すてきな女むてきな女⑧
私が渡し損ねたプレゼントをなっちゃんに届けてくれた母。
母は家にいる時は殆ど読書をしている。学生の頃から読書が好きで、実家には母が結婚当時に持参した世界文学全集やアンジェリクがズラッと並んでいた。
そんな母は文章を書くとおかしなことになる。(すてきな女むてきな女①の冒頭にも記載)
母はなっちゃんにも時折LINEを送っている。
前回の別れ際、なっちゃんと母の話をした。
「お母さんからのLINE、いつもなんか変やろ?」
「初めてLINEが来た時、ん??ポエム?って思ったわ。」
母のLINEをポエムと言ったことに、私は大ウケした。
「お母さん、あんなに本読んでるのに何で文章書くの下手なんやろう。」
「たくさん読んでる人が文章が上手い訳じゃないよ。」
「えっ、そうなん!?私、読書好きな人は文章書くのも上手いんやと思ってた。」
「それはまた別の話。」
「そうなんや。」
「むくみちゃんのお母さんはそのままにしといてあげて。」
「そっか。」
美味しい高級料理を沢山食べている美食家が、美味しい料理を作れるとは限らない。
逆に美味しい高級料理を食べに行ったことはなくても、美味しい料理を作れる人もいる。
そう言うことか。
母からメールが来たら『ポエム』だと思おう。
そう思えばイライラしないし、逆に可愛い。
そしてなっちゃんは別れ際、元気な声で
「ポエマーのおばちゃんによろしくー!!」
と言って去っていった。
ポエマー(笑)
なっちゃん、ありがとう。
私がなっちゃんに渡したのは、職人さん手作りのおろし器だった。
早速おろし器を使ってくれたなっちゃん。
「R(なっちゃんの娘)が作ってくれました。」
「大根おろし、やっばーい!!今までの大根おろしはなんだったんだろう。ふわふわだよ、これ!」
「おろしの世界が変わりました。大根おろし料理を極めたくなったー!」
とLINEをくれた。
そんなに違うのか!?私もふわっふわの大根おろしが食べたい!今度、お揃いのを買おう。
お料理の道具は大切だ。
長く使えるもの。手作りのもの。少し奮発してもいいものを買って、大事に使いたいなと思う。
なっちゃんから又吉の新刊やラジオ情報がLINEで送られてきた。
私はなっちゃんに買い替え検討中のMacBookの相談をする。M1チップで十分か、せっかくならM3にしようか…。なっちゃんは解説画像まで写メして色々教えてくれた。
ありがとう。
そしてお盆休み。
会う前日に、なっちゃんから唐突にURLだけが送られてきた。
そのURLをタップすると、開いた画面は坊ちゃん文学賞募集要項のページだった。
これは…私に書いたら、という提案か?
4,000字やったら書けるかも…。
「私がこれまでにnoteに書いたもの、なっちゃんに読んで添削してほしい。」
そう返信した。
「むくみちゃんいけるとおもってん。私が編集するー!」
noteのURLを送ってほしいと言われ、すぐに送る。
この『すてきな女むてきな女』が遂になっちゃんの目に触れることになる。
その夜なっちゃんは、私が書いたものを一気に読んでくれた。
「まず、お礼です。心から嬉しかった。
むくみちゃんとの時間が活字になってた感動もあるよ。大変でなければ続けてほしいです。」
私も読んでもらえて本当に嬉しい。
どこに着地するかも分からずに書き始めた『すてきな女むてきな女』シリーズ。
なっちゃんに読んでそう言ってももらえただけで十分。
これからまたどんな物語が紡がれていくのか。
それは私達2人にさえも分からない。
そして翌日、なっちゃんとのハセショ会は地元のパスタ屋さんのランチで始まった。(今回は初めて私がお店をセレクトした。)
坊ちゃん文学賞について、この日は話さなければならない事が山のように有ったが、私は職場でのある事件をきっかけに転職を考えている。
注文を済ませると、まずは職場で起こった事件とモヤモヤを聞いてもらう。
と、なっちゃんのスマホに電話がかかってきた。
暑い中スマホを片手に店の外に出たなっちゃんはなかなか帰ってこなかった。
汗だくで戻ってきたなっちゃん。どうやら仕事でトラブルが起こった様子。
保育園を運営するなっちゃん。トラブルがあれば自ら対応に乗り出さなければならず、精神的にも大変だと思う。
雇われの身である私は、何か起こったら謝罪や改善策は考えるが、その全責任を負う立場にはいない。何だかんだ言って気楽なものだ。
背負うものの大きさの違いを改めて実感する。
なっちゃんは私と母に、MARKS&WEBのジェルを買って来てくれた。
塗ると保湿+冷んやりして気持ちいい。ペパーミントの香りが爽やかで気分が晴れやかになる。
もらってから毎朝これを塗って出勤している。
私は可愛い栞を見つけ、なっちゃんとお揃いで使いたい!と思い2つ購入していた。
前回プレゼントを渡し損ねたので、今日は忘れないうちにと早々に渡す。
美味しいパスタを食べ、プレンゼント交換をし、そしていつものようにハセショへと向かった。
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