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元素に富んだ岩石惑星「地球」誕生(45億6000万年前)

 豊富な元素を含む「地球」が誕生したのは、宇宙誕生から130億年の銀河の辺境で銀河の衝突が発生したという絶妙なタイミングだったからだ。

●ナイスタイミングで誕生した太陽系

 宇宙は、膨張が進みすぎれば銀河を形成する間もなく膨張し続け、逆に収縮に転じる速度が早ければつぶれてしまう。ビッグバン直後からやや減速しつつ膨張し続け、ファーストスター爆発の後、大量の銀河が誕生・衝突・統合を繰り返し、太陽系が存在する「おとめ座超銀河団」の「天の川銀河」を形成した。そして、銀河の統合により宇宙全体に広がっている銀河同士の距離が遠くなると「膨張する宇宙」と銀河の重力により「減速する力」の均衡点を超え、約60億年前から加速度的な膨張に転じた。そして、天の川銀河の辺境に、ウランまでの元素を集め、岩石惑星をそして生命を誕生させるためにちょうどいい塩梅の46億6700万年前というときに「太陽系」を生み出す。

●物質大循環と衝突の繰り返しが岩石惑星「地球」を形成

 46億6700万年前、が矮小銀河と衝突し、爆発的に星が形成される「スターバースト」の騒乱が渦状腕の近くに分布する「分子雲」に到達し、周囲にあった「星間物質」に濃淡をつくる。重力と恒星内の爆発の均衡のなかで「核融合反応」により高温で燃え輝き続ける恒星=太陽が誕生した。

 太陽を形成した「分子雲」は、水素(97%)やヘリウム(8.9%)を主成分とし、超新星爆発などによって生成された様々な物質(炭素、窒素、酸素、マグネシウム、ケイ素、鉄など:0.1%)で構成されたガス状の集まりだ。「太陽」にその99.8%が吸収され、残りの0.2%が太陽を中心として「回転する力」と重力により「落下する力」の均衡により太陽への落下を免れ、太陽の周囲に高速に回転する環を形成する。太陽の近くでは、太陽の高温にさらされて水分が蒸発し、ドライな物質だけが残った。太陽風に吹き飛ばされた水分などの揮発成分は、火星と木星の間を境界線とする「スノーライン」の内側には水蒸気を、外側には氷や有機物などのより低温で安定な物質とともに残留した。

 円盤から垂直方向にエネルギーが放出され、徐々に回転を緩め、環の中心面に向かって固体分子(塵や氷)が「沈殿」する。沈殿した固体分子は乱流の中で静電気力や重力相互作用によって集積し合いながら大きくなり、数10Km程度の「微惑星」となって分離する。100億の「微惑星」どうしは、さらに衝突・合体を繰り返して巨大化し、同一軌道上の「微惑星」を取り込み終えると、太陽を中心として長期にわたり公転する「惑星」を形成する。

 太陽に近い軌道では、氷の粒子が蒸発したため微惑星が少なく小型化し「岩石惑星」を、木星の軌道よりも外側では大量の氷の粒子を集めて微惑星がぶつかり合い「太陽風」により飛ばされてきたガスを巻き込み巨大な「ガス惑星」を、天王星の外側の軌道では回転力が弱いため微惑星の衝突がほとんどおきず小さな「氷惑星」を形成する。そして、45億6000万年前、鉄(32.1%)、酸素(30.1%)、シリコン(15.1%)、マグネシウム(13.9%)、硫黄(2.9%)、ニッケル(1.8%)、カルシウム(1.5%)、アルミニウム(1.4%)[4]、金銀プラチナなどの重金属、レアアース、ウランなどの元素で構成される岩石石惑星「地球」が誕生した。

 ウランまでの豊富な元素材料をそろえる地球は、分子の実験場として様々な物資を生み出してゆくこととなる。

参考書籍:
[1] 佐藤勝彦(2015), "宇宙137億年の歴史:佐藤勝彦最終講義", 角川学芸出版
[2] 吉岡一男(2017), "初歩からの宇宙の科学", 放送大学教育振興会
[3] 丸山茂樹(2020),"最新 地球と生命の誕生と進化:[全地球史アトラス]ガイドブック", 清水書院
[4] 英語版Wikipedia, "Earth", https://en.wikipedia.org/wiki/Earth



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