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Ubie デザインの1年を振り返る - 拡張と深化の2023年

「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」をミッションに、ヘルスケアプラットフォームを提供しているUbie株式会社の村越(@smurakos)です。

今回の記事では、2023年のUbieデザインチームの取り組みを振り返ってみようと思います。

この記事は #Ubieアドベントカレンダー 18日目にエントリーしています。


デザインの能力を拡張し、事業、組織の成長と拡大に併せて社会的な影響力を作る

この1年は代表久保のnoteにもあるようにプロダクト、事業、組織でも大きな成長と変化があった1年でした。

昨年までは、生活者向けプロダクト、医療機関向けプロダクト、それぞれのプロダクトの成長に目を向けることが事業の成長の注力事項であり、デザイナーもプロダクトデザインへのフォーカスが重要な時期でした。
この1年で事業・組織が大きく成長したことからプロダクトの成長だけでなく、組織や事業に関わる活動にデザインが影響力を持てるようになってきた1年でもあると思います。この1年でUbieのデザインはプロダクトデザインだけでなく、コミュニケーションデザイン、ブランドエクスペリエンスデザインの領域でも専門人材を仲間として迎え、その能力を拡張してきました。

コミュニケーションデザイン:製薬企業向け事業の成長による、業界へのプレゼンス強化

製薬企業向けの事業が成長の軌道に乗り、製薬企業とのお取り組みの中でも一定の価値を出せるようになってきたタイミングで今年の2月・7月に開催した「Ubie Pharma Summit」のような大規模なオフラインカンファレンスを通じてUbieと製薬企業の皆様とのディスカッションの場を設ける取り組みが始まりました。Ubieのデザインの領域はデジタルプロダクトにとどまらず、オフラインのカンファレンスや製薬業界向けのマーケティングコミュニケーションへと拡張していった1年でした。

ブランドエクスペリエンスデザイン:プラットフォームの拡大とステークホルダーへの企業・プロダクト認知の醸成

ユビーが目指すのは、生活者、医療機関・医療従事者、製薬企業という医療を取り巻くステークホルダーを繋ぎ、生活者にとって適切な医療へのアクセス、医療資源の最適配分を通じて「テクノロジーで人々を適切な医療へ案内する」というミッションを達成することです。

この1年でプロダクト、事業、組織も大きく成長し拡大をしてきましたが、「世の中からユビーがどう見られているのか、どう見られたいのか」という部分や「ユビーで働くメンバーが等しく同じ場所を向いて目線を合わせていられるか」というブランディングもこれから先の組織の成長に対して無視できない要素になってきました。

そこでデザインチームとしても製薬業界向けのコミュニケーションデザインと合わせて、全社・社会に向けたユビーの認知醸成やコミュニケーションを行っていくブランドエクスペリエンスの役割を新たに拡張しました。

プロダクトデザインは、体験の幅と深さと型でスケーラブルなプラットフォームへ

プロダクトデザインの領域においては、生活者向け、医療機関向け、製薬企業向け事業がそれぞれ成長し、これまでそれぞれが垂直成長していた事業同士のシナジーの兆しが見え始め、すべての事業を一つの大きなプラットフォームとして捉える構想へと事業もアップデートされていきました。

拡大するプラットフォーム上の体験を常に良いものに保ち続けるために、プロダクトデザインの領域で意識したのは「体験の幅」、「体験の深さ」、「情報の型化」の3点でした。プロダクトデザインにおいてそれぞれ「ユーザ価値最大化」、「患者調査」、「コンテンツスタジオ」をチーム化し、拡張するプラットフォームに耐えられる体験設計を可能にする組織体系を作ってきました。

(幅)ユーザ価値最大化:プラットフォーム・プロダクトを横断して価値ある体験を作る

 この2年間で、前述の事業が同時に垂直に立ち上がり、成長軌道に乗ってくる様をそれぞれの事業に関わりながら見てきました。
それは同時に、Ubieが目指す「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」ためのプラットフォームを形成する「点」同士が線につながりつつあるということを意味しているとも感じます。

未踏の医療体験をデザインする旅の現在地と未来

今年の初めにnoteに書いたことが、この1年で生活者、医療機関、製薬企業をしっかりと線で繋ぐプラットフォームの構想が明確に見えるところまで各事業、プロダクトの関係性が密接になってきました。

同時に発症〜治療、また継続的な症状・治療の管理に至る一連の患者さんのペイシェントジャーニーを全ての事業でカバーし、全てのステークホルダーに対して価値のある体験を届けることが、持続的なプラットフォームの成長につながるという観点から「ユーザ価値最大化」というチームを作り、プロダクトを横断した体験を検討、設計できる仕組みを作りました。

患者さんを起点とした全体のペイシェントジャーニーとプロダクト・プラットフォームの接点をサービスブループリントという形で可視化し、デザイナーだけでなく、PdM、BizDevなどのメンバーとの議論や新しい価値提供のインスピレーションを生み出しやすい可視化、見える化などを進めているところです。

サービスブループリントを使い、プロダクトを跨いだ体験の可視化

また、プロダクトを支える基盤としてデザインシステム「Ubie Vitals」をアップデートしました。Design Principleなどを追加しつつ、Design Tokensの他にもComponentの定義なども整理してWebサイトとして公開しています。デザインシステムの取り組みの詳細については、 12月25日の takanoripのアドベントカレンダーで触れる予定です!


