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おとがしている

天上のbleuに包まれて
いのりは桃色
をしている
老いて穏やかな椅子が
磨かれた膝の上をあける
思いは沁みてゆく、毀れやすい靄の地層に
呼吸する古いものに
積み重なった体温が
腿になじんで

ああ。
数百年前の
誰かの押し殺した泣き声がする
胸がつかえても洩れだす
掠れた呼び声がする
握りしめて血の気の失せた
真っ白な手……
(ごめんなさい)
せめて
あなたの手を温めたかった

もう届かないけれど

あなたの声がいつか
小さな小さな震えとなって
桃色の靄の遠く
待っているもの
やわらかなうつわに
うけとめられたとき

おとがきこえるの
わたしにも
おとがきこえるの
わたしにも

おとがきこえる

短歌や散文詩、曲を作ります。スキやフォローしてくださる方本当にありがとうございます、励みになります。ブログもやってます。