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『俺のかわいい人面瘡』(バイリンガル餃子)

 金曜日の朝急いでいてテーブルで左膝を強打してしまった。その夜風呂に浸かっているとその部分が赤茶色になっており、形があるものに似ていることに気がついた俺は、風呂上がりにペンでそれを囲み餃子のイラストに仕立てた。本物ソックリに美味しそうに描けたので満足し就寝したのだが、翌朝膝に違和感を感じ目を覚ますと、その餃子がむにむにと口(と思われる襞の部分)を動かしていた。
『◯✕△□※@……』
「!?」
『◯✕△□※@……』
 何か必死で話しているのだがそれが何語なのかさっぱりわからなかったので、スマホの翻訳アプリをそれに近づけてみた。
『ご主人様、お早うございます!痛みは大丈夫ですか?普通の人はあざを見ると顔をしかめるのにご主人様は違った。こうして私を描いてくれて嬉しいです』
 どうやら餃子語で話しかけてくれているらしい。餃子に言語なんてそもそも存在するのか?俺は寝ぼけているのかととりあえず顔を洗いに行ったが戻ってくると『今日は何をして過ごすのですか?』と話しかけてきた。やはり聞き間違いではないらしい。
 あまりにも明朗に話しかけてくるので、俺はこの子と散歩に行きたくなった。
 早速デニムに履き替えたのだが、人(餃子)面瘡が苦しがるといけないので膝の部分に穴を開けた。適当に開けたので少し不格好になったが、彼女との散歩は撫子色に満ちていた。
 しかしその夜上機嫌で全身を石鹸で洗ってしまい、そのせいで餃子が薄くなってしまった。俺は急いで彼女に話しかけたのだが、もう二度と応答は無かった。

                (了)

このお話はこちらの企画に参加していますφ(..)✨

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