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おじいちゃん、只者ではないですね

通勤途中のJR。

今、目の前のおじいちゃん、只者ではない気がする。

こう言っては失礼だが、顔立ちはなかなか地味である。どこかほのぼのとした印象は、田舎の好々爺といった感じか。少し目立ちはじめた無精髭も、お洒落でたくわえているようにはあまり見えない。二、三日、髭をあたるのが面倒だった、そんな感じだ。

しかし、その頭に乗っているのは、『パタゴニア』のキャップ。パキッとした黒からして、真新しいことが想像できる。
ダウンは『ストーンアイランド』色はダークグレー。定価で買えば14、5万はするだろうか。
ふと足元に目を移すと、『ボグス』のスノーブーツ。確か今シーズンのニューモデルだと記憶している。なかなかシブい。
ところが、だ。ダウンの前ファスナー全開から見えるインナーは、まるでパジャマの様なのだ。スエット地のズボンも、よりその印象を強めている。どちらも少しくたびれた感じだ。

ファッショナブルなお年寄りは、このご時世、随分と多い。それとは一線を画した雰囲気が、なかなかの迫力である。

思うに、実用本位のチョイスと思われる。
パタゴニアの帽子は、アウトドアでの使用を想定しての商品。当たり前に、素材、作りにおいてしっかりとした物であることは間違いない。
ストーンアイランドに至っては、その暖かさは想像に難くない。
ボグスの靴は、滑りにくいことには定評がある。
そのどれもが、実用面での評価が高いものばかりだ。
それに引き換えパジャマの様な上下。
そこには、殊更の機能は必要ないとの判断なのだろう。
『ストーンアイランド』のダウンにベースボールキャップというのも斬新だ。ブランドの選定もなかなかの通好み。きっと色々と検証した結果なのかもしれない。
いや、そうに違いない。

失礼とは思いつつ、なかなか目が離せずいる。
こちらに気が付いてはいらっしゃらないようで助かる。

お孫さんのものを黙って借りてきちゃった訳ではないことを祈る。
もしそうならおじいちゃん「そりゃお孫さんの怒るよ」

#エッセイ #ファッション #ブランド #日記 #通勤

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