CFTC先物のみ 金融商品(為替、株、金利) 投資家別ポジション シカゴ先物 6月30日時点
今週は、アメリカの独立記念日の影響で、CFTCの発表が週末の金曜日ではなく、週明けの月曜日になりました。次の発表は、元通りに戻り今週末金曜日夕方に発表されます。
相場は、基本需要と供給で決定します。ファンダメンタルズ分析は重要な要因ですが、ファンダメンタルズ要因によってのみ為替相場が決定するものではありません。投機筋のポジションが相場の決定要因としてどのように影響を与えているかを分析する判断基準として、CFTCでのポジション報告は注目しているプロの市場参加者も多いです。相場のセンチメントを反映しているので興味深い動きをしています。
新フォーマットのうち、レバレッジド・マネー、アセット・マネージャーのポジションと対象金融商品の価格(金利)をグラフ化しています。旧フォーマットの非商業の投機的カテゴリーとは分類が違いますが、細かい投資家種別ごとにポジションの取り方に特徴があるため、市場のセンチメントを知るには、新フォーマットの方がイメージしやすいと思います。投資家種別についてはレポートの最後に説明してあります。日本での情報提供はいまだに旧フォーマットの報告しかないようで、進歩がないようです。別途旧フォーマットの、商業、非商業(投機筋)の報告も適時報告していきます。
日本円先物
日本円先物は、日本円/米ドルで取引されているため、一般の為替レートは逆数になるので、ネット・ポジションは、売持ー買持で計算しています。
日本円先物に関しては、レバレッジマネーよりもアセットマネージャーのポジションの方が相場に対して先行しているようです。3月以降、アセット・マネージャーの円ロングが増加しており、過去80円近辺で推移したレベルまで円ロングが増加しています。この先の円高が心配です。
過去2年間の価格との相関係数(2020年6月9日まで)
レバレッジマネー 0.751
アセットマネージャー 0.550
過去5年間の相関係数
レバレッジマネー 0.642
アセットマネージャー 0.558
日本円ロングは4月以降増加しています。ひょっとすると、ドル円のベーシススワップのスプレッド縮小が影響しているのかもしれません。(FRBの通貨スワップ、日銀経由で邦銀へ融通)
日米の短期金利差が無くなって(ヘッジコストがほぼゼロ)、ヘッジ付き外債(社債やハイイールド社債など)に向かっている可能性があります。既存の裸の為替にヘッジを付ける動きもあるようです。そのため、為替のフォワード契約のヘッジ玉で円ロングが増加しているのかもしれません。
ユーロ先物(ユーロドル為替)
ユーロの先物はこれまでレバレッジマネーのポジションが先行していましたが、この3か月間はこれまでとは違った動きとなっています。
過去2年間の価格との相関係数(2020年6月9日まで)
レバレッジマネー -0.006
アセットマネージャー -0.467
過去5年間の相関係数
レバレッジマネー 0.706
アセットマネージャー 0.348
豪ドル先物
豪ドルもレバレッジマネーよりもアセット・マネージャーの方が先行しているようです。
過去2年間の価格との相関係数(2020年6月9日まで)
レバレッジマネー -0.426
アセットマネージャー 0.215
過去5年間の相関係数
レバレッジマネー 0.588
アセットマネージャー 0.568
英ポンド先物
英ポンドもアセットマネージャーの方が先行しているようです。
過去2年間の価格との相関係数(2020年6月9日まで)
レバレッジマネー 0.326
アセットマネージャー 0.602
過去5年間の相関係数
レバレッジマネー 0.426
アセットマネージャー -0.077
カナダドル先物
カナダドルもアセットマネージャーの方が先行しているようです。
過去2年間の価格との相関係数(2020年6月9日まで)
レバレッジマネー 0.168
アセットマネージャー 0.460
過去5年間の相関係数
レバレッジマネー 0.522
アセットマネージャー 0.558
メキシコペソ先物
過去2年間の価格との相関係数(2020年6月9日まで)
レバレッジマネー 0.413
アセットマネージャー 0.795
過去5年間の相関係数
レバレッジマネー -0.006
アセットマネージャー -0.092
南アフリカランド先物
スイスフラン先物
過去2年間の価格との相関係数(2020年6月9日まで)
レバレッジマネー 0.407
アセットマネージャー 0.812
過去5年間の相関係数
レバレッジマネー 0.399
アセットマネージャー 0.427
S&P500(E-mini)先物
S&P500のポジションでは、アセット・マネージャーが特徴的です。過去ロング・ポジションが800,000枚~1,000,000枚に達すると、相場が調整しています。一方調整局面で400,000枚まで減少したところは、相場の調整局面が終了しています。この3か月の動きも同様のパターンとなりました。
アセット・マネージャーのネット・ロングは40万枚を割ってきました。過去はここで底打ちましたが今回はどうでしょうか?レバレッジマネーのショートカバーが若干ですが起きています。
過去2年間の価格との相関係数(2020年6月9日まで)
レバレッジマネー 0.212
アセットマネージャー 0.723
過去5年間の相関係数
レバレッジマネー -0.253
アセットマネージャー 0.630
DOW(E-mini)先物
過去2年間の価格との相関係数(2020年6月9日まで)
レバレッジマネー 0.212
アセットマネージャー 0.723
過去5年間の相関係数
レバレッジマネー -0.253
アセットマネージャー 0.630
NASDAQ(E-mini)先物
