シリーズ:コロナと激動の消費者心理【1-3月期調査③】離婚する世代が若年世代から中年世代へシフト
企画・製作 株式会社矢野経済研究所 未来企画室
このシリーズでは、WEBアンケート定点観測調査(年4回実施)をもとに、日本の消費者の消費・心理・生活がコロナ禍でどのように変化したのかについて、気になるトピックを調査ごとにお届けしています。
当シリーズ投稿の趣旨や出典元の消費者調査につきましては、初回の記事でご紹介しておりますのでご覧ください。
離婚する世代が若年世代から中年世代へシフト
「離婚(別居など事実上の離婚含む)」というライフベントについて、この四半期(3か月間)に経験した人の割合を世代別に調査した。下図は世代別の結果を示している。
前回調査の10-12月期調査では、離婚した人の割合が、ゆとり世代とプレッシャー世代の若年2世代で高くなった。今回の1-3月期調査では、団塊ジュニア世代とポスト団塊ジュニア世代の割合が高くなった一方で、プレッシャー世代の割合が大きく低下した。離婚をする人の割合が高い世代が、秋から冬にかけて、若年世代から中年世代にシフトしたかたちとなった。
影響を与える外的要因から考察
離婚は、それまでの関係性の中で様々な不満が積み重なり、なにかの出来事をきっかけにして、ある日意を決して踏み切ることが多いと考えられる。したがって、本人の事情のほかに、外的要因も少なからず影響する。前回の10-12月期は、感染拡大がなく、コロナ禍が始まって以来最もコロナ禍を意識しなくなった時期だった。それまでコロナ下で我慢していた関係に、若年世代はこのタイミングで意を決したものと考えられる。一方で、今回割合が高まった中年世代は、先のコロナフリーの時期を経験し、再び感染拡大に見舞われたこの1-3月期に、意を決した人が多かった可能性がある。再びともにコロナ禍を耐え忍ぶパートナーとしてはふさわしくないとの決断に至ったのだろうか。また、もともと離婚は1-3月期の年度末に多い傾向にある。年度の節目に合わせることが多いためだ。コロナ禍で動きが取れないことから、踏み切れないでいた人たちが、徐々に弱毒化していくコロナを横目に、もうそろそろいいのではと動き始めたのかもしれない。
今春、矢野経済研究所 未来企画室は新プロジェクトを始動しました。 『未来を数字に』をコンセプトに、独自の切り口で、今はまだ数値化されていない未来の価値や潜在価値などを、あれこれ数字で表現していきます。