見出し画像

終わりよければすべて良し。

「終わりよければすべて良し。」

この言葉は日常でも結構使っており、失敗しても取り戻せばOKみたいなポジティブなニュアンスが良くて、好きな言葉の1つです。

さて、この言葉ですが、科学的にもちゃんと理に叶っていることが証明されています。

1990年代初期ダニエル・カーネマンとドン・レデルマイヤーらが「ピークエンドの法則」として発表しました。

この法則によれば私たちが出来事を記憶するときは、もっとも強烈な瞬間(ピーク)とそれがどのように終わったかに最大の重きが置かれるというものです。

わたしたちはエピソードがどれぐらい続いたかを過小評価し、最後に起きたことを過大評価するのであり、これは日常生活においてたとえば食事や映画、休暇の質なども、その経験全体ではなく「終わり」がどうであったかが、その経験の質に大きな影響を与えるというのです。

アメリカの大統領選は4年に1度行われますが、有権者のほとんどが、4年間の成果全体ではなく、ラスト1年間(任期最後の年)の成果によって決めていることが研究からも明らかになっています。

当然、こうした結果を逆手にとれば、近視眼的な政策が横行することが免れず、私たち有権者たちはまんまとその罠にはまる可能性もあるので気をつけなければなりません。

日本においても参院選が控えていますが、選挙近くなって有権者に向けてバラマキ政策や成果がわかりやすい政策を押すのは偶然ではありません。

有権者としてしっかり6年間の成果をみて判断を下していかなくてはいけないと思います。


しかしながら、最後が記憶に重要というのはサービス業的には会計など「終わり」に一工夫することで、消費者の記憶に残りやすくすることが可能であり、そこにリソースを割く価値は高いといえます。

思えば、私が良いお店だったなと記憶に残りリピーターになっているのって、その主となるサービスの質(ピーク)はもちろんですが、最後が気持ちよかったり、会計のときにお手紙やちょっとした心遣いをいただいたことだったりします。

私も初回治療のときは必ず、「最後」に最初に比べ良くなったと感じてもらうこと、気持ちよく帰ってもらうことを意識しています。

これがうまく行かないときはやっぱり後の治療につながってきませんので、初回の最後はとっても大事だと考えています。

このように書くと少しずるいことのように思いますが、旅行や遊びに行ったときの楽しい思い出も最後の最後で事故を起こしてしまったり、ちょっとしたミスで相手に不快な思いをさせてしまったりするとせっかくの楽しい記憶も、嫌な思い出に上書きされてしまいます。

「飛ぶ鳥後を濁さず」との言葉もあり、自分自身も物事の「終わり」に対して少し意識を向けることで、人生に楽しい記憶が増えていくことになります。

老人たちは長生きするよりも、人生をうまく終えることに注意を払うべきだ。

アニータ・ブルックナー(小説家、美術史家)

最後までお読みいただきありがとうございました。


#エッセイ  #ピークエンドの法則 #記憶 #思い出  #名言

サポートいただけたら今後の活動の励みになります。 頂いたサポートはnoteでの執筆活動費、参考図書の購入に使わせていただきます。