そして木になった

強張った胸に紙を当てて
心臓を鉛筆でなぞった
ぺしゃんこにされた心臓が
紙に沈んでいる
紙飛行機を折って
裏道で飛ばした
飛行機は
少しまっすぐ飛んだあと
野菊を一輪巻きこんで
凸凹のコンクリートの地面に
吸いこまれて
すり抜けて
戻ってこなかった
雨がコンクリートで跳ねていた

私の胸には野菊が咲いている
けれども私は野菊のことを
何も知らないままなのだ

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