CFTC先物のみ 12月15日時点 金融商品(為替、株、金利) 投資家別ポジション シカゴ先物
米株の小型株やバリュー株が最近話題になることが多いので、高配当株指数(SP500 Dividend)も加えてみました。
相場は、基本需要と供給で決定します。ファンダメンタルズ分析は重要な要因ですが、ファンダメンタルズ要因によってのみ為替相場が決定するものではありません。投機筋のポジションが相場の決定要因としてどのように影響を与えているかを分析する判断基準として、CFTCでのポジション報告は注目しているプロの市場参加者も多いです。相場のセンチメントを反映しているので興味深い動きをしています。
新フォーマットのうち、レバレッジド・マネー、アセット・マネージャーのポジションと対象金融商品の価格(金利)をグラフ化しています。旧フォーマットの非商業の投機的カテゴリーとは分類が違いますが、細かい投資家種別ごとにポジションの取り方に特徴があるため、市場のセンチメントを知るには、新フォーマットの方がイメージしやすいと思います。投資家種別の特徴についてはレポートの最後に説明してあります。日本での情報提供はいまだに旧フォーマットの報告しかないようで、進歩がないようです。別途旧フォーマットの、商業、非商業(投機筋)の報告も適時報告していきます。
日本円先物
日本円先物は、日本円/米ドルで取引されているため、一般の為替レートは逆数になるので、ネット・ポジションは、売持ー買持で計算しています。
日本円先物に関しては、レバレッジマネーよりもアセットマネージャーのポジションの方が相場に対して先行しているようです。3月以降、アセット・マネージャーの円ロングが増加しており、過去80円近辺で推移したレベルまで円ロングが増加したままです。レバレッジマネーも先週はさらに円ロングが増えていました。この先の円高が心配です。
過去2年間の価格との相関係数(2020年10月20日まで)
レバレッジマネー 0.664
アセットマネージャー 0.715
過去5年間の相関係数
レバレッジマネー 0.594
アセットマネージャー 0.593
ユーロ先物(ユーロドル為替)
ユーロの先物はこれまでレバレッジマネーのポジションが先行していましたが、この3か月間はこれまでとは違った動きとなっています。他通貨と同じようにアセットマネージャーが相場の先行を本格的に示すようになったのかもしれません。アセット・マネージャーのユーロロングは、かつてないほど積みあがっています。
過去2年間の価格との相関係数(2020年10月20日まで)
レバレッジマネー 0.530
アセットマネージャー 0.381
過去5年間の相関係数
レバレッジマネー 0.730
アセットマネージャー 0.407
オーストラリア・ドル先物
豪ドルもレバレッジマネーよりもアセット・マネージャーの方が先行しているようです。アセット・マネージャーの豪ドルロングが増えていましたが、ニュートラルに戻りました。ネットでロングが継続するのか注目です。過去はネットロングになったところで豪ドルは反転していました。
過去2年間の価格との相関係数(2020年10月20日まで)
レバレッジマネー 0.122
アセットマネージャー 0.437
過去5年間の相関係数
レバレッジマネー 0.620
アセットマネージャー 0.528
英ポンド先物
英ポンドもアセットマネージャーの方が先行しているようです。
過去2年間の価格との相関係数(2020年10月20日まで)
レバレッジマネー 0.391
アセットマネージャー 0.745
過去5年間の相関係数
レバレッジマネー 0.282
アセットマネージャー -0.070
ユーロ/英ポンド先物
カナダドル先物
カナダドルもアセットマネージャーの方が先行しているようです。
過去2年間の価格との相関係数(2020年10月20日まで)
レバレッジマネー 0.283
アセットマネージャー 0.495
過去5年間の相関係数
レバレッジマネー 0.571
アセットマネージャー 0.594
メキシコペソ先物
過去2年間の価格との相関係数(2020年10月20日まで)
レバレッジマネー 0.687
アセットマネージャー 0.828
過去5年間の相関係数
レバレッジマネー 0.163
アセットマネージャー 0.012
南アフリカランド先物
スイスフラン先物
過去2年間の価格との相関係数(2020年10月20日まで)
レバレッジマネー 0.715
アセットマネージャー 0.882
過去5年間の相関係数
レバレッジマネー 0.519
アセットマネージャー 0.528
米ドルインデックス
S&P500(E-mini)先物
S&P500のポジションでは、アセット・マネージャーが特徴的です。過去ロング・ポジションが800,000枚~1,000,000枚に達すると、相場が調整しています。一方調整局面で400,000枚まで減少したところは、相場の調整局面が終了しています。
アセット・マネージャーのネット・ロングは40万枚を底に若干ロングが増加傾向でしたが、方向が定まっていません。
過去2年間の価格との相関係数(2020年10月20日まで)
レバレッジマネー -0.645
アセットマネージャー 0.460
過去5年間の相関係数
レバレッジマネー 0.264
アセットマネージャー 0.633
DOW(E-mini)先物
レバレッジ・マネー、アセット・マネージャーともにポジションを手仕舞っているようです。様子見ということでしょうか。
過去2年間の価格との相関係数(2020年10月20日まで)
レバレッジマネー 0.238
アセットマネージャー 0.625
過去5年間の相関係数
レバレッジマネー -0.421
アセットマネージャー 0.508
NASDAQ(E-mini)先物
NASDAQでは、過去アセットマネージャーのロングが6万枚程度までロングになると一旦相場は調整していました。今回も似たような動きになりつつあります。その他投資家は11月になってショートしていましたが、ショートカバーしたようです。
過去2年間の価格との相関係数(2020年10月20日まで)
レバレッジマネー -0.388
アセットマネージャー 0.569
