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うつ病といっしょに仕事をする

こんにちは、fūun.Incの峯田です。
もう直ぐGW、そして5月がやってきます。
4月の疲れがどっと来て、久々に会った地元の友達と話したら色々比べちゃったりして、感情が渦巻く時もあるでしょう。
そんな時この記事を読んで、少しでも明日の力になることができたらうれしいです。


不安で眠れない夜に

わたしのうつ病はまず、不安と動悸でうまく眠れなくなりました。
生まれてこの方、一夜漬けや徹夜やに無縁の人生でしたので、眠れないことは精神的にも身体的にもかなりの異常事態でした。
すごく怖かったです。
寝たら寝たで、いつも怖い夢を見ます。
追いかけられたり、取り返しのつかないことをしてしまったり、デスゲームに参加していたりするのです。
そんな状況を支えてくれたのは、「小説」と「いい香り」でした。

違う世界に意識を飛ばす

眠れなくなったわたしは、いい匂いを嗅いで、小説を読むことにしました。
意欲的に「時間がある!そうしよう!」となったのではなく、どうしたら眠れるのか、不安なことを考えなくていいのかを真剣に考えていました。

イギリスのサセックス大学の研究によると、わずか6分間の読書によりストレスが3分の2以上軽減される。

Xにポストしてくれた人ありがとう。

そんな誰かのtweetか、ポストかを見かけて藁にも縋る思いで、本を開きました。

続けていくと、見えてきた

はじめは6分と決めてやっていたのですが、どんどんこれが1日の中で好きな時間になっていきました。
小説を選ぶ、少しずつポジティブな選択が生活の中に入ってきました。
その小説の中のひとつが「透明な夜の香り」という千早茜先生著の1冊です。
この本で私の中に「香り」という選択が生まれました。

「香り」は言わば「嗅覚からの情報」です。
嗅覚は五感の中で唯一、大脳辺縁系に直接繋がっているため、感情や意欲、記憶に結びつきます。
この知識は「ダンタリアンの書架」Episode 16 『調香師』でも教えてもらいました。

ありがとう、千早茜 先生。ありがとう、三雲岳斗 先生。
先生方の物語は私の命を繋いでくれています。

香りを探しにいった

わたしは「透明な夜の香り」を読んで、それを探しにいきました。
すごく素敵なタイトルだと思ったのです。
透き通ってクリアな綺麗な空気を深呼吸して吸い込んだら、肺が綺麗な空気で膨らんで、不安と一緒に吐き出せる気がしました。
でも香りを探すのは始めてだったので、右も左もわからぬまま、なんとなく三越にはいりました。
休職させてもらっていたので、昼に。ちょうどよく、病院の帰り道に三越があったのです。

そこに入っていた香水の専門店は1つだけで、「JO MALONE」でした。
「わたし安心して眠りたいんです」みたいなことを言った気がします。
あまりに抽象的な要望にも、店員さんは真剣に一緒に考えてくれて、丁寧にたくさんの提案をしてくれました。

これだ!という逸品に出会えたのは奇跡としか言いようがないです。
当時、休職中。傷病手当をいただいているものの、嗜好品にお金を使っていいのか?2万円はその時の私にとって、安くはない金額でした。
それでも、買って、毎日使ってちゃんと寝て、今があるので結果論ですがよかったと思います。

ずっとうつ病のわたしを支えてきてくれたのがこちら。
ウード & ベルガモット コロン インテンスです。「透明な夜の香り」としての解釈は個人的なものなので、優しく見守ってほしいです。

脳を休めるルーティンをつくる

こうして、わたしのナイトルーティーンは作られました。
23:00 日記を書く(ほぼ日の5年手帳です)
23:15 小説を読む
23:45 歯磨きをする
23:55 香水を振って、心を洗って布団に入る

この1時間で今日を精算して、心をなるべく空にして眠るようにしました。
半年くらい続けたとき、自分が爆笑した声で朝起きたときは、涙が出そうなくらい嬉しかったです。
(ちなみにその時の夢は劇場版名探偵コナンの豪華客船で海に爆弾を投げ入れるのに失敗して一度甲板に爆弾を回収しにいくという内容でした。)

仕事とどう向き合うか?

