけないのはね、ババァ轢いたときに手応えがないからだ」
なんて、舞台上の和服のじいさんは言った
そのじいさんは大勢を相手に話しているのに、
まるで私ひとりに面と向かって話しかけているみたいだった
その人から「バカっ!」と言われているような気がした

口が「い」と言うときの形に開いている長身の男は、
常に否定からはじめる自分自身を変えようともがいては駅の階段から落ちた

なんて恐ろしいことだろう
私は避けることを学ぶために合気道をはじめた
稽古中に一発、手刀を顔に入れられた
本物の刀じゃなくてよかったと思った

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