過去5年間の相関係数
レバレッジマネー -0.635
アセットマネージャー -0.187
ラッセル2000(E-mini)先物
アセット・マネージャーのロングが堅調に積みあがっています。
過去2年間の価格との相関係数(2020年10月20日まで)
レバレッジマネー 0.046
アセットマネージャー 0.757
過去5年間の相関係数
レバレッジマネー 0.358
アセットマネージャー 0.705
SP500高配当株指数先物
他の株式指数では、ほとんどショートポジションを取っているレバレッジ・マネーですが、高配当株指数ではロングになっています。
S&P500高配当インデックス先物でレバレッジマネーのロングが積みあがったままです。
日経シカゴ(円建て)先物
過去2年間の価格との相関係数(2020年10月20日まで)
レバレッジマネー 0.036
アセットマネージャー 0.151
過去5年間の相関係数
レバレッジマネー -0.198
アセットマネージャー 0.021
米国債2年先物
過去2年間の価格との相関係数(2020年10月20日まで)
レバレッジマネー 0.606
アセットマネージャー -0.651
過去5年間の相関係数
レバレッジマネー 0.274
アセットマネージャー -0.376
米国債5年先物
過去2年間の価格との相関係数(2020年10月20日まで)
レバレッジマネー 0.824
アセットマネージャー -0.850
過去5年間の相関係数
レバレッジマネー 0.184
アセットマネージャー -0.481
米国債10年先物
過去2年間の価格との相関係数(2020年10月20日まで)
レバレッジマネー 0.781
アセットマネージャー -0.806
過去5年間の相関係数
レバレッジマネー 0.147
アセットマネージャー -0.315
米国債ウルトラ10年先物
米国債ロングボンド先物
ロングボンド先物でレバレッジ・マネーのショートが過去最大級まで積みあがっていました。しかし、純粋に金利高を見ているのであれば、他のセクターのウルトラ10年、ウルトラ30年でもショートしていないといけないですが、それほどでもありません。アセット・マネージャーのロングが最大級に積みあがっているので、レバレッジ・マネーは現物かスワップとの裁定でもやっているのでしょう。
過去2年間の価格との相関係数(2020年10月20日まで)
レバレッジマネー -0.903
アセットマネージャー 0.816
過去5年間の相関係数
レバレッジマネー -0.817
アセットマネージャー 0.706
米国債ウルトラ・ロングボンド先物
ユーロダラー(3か月)先物
ビットコイン先物
2018年はレバレッジマネーのショートが増加して価格が暴落しました。価格が上昇すれば、ショートカバーが入りました。2019年も同じ傾向でした。
レバレッジはショートカバーしたようです。
レポートされる投資家種別
ディーラー/仲介業者(ディーラー)
この参加者は、市場において「セル・サイド」として一般的に説明されています。彼らは主に先物を販売するわけではありませんが、クライアントにさまざまな金融商品を設計して販売しています。彼らはポジションを調整し、市場やクライアント全体でリスクを相殺する傾向があります。彼らのポジションは、彼らが販売する金融商品やその活動に関連するリスクのプライシングの一部です。大手銀行(米国および米国以外)および証券会社、その他のデリバティブのディーラーが含まれます。
市場の残りの部分は「バイ・サイド」で構成されており、次の3つのカテゴリに分かれています。
資産運用会社/機関投資家(アセット・マネージャー)
年金基金、財団、保険会社、投資信託、および主に機関投資家であるポートフォリオ/投資マネージャーを含む機関投資家です。「リアル・マネー」と称される投資家層です。現物ポジションのヘッジのために逆のポジションとなることもあります。
レバレッジドファンド(レバレッジ・マネー)
ヘッジファンドと登録された商品取引アドバイザー(CTA)を含むさまざまなタイプのマネーマネージャーです。彼らは基本投機的ポジションと取ることが多くなります。現物取引との裁定取引で逆のポジションとなっている場合もあります。一部トレーダーは、先物取引および投機的クライアントに代わって取引を管理および実施することに従事している場合があります。
その他の報告対象
最初の3つのカテゴリーのいずれにも分類されない報告対象トレーダーは、「その他の報告対象」カテゴリーに分類されます。このカテゴリーのトレーダーは、ビジネスリスクをヘッジするために、そのリスクが外国為替、株式、または金利に関係するかどうかにかかわらず、市場を使用しています。このカテゴリーには、事業法人、中央銀行、小規模銀行、住宅ローンのオリジネーター、信用組合、および他の3つのカテゴリーに割り当てられていないその他の報告可能なトレーダーが含まれます。
スプレッド・ポジション
TFFは、トレーダーの4つのカテゴリーすべてに対して、ロング、ショート、スプレッドのオープンインタレストを設定してます。「スプレッド」とは、トレーダーが保有するロングポジションとショートポジションを両建てにしてそのポジションを相殺した場合に相当する計算された建玉です。
相殺され計算されたスプレッドの量は、異なる暦月の相殺先物または同じまたは異なる暦月の相殺先物とオプションの量として計算されます。ロングまたはショートの残りのポジションは、ロングまたはショートの列にレポートされます。市場間スプレッドは考慮していません。
※当資料は、投資環境に関する参考情報の提供を目的としてFuture Researchが作成した資料です。投資勧誘を目的としたものではありません。当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。ここに示された意見などは、当資料作成日現在の当方の見解であり、事前の連絡なしに変更されることがあります。投資に関する決定は、ご自身で判断なさるようお願いいたします。
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