メガネは全て見ていた(メガネ×朝帰り)
油断していた。デイリーコンタクトの在庫がまだ引き出しのなかに一箱あると思っていたのに私の記憶違いだったのかそこに存在していなかった。
翌朝、仕方なくメガネで出勤することになった。
酷い近眼の私は近視用のメガネでは目が一回りもふた回りも小さく見えるので外ではなるべくかけたくなかったのだが致し方ない。
デスクに座ると早速後輩が話しかけてきた。
『先輩、メガネなんて珍しいですね。いつもより目がちっちゃ!!(笑)』
「あんまりこっちを見ないでよ」私は冷静に返答すると仕事に取りかかった。
終業後更衣室で着替えていた時に一瞬メガネを外したのがまずかった。
誰かに盗られてしまったのだ。
度の合わないメガネを盗ってもなんの役にも立たないだろうに……。
仕方なく非常時用にとロッカーに置いていた予備のメガネをかけて帰った。
翌朝、私は早くに出勤し後輩を更衣室で待ち受けた。
『先輩早いですね。おはようございま~す!!』
いつもと変わらないトーンで話しかけてくる彼女に私はこう告げた。
「あなた、付き合ってるでしょ、私の彼氏と」
私は彼女の鞄を奪うと、その中にあった自分のメガネを取り出した。
「嫌がらせのつもりで盗ったんでしょうけど逆効果だったわね。夕べのことはこのメガネが一部始終見てたのよ」
そう言うとフレームに付いている小さなボタンを押し、そこに録画されている映像を再生しはじめた。
(了)
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