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シリーズ:コロナと激動の消費者心理【1-3月期調査①】バブル世代の幸福感がだだ下がり!一体何が

企画・製作 株式会社矢野経済研究所 未来企画室

このシリーズでは、WEBアンケート定点観測調査(年4回実施)をもとに、日本の消費者の消費・心理・生活がコロナ禍でどのように変化したのかについて、気になるトピックを調査ごとにお届けしています。

当シリーズ投稿の趣旨や出典元の消費者調査につきましては、初回の記事でご紹介しておりますのでご覧ください。

<シリーズ説明>

調査概要
世代区分

バブル世代の幸福感がだだ下がり?

四半期前(3か月前)と比較して、回答者自身が感じる幸福感がどのように変化したかを、「改善した」「やや改善した」「変わらない」「やや悪化した」「悪化した」の5段階で質問し、幸福感の動向指数(DI値)を算出した。下図は、世代別の結果を示したものである。

幸福感DI【世代別】(n=3600)

1-3月期の幸福感DI値は、バブル世代の値が大きく低下する結果となった。コロナ禍が始まった直後の下落とは比較できないものの、2020年4-6月期以降で、最大の下げ幅となった。同様に、その一つ上の世代のしらけ世代や、二つ下のポスト団塊ジュニア世代も低下している。一方、ゆとり世代やプレッシャー世代の若年2世代はそれほど大きな影響を受けていない。バブル世代の一つ下の団塊ジュニア世代も同様だ。これらの違いはなぜ生じたのだろうか。また、なぜバブル世代が最も低下の影響を受けることとなったのだろうか。

原因は?

今回、特にバブル世代の幸福感DIが大きな低下の影響を受けたのは、生活に直結する物やサービスの価格が上昇していることが大きな要因と考えられる。ガソリン価格の高騰に始まり、直近では生鮮食品や加工食品での値上げが顕著だ。特に、消費に生きがいを感じるとされるバブル世代にとって、幸福感への影響が著しいのも納得だ。また、オミクロン株による第6波の影響も大きいものとみられる。重症化しにくいといわれる一方で、かなり感染は拡大しており、身近に感染者や濃厚接触者が多くなる事態となった。また、学校園等での子供の感染拡大も広がり、学級閉鎖や子供自身の感染の影響も受けたとみられる。

若年世代が低下しなかった原因は

一方で、ゆとり世代とプレッシャー世代の若年2世代のDI値は、若干の低下の影響を受けているものの、ほとんど変わっていない。若年層は、単身世帯など生活に余裕がある世帯も多いため、まだ直接的に値上げの影響が出ていないものと思われる。また、オミクロン株による影響についても、あまり警戒しすぎる必要もないとの認識が広がっていると推察される。そのため、幸福感DI値に対して大きな影響が出なかったとみられる。

特別な団塊ジュニア世代

ところで、団塊ジュニア世代は今回、高年4世代において唯一、幸福感DI値の低下の影響を受けていない。よく見ると、調査を開始した2020年4-6月期以来、他の世代と比較すると、あまり数値に変動がない。団塊ジュニア世代は、いわゆる就職氷河期世代であり、これまで経験してきた苦境から、幸福感に対してはより達観した目線になっている人が多いのではないだろうか。そのため、今回のオミクロン株と価格上昇のダブルパンチを受けても、大きな影響を受けなかったのではないかと考えられる。

出典:「コロナ禍の消費者心理・消費・生活を捉える定点調査2021」

※本シリーズの投稿内容はすべて執筆者の個人的な見解を示すものであり、執筆者が所属する団体等を代表する意見ではありません。また、投稿内容はいかなる投資を勧誘もしくは誘引するものではなく、また、一切の投資の助言あるいはその代替をするものではなく、また、資格を要する助言を行うものではありません。

今春、矢野経済研究所 未来企画室は新プロジェクトを始動しました。 『未来を数字に』をコンセプトに、独自の切り口で、今はまだ数値化されていない未来の価値や潜在価値などを、あれこれ数字で表現していきます。