NASDAQでは、アセットマネージャーのロングが増加しています。過去6万枚程度までロングになると一旦相場は調整していました。ほぼこの水準を達成しています。NASDAQは一旦天井を打つ可能性があります。
レバレッジマネーは、先週に続きショートカバーが起きています。
過去2年間の価格との相関係数(2020年6月9日まで)
レバレッジマネー -0.179
アセットマネージャー 0.653
過去5年間の相関係数
レバレッジマネー -0.602
アセットマネージャー -0.443
ラッセル2000(E-mini)先物
過去2年間の価格との相関係数(2020年6月9日まで)
レバレッジマネー 0.102
アセットマネージャー 0.801
過去5年間の相関係数
レバレッジマネー 0.416
アセットマネージャー 0.733
先週と、ほぼ変わらずです。
日経シカゴ(円建て)先物
過去2年間の価格との相関係数(2020年6月9日まで)
レバレッジマネー 0.155
アセットマネージャー 0.248
過去5年間の相関係数
レバレッジマネー -0.185
アセットマネージャー 0.018
米国債2年先物
過去2年間の価格との相関係数(2020年6月9日まで)
レバレッジマネー -0.032
アセットマネージャー -0.104
過去5年間の相関係数
レバレッジマネー 0.415
アセットマネージャー -0.504
米国債5年先物
過去2年間の価格との相関係数(2020年6月9日まで)
レバレッジマネー 0.591
アセットマネージャー -0.699
過去5年間の相関係数
レバレッジマネー 0.295
アセットマネージャー -0.450
米国債10年先物
過去2年間の価格との相関係数(2020年6月9日まで)
レバレッジマネー 0.408
アセットマネージャー -0.630
過去5年間の相関係数
レバレッジマネー 0.146
アセットマネージャー -0.289
米国債ウルトラ10年先物
米国債ロングボンド先物
過去2年間の価格との相関係数(2020年6月9日まで)
レバレッジマネー -0.930
アセットマネージャー 0.818
過去5年間の相関係数
レバレッジマネー -0.727
アセットマネージャー 0.536
米国債ウルトラ・ロングボンド先物
ユーロダラー(3か月)先物
ビットコイン先物
2018年はレバレッジマネーのショートが増加して価格が暴落しました。価格が上昇すれば、ショートカバーが入りました。2019年も同じ傾向でした。
ショートは高水準です。そろそろBTCは一旦下がりそうです。
ポジション一覧表 2020年6月30日時点
レポートされる投資家種別
ディーラー/仲介業者
この参加者は、市場において「セル・サイド」として一般的に説明されています。彼らは主に先物を販売するわけではありませんが、クライアントにさまざまな金融商品を設計して販売しています。彼らはポジションを調整し、市場やクライアント全体でリスクを相殺する傾向があります。彼らのポジションは、彼らが販売する金融商品やその活動に関連するリスクのプライシングの一部です。大手銀行(米国および米国以外)および証券会社、その他のデリバティブのディーラーが含まれます。
市場の残りの部分は「バイ・サイド」で構成されており、次の3つのカテゴリに分かれています。
資産運用会社/機関投資家
年金基金、財団、保険会社、投資信託、および主に機関投資家であるポートフォリオ/投資マネージャーを含む機関投資家です。「リアル・マネー」と称される投資家層です。現物ポジションのヘッジのために逆のポジションとなることもあります。
レバレッジドファンド
ヘッジファンドと登録された商品取引アドバイザー(CTA)を含むさまざまなタイプのマネーマネージャーです。彼らは基本投機的ポジションと取ることが多くなります。現物取引との裁定取引で逆のポジションとなっている場合もあります。一部トレーダーは、先物取引および投機的クライアントに代わって取引を管理および実施することに従事している場合があります。
その他の報告対象
最初の3つのカテゴリーのいずれにも分類されない報告対象トレーダーは、「その他の報告対象」カテゴリーに分類されます。このカテゴリーのトレーダーは、ビジネスリスクをヘッジするために、そのリスクが外国為替、株式、または金利に関係するかどうかにかかわらず、市場を使用しています。このカテゴリーには、事業法人、中央銀行、小規模銀行、住宅ローンのオリジネーター、信用組合、および他の3つのカテゴリーに割り当てられていないその他の報告可能なトレーダーが含まれます。
スプレッド・ポジション
TFFは、トレーダーの4つのカテゴリーすべてに対して、ロング、ショート、スプレッドのオープンインタレストを設定してます。「スプレッド」とは、トレーダーが保有するロングポジションとショートポジションを両建てにしてそのポジションを相殺した場合に相当する計算された建玉です。
相殺され計算されたスプレッドの量は、異なる暦月の相殺先物または同じまたは異なる暦月の相殺先物とオプションの量として計算されます。ロングまたはショートの残りのポジションは、ロングまたはショートの列にレポートされます。市場間スプレッドは考慮していません。
※当資料は、投資環境に関する参考情報の提供を目的としてFuture Researchが作成した資料です。投資勧誘を目的としたものではありません。当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。ここに示された意見などは、当資料作成日現在の当方の見解であり、事前の連絡なしに変更されることがあります。投資に関する決定は、お客様ご自身で判断なさるようお願いいたします。
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