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【対談vol.5 前半】デジタルテクノロジーでエンターテインメントを!遊び心のあるアイディアから生まれた「にんじゃWINDOW」

フューチュレックは、デジタル×クリエイティブを軸に、企業システムの構築から広告制作、テクノロジーを活用した新規事業開発まで、 デジタルに関わるすべての企画・制作・プロデュースをおこなっています。
そんなフューチュレックが、クライアントの課題にどのように向き合い、解決していったか。ご相談いただいたクライアントの皆さまと、制作当時のことを振り返っていきます。

電通・二番工房・フューチュレックの三社による合同チームにより開発された、電車の窓を活用し、移動時間をエンターテインメントにする新サービス「にんじゃWINDOW」。
特許も取得した「にんじゃWINDOW」の開発について、株式会社電通の柴田様と弊社プロデューサー武田にお話しを伺いました。(以下、敬称略)

左から フューチュレック プロデューサー 武田、電通 コピーライター・コンセプター 柴田

1.子どもの頃に見た「あの空想」を実現したい!

─「にんじゃWINDOW」を作ろうと思われたきっかけを教えてください。

柴田:
「にんじゃWINDOW」は、移動する電車などの窓にスマートフォンをかざすと、窓の外にうさぎ忍者が出現して、電車と一緒に走るコンテンツです。うさぎ忍者は、ビルとビルを飛びながら移動したり、海沿いの道を電車と競争したり、車窓を見ているだけで楽しくなります。
「にんじゃWINDOW」を思いついたのは、妻と子どもを連れて、新幹線で帰省していたときです。東京から大阪まで2時間30分。大人には何でもない時間でも、子どもにとっては、じっと座り続けられる時間ではないですよね。僕らもいろいろと対策を練って、子どもの飽きないグッズとかアイスを買ってあげたりしていたのですが、やっぱり無理でした(笑。
それで、電車移動の最中に、子どもが楽しんでくれるものがあれば助かるなと。「窓の外を忍者が走っていたら面白いかも!」と思いついたんです。

─どうして「忍者」だったのでしょう?

柴田:
子どもの頃から空想上で走らせるのは忍者なんです。僕の中では(笑。まわりのみんなにも聞いてみたらわりと賛同してくれたので、これはもう忍者しかないと思い、さっそくアートディレクターに依頼して、キャラクターをデザインしていただきました。最初にあがってきたのは、人間の忍者だったのですが、空想の世界だし、子どもにも楽しんでもらいたかったので、もっとかわいらしいキャラの方がいいかなと。最終的には今のうさぎ忍者に落ち着きました。
制作については、楽しんで一緒に仕事をしてくれて、システムにも強い人って誰かいないかなと、仕事仲間に相談したところ、ぴったりの人がいるよと、武田さんを紹介してくれたんです。すぐにご相談したところ「いいですねえ。やりましょうと。」と、快諾いただきました。

2.特許も取得!フューチュレックの技術力

─開発で一番大変だったところはどこでしょうか?

武田:
「にんじゃWINDOW」は流れる景色を二値化(白と黒のバイナリー画像)して、その稜線上に、キャラクターを走らせています。キャラクターを走らせる背景の定義付けが大変でした。
柴田さんがやりたかったことは、とてもシンプルで「移動する電車の窓外を、本当に一緒に走っているかのように忍者を走らせたい」ということです。忍者が走るアニメーションをARで画面にリアルタイムに表示させることは簡単ですが、忍者が移動する景色にあわせて、橋の欄干の上を走ったり、ビルとビルの上を飛んだりしないと面白くない。そのためには、車窓から見える景色のバリエーションをできるだけ多く集めて、あらゆるパターンを検証する必要がありました。

電車に乗り込んで、車窓からの景色をスタッフがいろいろな路線で撮影してきたり、自動車の窓に、カメラを装着して、首都高を何周もグルグルと走ったりしながら検証を続けました。首都高では、車にエンジニアたちも乗り込んで、モニターに映る景色を見ながら、どう忍者を走らせようかとか、ランドマークはこう見えたら面白いよね。とか、車の中でディスカッションしたりして。大変でしたけど、一番面白かったです。

─ある程度のパターン化は可能でも、リアルタイムだと想定外のことも起きるかと思いますが、どのように対処されましたか?

武田:
「にんじゃWINDOW」のシステムがユニークなところは、最初の条件では判断できなくても、この条件ならどうか?こちらならどうか?と、複数の条件を持たせて、キャラクターの動きを制御しているところです。また、忍者というキャラクターだったので、点滅して消えてもいいし、忍術使ってもいい。忍者というキャラクターの特性もうまく使えました。忍者が突然飛んじゃうようなバグやエラーの動きも、うまく取り込んで、違うトリガー(特定のイベントが発生した際に実行される処理)にするなど、試行錯誤しながら作り上げていきました。大変な作業なのですが、この工程を丁寧にやることで、よりよいものができるし、ユーザーにとっても使いやすいものが生まれると思っています。

─今回ブラウザ上で動作するものですが、なぜアプリにしなかったのでしょうか?

柴田:
すぐに体験できるものにしたかったんです。アプリにすればできることは増えますが、インストールしないと使えないので、やはりハードルが高く。サービスインの入口としてはブラウザの方が最適だと判断しました。

武田:
「にんじゃWINDOW」の構造はとてもシンプルです。背景が勝手に動いているので、そのセンターにキャラクターを走らせるだけ。と、考えればブラウザで実現させるのはそこまでの難易度はなかったです。ただ、やはりいろいろとやりたいことが増えてきて、付加価値を付けようとするとブラウザでは難しい部分もあります。現状ではUIも極力シンプルにして、ブラウザで実現可能な機能にあえて絞っていますが、次のステップではアプリ化も視野に入れています。

─「にんじゃWINDOW」は特許を取得しましたが、どの部分が評価されたでしょうか?

武田:
動画をリアルタイムで二値化(白と黒のバイナリー画像)して、その稜線上に、キャラクターを走らせる仕組みの独自性を評価していただきました。普通のARでは、すでに確立された技術なので特許を取るのは難しいですが、そこに付加価値を付けることで、特許を取得できたのではと思っています。

柴田:
なんか今日改めて感心しちゃいました。細かい技術的なことは多少は聞いていましたが、僕にはそんな裏の苦労は言わずに「こんなのできましたよ。」と、見せてくれる。白鳥みたいに優雅だけど、水面下では足がめっちゃ動いているみたいな(笑。 いや、ほんとプロだなと思いました。

後半では、「にんじゃWINDOW」の今後の展望などに迫ります。
※次回は、2024年4月18日(木)更新予定です。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

・サービスやシステムを相談したい企業の方
・フューチュレックで働きたい、挑戦してみたいという方

是非、弊社WEBサイトよりお問い合わせください。


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