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こういうのが一番怖いってことを知った ~ 闇祓読書感想 ~
アメトークの本屋で読書芸人をみていたら、松竹芸能のお笑い芸人にして、現役書店員であるカモシダせぶんさんが辻村深月の「闇祓」を推していた。
番組の中でこちらの本の感想はなかったけど、この本は娘が持っていて、面白いから読んでと渡されていたのだった。
なんとなく読む気がしなくてそのままになっていたのだけど、GWもあるし、読んでみることにした。
すると、GWを待たずしてたった3日間で読み終えたしまった。
これは遅読家の私にとっては異例の速さである。
それぐらい、読む手が止まらなかった。
「闇ハラ=闇ハラスメント」という精神・心が闇の状態にあることから生ずる、自分の事情や思いなどを一方的に相手に押し付け、不快にさせる言動・行為がテーマとなっており、その闇を振りまく人や集合体を祓うのが「闇祓」である。
人が怖いと思うのは、それが未知のものだからである。
幽霊、死。
しかし、闇祓で描かれる恐怖は、日常にありふれているものである。
同調圧力、マウント、正義感、距離感。
つまり、一歩間違えば誰しもが「闇落ち」する可能性があるということであり、それがまた怖い。
こんな「怖さ」の書き方もあるんだなと素直に感心する。
特に一番怖いと思ったのは距離感だ。
人と人との関係を円滑にするには適切な距離感を測る必要がある。
関係性、場所、時間、それぞれの変数を入力しながら距離感を調整し、それに合わせて言葉使いや気遣いの程度を調整していく。
服装選びなどの見た目の調整や社交辞令の程度もその範疇にあるだろう。
そして「相手」もそのようにして「距離感」を測っているという前提を元にして人はコミュニケーションをとっている。
いきなり、この「前提」が覆されたとき、そこに沸き起こるのは「不安」や「恐怖」であり、これも日常的に経験がある。
営業などではこのような「ズレ」の手法をうまく利用して「印象」を操作したり、記憶に残りやすくしたりとしたテクニックもあるだろう。
悪用すれば人はいとも簡単に手の平で転がされ、支配されていく。
このような身近にある名前を持たない「悪意」に気づかなければ「闇落ち」することは容易である。
「何かがおかしい」
こうした違和感に気づくこと、それが「闇」を払い除け、平穏を保つ秘訣であると本書を読んでいて感じた。
幸い、我が家にはこうした違和感を敏感に感じ取るHSP気質の妻がいる。
彼女が「闇祓」となって、我が家は今日も平穏が保たれている。
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