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北海道マラソン ~過酷さの宝石箱や ~

理学療法士としてのキャリアと同時に北海道マラソンの救護テントの仕事がはじまり、もうかれこれ20年近く、この仕事に関わり続けている。

気づけばランナーをサポートする立場から少し離れ、現場を統括しながら円滑に現場が回るように立ち回るポジションを担うようになっていった。

そのため、北海道マラソン当日の天候や気温、湿度にはランナーの救護活動をやっているとき以上に気を配るようになった。

北海道マラソンは北海道の涼しい気候を活かすべく始まった世にも珍しい真夏のマラソン大会であり、毎年2万にものランナーが真夏の札幌を走り抜ける。

涼しい北海道といってもそれはその時々であり、この20年の中では19℃という涼しい環境から30℃を超える日などもあり、その日までまったく予測がつかない。

例年の平均をみれば25℃程度ではあるが、28℃以上になれば完走率は極端に下がり、熱中症症状で運ばれるランナーが増えて、救護テントの稼働率はかなり上がってくる。

今年は北海道も全国に比べても遜色のないぐらい酷暑が続いており、昨日は35℃、先週の木曜日には札幌で観測史上最高となる36℃台の気温もあり、今年の北海道マラソンはかなり厳しいことが予想された。

予報では神の恵みか、日頃の行いか予想最高気温は29℃となっており、そのかわりに雷雨の予報であった。
湿度が高いことも気温と同様に熱中症の危険が増す。
どちらにせよ今年の救護テントは大忙しになりそうであった。

朝、予報は外れたのか、太陽が見えており、青空もあった。
8:30のスタート時も雨予報であったが、晴れの中のスタートとなった。
気温は30℃と当初の予報より上がっており、11時ぐらいには32℃とかなり上昇、15km時点での棄権者が続出しているとの情報が入った。

例年、3時間〜3時間半ぐらいで走るトップ集団のゴール時間はテントの稼働率は低いが今年は徐々に多くなっていった。
はやり高い気温と湿度による熱疲労が多くのランナーを苦しめているようであった。

そこから一番過酷と言われる西の方で大雨が降っているとの情報があり、雨雲が徐々に増え始め、救護テントのあるゴール地点でもかなり本格的に振り始めてきた。

風も冷たくなってきており、気温も急激に下がり始めた。
雷鳴も轟いており、一時は前が見えなくなるほどの大雨となった。
20年間この活動をしてきて雷と大雨は初めての経験であった。

運ばれてくるランナーも徐々に低体温症の人が増えてきて、アイスパックでのクーリングから一転、ホットパックで温める対応が増えてきた。

それでもランナーにとっては恵みの雨だったのか、それからテントの稼働率は思ったよりも上がらず、予定時刻には対応を終えて、終了となった。

最高気温32℃からの雨、雷、24℃までの急激な気温変化、ランナーにとってもこれでもかというぐらい過酷な環境だったけど、それでもゴールまでたどり着いたランナーの顔は一様に笑顔にあふれていた。

100m以上走らない私にはまったくわからない世界であるが、マラソンに中毒性があるのはきっとあの瞬間に心も身体も思いっきり解放されるからなのだろう。

42.195kmという途方もない道のりを最後まで駆け抜けたランナーの皆様、おつかれさまでした。

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