【対談vol.3 前編】プロフェッショナル同士の信頼で紡いだコロナ明けキャンペーン「Beyond #Missing Japan」_全日本空輸株式会社
今回はアジア在住者に向けた、コロナ禍収束後に日本への観光需要喚起を目的とした"Beyond #MissingJapan "キャンペーン施策について、
全日本空輸株式会社 アジア・オセアニア室 マーケットコミュニケーション&パートナーシップ マネジャー 近澤さんと FTSG・COO兼プロデューサーの高関にお話しを伺いました。(以下、敬称略)
1.コロナ禍が明けたら伝えたかったメッセージ
――「Beyond #MissingJapan 」の企画背景について教えてください。
近澤:
企画の始まりはコロナ禍の初期で、当時新型コロナウイルス(以下コロナ)の影響で日本への観光需要が激減しました。しかし、私たちANAはコロナ禍はいずれ明けると信じ、その時に再び日本への観光需要を高めるために今回の企画を構想しました。
アジアの人々が日本に行きたいと思ってくれて、さらにそこでANAを選んでくれるような魅力的なメッセージやコンテンツは何かを、フューチュレックさんと一緒に考えていきました。
高関:
アジアの方々にコロナ収束後の旅行先の選択肢として日本を選んでもらうことが企画の目標ではありましたが、別の視点としてコロナ禍で「旅行しよう!」というメッセージを打ち出すことが不謹慎だと思われないか?という視点も重要視しました。
旅行業界にとっては、逆風をひっくり返すようなインパクトのあるメッセージが必要という視点はありつつも、こちらの言いたいことだけを伝える視点ではお客さまはさらに離れていってしまうと考えたからです。世の中のインサイトを深く理解した、お客さまにとって納得度が高いメッセージを考えることに時間をかけました。
――フューチュレックを選定した理由や、期待していた点は何でしたか。
近澤:
複数の企業からご提案をいただいたのですが、フューチュレックさんのご提案は非常に満足がいくものでした。まずご提案いただいた「Beyond #MissingJapan 」というフレーズがキャッチーで、私たちが伝えたいメッセージがダイレクトに伝わるものだと感じました。さらにコンテンツのご提案も魅力的でした。360度カメラを活用した映像で、まるでお客さまが日本に訪れているかのような体験ができるだろうと想像できるものでした。また、各国の有名なインフルエンサーを活用することや、360度の映像コンテンツに入る前の日本にワープしているような非現実的でスピード感のある表現も面白いと思いました。フューチュレックさんのご提案は日本をmissingしてもらう直球のアイデアであり、日本に訪れたいと思わせる仕組みがわかりやすくまとめられていました。
高関:
日本に行ったことがある人たちがInstagram等のSNSで「#MissingJapan」というハッシュタグをよく使っていて世の中のインサイトに合致していると考え、「Beyond #MissingJapan 」をキャンペーンの中心の言葉とし、全施策の中で活用するメインコピーとして重用しました。
――コロナ禍での進行で、特に大変だったのはどんなところでしたか。
近澤:
プロジェクトは2020年4月に始まり、2022年4月にローンチしました。コロナの影響で自粛中は撮影にもなかなか行けず、当初の想定よりだいぶ時間がかかってしまいましたね。スケジュールが色々と後ろ倒しになってしまい、フューチュレックさんには諦められてしまうんじゃないかと不安もありました(笑)。でも最後まで皆さんが諦めずにご一緒してくださり、本当に感謝しております。
一番大変だったのはプレスリリースのタイミングでしたね。フューチュレックさんにはかなり綿密にご調整いただき、日本政府のコロナ規制緩和の発表直後の最適なタイミングでリリースを出すことができました。
高関:
政府の国境解禁発表より先に情報を出すことはできない中、政府発表からいかにタイムラグを短くできるかでニュースバリューが変わります。政府発表タイミングが決まってからすぐにリリースが出せるよう、ファクトチェックと関係各所との連携を入念に行い正式GOを待ちました。インフルエンサーとの情報共有も直前まで逐次行ったことで、インフルエンサーのSNS投稿もほぼ同じタイミングで実施してもらうことができました。
2.それぞれがプロとしての責任を持ち信頼し合う、フラットなパートナーシップ
――日本の旅先はどのように決めていったのでしょうか。
