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シリーズ:コロナと激動の消費者心理【7-9月期調査②】興行イベントへの参加が女性を中心に急回復!その原因は?

企画・製作 株式会社矢野経済研究所 未来企画室

このシリーズでは、WEBアンケート定点観測調査(年4回実施)をもとに、日本の消費者の消費・心理・生活がコロナ禍でどのように変化したのかについて、気になるトピックを調査ごとにお届けしています。

当シリーズ投稿の趣旨や出典元の消費者調査につきましては、初回の記事でご紹介しておりますのでご覧ください。

<シリーズ説明>

調査概要

興行イベントへの参加が女性を中心に急回復!

「興行イベント(舞台、コンサート、ライブ)」の参加率と参加の見通しを調査した。下図は男女別の結果を示している。

興行イベント(舞台、コンサート、ライブ)の参加率と見通し【男女別】(n=3600)

興行イベント(舞台、コンサート、ライブ)への参加率が、特に女性を中心に急拡大している。今回の7-9月期調査では、女性の興行イベントへの参加率は3.3%となり、コロナ禍が始まり、調査を開始して以来最高値となった。外出が最も活発になった昨年10-12月期の2.4%を大きく超えている。

男性は、前回の4-6月期に大きく低下し、今回再び回復した。しかし、女性の参加率とは一線を画す低い値となっている。その後も回復が見込まれているが、女性の回復の推移と並行線となっており、男性の回復が女性の回復に一足遅れる結果となっている。

その原因は?

 なぜ、参加率の回復に男女差が生じているのだろうか。

男女の参加率は、昨年の4-6月期以降、今年の1-3月期ごろまで大きな差は見られず、同様の推移となっていた。男女差が明確に表れ始めたのは、前回の4-6月期からだ。このとき、男性の参加率は減少し、女性の参加率は増加するという、正反対の結果となっていた。4-6月期は3回目の緊急事態宣言が出された時期だ。このころから、緊急事態宣言が出されていようとも、人々の間で外出を増加させる機運が高まった。これに応じて男女ともに参加しやすい状況となっていたと考えられる。

しかし、それでは男女の差は説明できない。これには、そもそも公演の実施件数が影響しているのではと考える。男性アイドルグループを多数抱えるジャニーズ事務所は6月2日に、緊急事態宣言下でも一定のガイドラインに沿ってコンサートライブを再開させる旨を発表した。これに伴いジャニーズ関連のライブはこのころより順次再開されているようだ。女性ファンが多いことを考えると、ジャニーズのライブ再開に伴って、女性の参加率が上昇した可能性が高い。また、こうした再開の流れは各所に波及すると考えられ、様々な女性向けイベントが再開へと舵を切っているのだと想像される。

したがって、男女の参加率の回復の差は、女性向けイベントの再開が先行していることによって生じているのではないだろうか。もちろん、もともと女性の参加率の方が男性より高く、コロナ禍において抑制されていたために、昨年1年間は同様の参加率となっていた可能性も考えられる。これについては引き続き回復の状況を注視していきたい。

 出典:「コロナ禍の消費者心理・消費・生活を捉える定点調査2021」

※本シリーズの投稿内容はすべて執筆者の個人的な見解を示すものであり、執筆者が所属する団体等を代表する意見ではありません。また、投稿内容はいかなる投資を勧誘もしくは誘引するものではなく、また、一切の投資の助言あるいはその代替をするものではなく、また、資格を要する助言を行うものではありません。

今春、矢野経済研究所 未来企画室は新プロジェクトを始動しました。 『未来を数字に』をコンセプトに、独自の切り口で、今はまだ数値化されていない未来の価値や潜在価値などを、あれこれ数字で表現していきます。