(深)患者調査サークル:患者の深い理解を通じて得たインサイトを事業に環流する

もともとユビーでは生活者の方々に定常的にインタビューする仕組みを作り、運用してきていました。

事業の成長とともに、インタビューのニーズや目的も「生活者の方々の体調不良時の行動について解像度を高めたい」という広いものから、慢性的な疾患を持っている患者さんの治療や薬剤に対する考え方や、希少な疾患を持っている患者さんが診断に至るまでにたどった道筋や心理と言った具合に深く、詳細なものへと変わってきました。

同時に、ユビーを利用いただく患者さんに対して実際にお話を聞くことでより良いプロダクトの開発や情報提供を行うことで「人々を適切な医療へ繋ぐ」ことができると判断し、インタビュー・リサーチをチームとして切り出し「患者調査サークル」を作りました

ホラクラシー上にリサーチのためのチームを組成

疾患、薬剤、治療などの医学ドメインと患者さんの心理、行動、生活という両方の観点から「患者さんのN=1」を深く理解し、得た情報を事業活動への環流をスムーズにする、が来年のチャレンジになりそうです。

(型)Content Studio:患者さんと医師の情報ギャップを埋め、行動変容を促す

ユビーでは、症状チェックの後の結果画面での情報提供や、病気や治療の情報をざっくり調べたい人向けの病気のQ&A、すでに診断済みの病気をお持ちで治療についての知識を得たい人向けの「治療相談」などのプラットフォーム内の複数のプロダクトで「医療情報コンテンツによる情報提供」を行っています。

プロダクト上でのコンテンツを通じた情報提供が体験の中でも重要な要素

便利なもの、使いやすいもの、美しいものをデザインするだけでなく、「その人にとってその時重要な情報を、いかにその人に気づいてもらえるか」のデザインが医療情報の提供においては重要になってくると考えています。

未踏の医療体験をデザインする旅の現在地と未来

と前述の僕のnoteでも触れていましたが、この部分を今年「Content Studio」としてチーム化しました。

チームのミッションとしては、

  • 患者さんが幅広い情報から目当ての情報を見つけるための「量」の担保、そのためのコンテンツ安定供給の仕組みづくり

  • 患者さんが知りたいと思ったタイミングで知りたい情報と出会える「質」の提供、そのためのコンテンツ改善の仕組みづくり

の二つを軸に、コンテンツ制作プロセスの型化を行い、制作の生産性を向上させることで情報提供の量の安定供給を可能にしてきました。このことは、患者さんにとって「他を調べても出てこなかった情報がここでなら見つかる」という体験につながり、ユーザと情報のマッチングに少し寄与できたかなと思っています。

コンテンツをテンプレート化し、コンテンツ制作の属人性を排除

来年は、リサーチなどにより得たインサイト情報をベースにコンテンツを改善するサイクルを仕組み化し、「Right Timing、Right Content」な体験を精度高く作っていくことがチャレンジになると思います。

日本 × グローバル全体で捉えるデザイン

デザイナーのメンバー構成でも大きな変化があった1年でした。グローバルチームのデザイン・ディレクターとして元アクセンチュアUSのデザイナーがジョインし、家族と一緒に日本へリロケーションしてきました。

僕も毎週1on1を行っていますが、日本と米国の医療における規制の違いから生まれるプロダクトの発想のいい意味でのギャップや、日常のプロダクト開発のアプローチに関する発想など、良い刺激をたくさん得ています。以下は、日米のプロダクトでサービスブループリントを使って、医療制度や規制と患者の行動や心理の違いなどをシェアしているところです。

グローバルプロダクトのサービスブループリントを使い、体験設計のディスカッション

逆に日本からはプラットフォームとして成長する今のプロダクトのデザインアプローチや体験の作り方、リサーチなどで得た患者のインサイトなどをナレッジとして環流することで日米のアセットを有効活用してグローバルで世界中の人に価値を提供できるデザインを目指していきます。

まとめ:俺たちの戦いはこれからだ!

この1年で、ユビーのデザインが担う機能も組織的な期待値も出せる影響力や価値もだいぶ大きくなってきました。今年はとにかく拡張する組織、成長する事業に適応するための能力の拡張にフォーカスが当たっていた年だったと思います。

ただ、

  • ユビーのプラットフォームユーザは日本でも700万MAU、世界人口80億人をカバーするプラットフォームまではまだまだ全然伸び代がある

  • ユビーを使うことで適切な医療に繋いだ事例が出始めてきたが、カバーすべきペイシェントジャーニーの全てのステップで価値が提供できているわけではない

  • デザインの機能拡張だけでなく、デザイン自体を重要な経営資源と位置付けていきたい

とまだまだできていないことはたくさんあります。

次の1年もこうした課題の解決に少しでも近づくようにプロダクト、組織、事業、の成長を目指していこうと思います。

We are hiring!

というわけで、これを読んで面白そう!と思った方はぜひお気軽に話を聞きにきてください。

Ubieでは一緒に働きたいメンバーをまだまだ募集しています!
興味を持っていただけた方はカジュアル面談もご用意しています。お気軽にご登録お待ちしています!

カジュアル面談

オープンしているデザイナー職種

【提供するサービス一覧】
▽生活者向け 症状検索エンジン「ユビー」
日本版:https://ubie.app/
US版:https://ubiehealth.com
▽医療機関向け「ユビーメディカルナビ」
https://intro.dr-ubie.com/

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