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このまま強気でいいのか?1987年にはならない?

”私たちは歴史の作り手ではない。私たちは歴史によって作られるのだ。”
マーティン・ルーサー・キングJr.

歴史は正確には繰り返さないし、サンプル数が多くない比較には常に気をつけなければならないが、2023年は1987年のような展開になるのだろうか。

1987年の株式市場: "メルトアップ "という現象
1987年の株式市場は、"メルトアップ "と呼ばれる特異な現象に見舞われた。この現象は、市場心理や投資家の関心の高まりによって、株式市場のパフォーマンスが急激に向上することを特徴としている。このような局面では、株価は急速に上昇し、ファンダメンタルズを上回ることが多い。株価指数は数カ月にわたって大きな動きを見せ、良い時代が続いていた。
1987年の暴落
メルトアップの後、市場は大幅な下落に直面し、一般に「ブラックマンデー」と呼ばれる暴落に見舞われた。1987年10月19日、ダウ平均株価は約22%下落し、1日で最大の下落率を記録した。
連邦準備制度理事会(FRB)の役割
1987年の激動期には、FRBが極めて重要な役割を果たした。中央銀行は、市場を安定させるために政策と金利を調整した。これらの措置は、米国経済だけでなく、世界の金融市場にも影響を及ぼし、広範囲に影響を与えた。
市場のパフォーマンス 1987年と2023年を比較する
1987年、この時点のS&P500株価指数は22%増、Nasdaq100指数は33%増、2023年のS&P500株価指数は14%増、Nasdaq100指数は38%増と驚異的な伸びを示しているが、これは主にNvidia (NVDA) やMicrosoft (MSFT) などAI周辺の特定銘柄が躁状態になったことによるもの。もし、1987年と同じようにこのまま上昇するのであれば、Nasdaq100指数は20,000の大台を目指すことになる。歴史は繰り返さないが、しばしば韻を踏むものであり、特に、Nasdaq100指数の年初来累計経路相関は0.726であり、注目する価値がある

S&P500指数を年初を100として指数化
Nasdaq総合株価指数を年初を100として指数化
Nasdaq100株価指数を年初を100として指数化

マーケットセンチメント
市場心理は株式市場の動向を動かす上で重要な役割を果たす。2023年に観察された過信と強気のセンチメントは、おそらく1987年の市場ムードに似ている。このような類似性から、歴史は繰り返され、市場の調整・低迷につながる可能性があるのではないかという疑問が生じる。

出所:Yardeni Researchのブルベア指数レシオ推移
出所:Yardeni Researchのブルベア指数%推移

Bearsの割合が減少していることは危険が迫っている証拠と思われる。

結論は誰も知らないので面白い

1987年と2023年の株式市場の比較は興味深いものであるが、株式市場のパフォーマンスは様々な要因によって左右されることを忘れてはならない。したがって、その軌跡を絶対的に予測することは不可能である。ただし、最近のAIにけん引される楽観論には注意が必要だと思っている。
NVDAの最先端チップの本格納入は、第3四半期以降である。他社は第4四半期以降になるのではないか?市場は実際の決算の数字に表れるまでは、陶酔感を帯びた熱狂によって、しばらくは上昇するのかもしれない。しかし、FRBは金融引き締めを続けている。金利上昇はハイテクグロース株にはネガティブな要因になるので、引き続き注視しながら、乗っていくしかない。VIX指数、VOLQ指数(Nasdaq100のボラティリティーインデックス)は注意深く見ていきたい。

出所:TradingView
1987年/2023年の株価推移に3か月金利推移を加えてみた
1987年/2023年の株価推移に10年金利推移を加えてみた

Nasdaq100指数の推移は、いまのところ、1987年にそっくりである。FRBは一旦政策金利の利上げを終了したが、夏場には、政策金利を利上げし始めるだろう。夏場から秋口には、1987年と同じことになりかねない。
セクター別で見ると、年初来上昇しているのは、AI銘柄の入っているテクノロジー(MSFT、AAPL、NVDA、AVGO、ADBEなど)、コミュニケーション(META、GOOGL、NFLXなど)、消費循環(AMZN、TSLAなど)だけで、他のセクターは年初来のパフォーマンスは、ほぼ横ばいかマイナスとなっている。

S&P500指数のセクター別パフォーマンス

※当資料は、投資環境に関する参考情報の提供を目的として翻訳、作成した資料です。投資勧誘を目的としたものではありません。翻訳の正確性、完全性を保証するものではありません。投資に関する決定は、ご自身で判断なさるようお願いいたします。


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