近澤:
コロナ禍でも進化した「新しい日本」を紹介したいという気持ちがありました。今回、目的地として設定した東京、富士五湖、金沢は、「久しぶりの日本に行くならこういうところに行きたいよね」と、シンガポール人やインドネシア人、カンボジア人のスタッフと議論を織り交ぜながら決めていきました。
香港、台湾の方々には、週末弾丸旅行にもフィットする、東京から移動して1泊でも楽しめる富士五湖でのグランピングを訴求。日本旅行のリピーターが多いシンガポール、タイの方々には、まだ訪れたことがない人も多い金沢を提案。マレーシア、インドネシア、フィリピンの方々は、初めて日本を訪れる方も多い中で、東京らしい東京と、新しい東京の組み合わせを体験していただこうと、それぞれ東南アジア現地の方々のインサイトに寄り添い目的地を選定しました。
高関:
私たち日本人は東南アジアと一括りに捉えてしまいがちですが、私も実際にシンガポールに引っ越してきて、それぞれの国が非常に異なる文化や価値観を持っていると感じます。その違いを捉えたコミュニケーションにすることをANAさんはとても大事にしていらっしゃいました。
ANAさんには、多くの現地スタッフの方がいらっしゃいます。どうしても日本人と実際のコミュニケーションのターゲットとなる現地の方との間には、ニュアンスや思いに差が生じることもあるので、現地の方のインサイトを掴むという点でANA現地スタッフの皆さんの意見は本当に貴重な情報でした。例えば、台湾人や香港人が弾丸旅行するとなった時に、日本でできる新しい体験はグランピングだという発想は私たちでは浮かびませんでした。
そのような現地の方の視点を、最大限魅力的な映像やグラフィックに落とし込むにはどうしたら良いのか?という部分で弊社はプロフェッショナルを発揮できたのかなと思います。言葉ではよく聞く「クライアントさんと一緒にクリエイティブを作り上げる」ということができたプロジェクトだったのかな、と自負しています。
近澤:
具体的な撮影スポットについては、フューチュレックさんとANAで意見が分かれることもありましたが、でも良い意味でぶつかり合えたというか、健全な議論ができましたし、プロジェクトを進める上で大切なことだったと思います。
――プロジェクトを進める中で、フューチュレックが他のパートナー企業さんと違うと感じるところはありましたか。
近澤:
クリエイティブの品質が高いことはもちろんでしたが、全体のスムーズなプロジェクト進行にも感謝しています。ディレクターの高山さんやアシスタントPMのシャオヤオさんには大変助けられました。スケジュールやアジェンダなど一つ一つが丁寧で、定例会議での細かなフィードバックや先回りした注意喚起など、円滑なプロジェクトマネジメントをしてくださいました。特に私のチームメンバーはよくシャオヤオさんに相談していました。高山さんもシャオヤオさんもレスポンスが速く丁寧なので、ストレスなくコミュニケーションが取れました。
高関:
このプロジェクトには関わる人が非常に多く100〜200人程が参加していたので、進行も大変だったと思いますが2人はよく頑張ってくれました。
近澤:
クリエイティブに関しても、アウトプットを出される前に都度細かく説明があるので、その仕上がりに「思っていたのと違う」と驚くことはありませんでした。一つ一つ制作の意図や背景を丁寧に説明していただいたので、自分の言葉で説明できるくらいに理解が深まりました。
私たちはパートナーであるフューチュレックさんと一緒に同じものを作っているという意識を持っていました。フューチュレックさんとはフラットな関係性で意見を交換でき、良いパートナーシップを築けたと思っています。
高関:
プロジェクト期間が長かったのもあり、お互いしっかりと目線を揃えることができたと感じています。
ANAさんは日本本社やJNTO(日本政府観光局)をはじめ多くのステークホルダーとの連携が必要で、大変なご調整だったと想像していますが、近澤さんが我々とワンチームのような形で先方とコミュニケーションを取ってくださり、大きなプロジェクトでありがちな「伝達ゲームの途中で制作者の意図が薄れてしまう」ということにはならずにすみました。
後半では、キャンペーン実施後の評判などに迫ります。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
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