もともと仕事が好きでした。
それでも、仕事が原因でうつ病の扉を開くことになりました。
「自分はこの職で食べていくのだ」そう思っていたので休職した時はこれからどうやってご飯を食べて行こうと、不安はさらに加速しました。

苦手と向き合う

この先、生きていく上で「自分が何が苦手なのか」に向き合う必要があると思いました。
みなさんは「苦手なこと」と聞いて何をあげますか?
今までだったら「ダンス(リズムに乗れない)」「サッカー(足が絡まる)」「ゴミの分別(捨てるものに対して悩むのが嫌)」などと答えていました。

でも、その向き合い方では本質的に生きるための判断軸になり得ないと気づきました。個別事象ではなく法則性を見つけるべきだと思いました。

言語化をしにいく

自分というものは生まれた時から一緒にいるので、もはや空気のようなものです。改めて存在を認識することはとても難しいと思います。
そんな自分を客観的に分析してもらうことで、自分という空気の輪郭を知ることができるから、みんな診断が好きなのではないでしょうか?

わたしは「ホロスコープ」をはじめとした、占いが好きです。
それは自分を構成する要素を言語化できるからです。
すべては運命なのだ!とか、星の導きのままに!とか、そういのはまだよくわかりません。でも、自分を知るための言葉探しにはとても向いていたと思います。

色々な方に占ってもらったり、自分で勉強したりで最終的に収束させた答えができました。
わたしは「嘘」「ごまかし」「虚勢」が苦手です。
自分がするのも、されるのも。
当たり前じゃん、みんなだよ、当然そうなのですが、私の場合は体調に影響するほどの嫌悪なのです。

伝えることで、はじめて知ってもらえる

当たり前なのですが、言わなきゃ伝わりません。
普通そうでしょ、当たり前じゃん、という言葉でコミュニケーションをサボってはいけません。

休職中の面談では、当時部長職だったわっしー(fūun代表)が担当してくれました。この人はすべてを聞いてくれました。
否定せず、持論も挟まず、諦めろとも言わず、得意なことで貢献すればいいと言ってくれました。

それからの仕事でも彼女は「嘘」「ごまかし」「虚勢」はなかったです。
それだけで、私は仕事ができるようになりました。

ストレスをシンプル化する

仕事ではもちろん、なかなかデザインFixしなかったり、いいコピーができなかったり、バグ対応で焦ったり、本番アップで緊張したり、誰かがやってくれるだろうというマインドに怒ったり、そういうことはありましたが、それは私のうつ病に作用するものではありませんでした。
単純な怒り、焦り、苛立ちという感情のどれかです。
いままではこうした「ストレス」っぽいものすべて包含して原因だと思ってしまっていたのかもしれません。

解決すべきポイントを言語化してシンプルにしたことで、ぐんと生きやすくなりました。

環境のせいにしないでいたい

悪い人はいないと信じていたいです。(稀にこれは流石に…という時はありますが)だからすべては絶対的ではなく相対的だと思っています。

環境とは自然とか、地球とか、大地とか、そういう意味もありますが、私たちはよく「身近な仕組み・人の属性」をまとめて環境と呼んでいるような気がします。

暗黙の了解、マナー、ルール、常識、法律、契約、上司、部下、血縁関係、こうしたものが言わば「環境」と言われる時、それを変えようとするのはとても労力のいることです。

なので、個人が変わるか、居場所を変えるのが早いですね。
実際、その場所でも生きていける人はきっとたくさんいるのです。

「才能や個性のある人がいきいきと、ものづくりできる居場所をつくりたい」
これはfūun設立で私が大切にしたいことです。

選ばれる“居場所”をめざして

ここまで書いた通り、わたしは「嘘」「ごまかし」「虚勢」で具合が悪くなるうつ病です。今も治っていないし、これから一生付き合うのかもしれません。
わたしたちfūunは環境をメンバーみんなでつくります。
当時、私に仕事復帰をさせてくれた上司であるわっしーと一緒に作っていく会社です。
フルリモート・フルフレックス軸に一人ひとりが自分の生活を愛せるように、毎日が少し幸せであるように、努力をし続けます。

現在、fūun.Incではデザイナーさんを大募集しています。
繊細な感性をもつデザイナーさんは、その感性故に生きづらさを感じることも少なくないでしょう。
もしかしたら、わたしたちが環境を用意できるかもしれません。
ご興味があればぜひ、お声がけください。


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