作品レビュー:スターウォーズEp9

現在上映中のスターウォーズの最終話に関する話です。

※ネタバレも含みますので、
今度観に行くぞ!という方は、
読まない方がよいです。すいません。

〈以下、本文〉

ついにシリーズ最終話となった、
スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け

私は、小学生の頃にエピソード1/2/3が上映されたこともあり、放課後はライトセーバーを振り回すほど熱中していました。

そんな子供の頃のノスタルジーもあってか、
大人になってからエピソード7/8を観ましたが、正直あまりハマらず、「ドンバチやってるだけで、よく分からないな」と思ってしまっていました。

そんな期待値の中で、一応という理由で、
エピソード9を観に行きました。

が、3回くらい泣きました。
妻の家族と観に行っていたのですが、
もう妻の家族ドン引きです。

「こいつ、これで泣くんかい」
「そもそも、こいつら泣くんかい」

泣きますよ。これは。
エピソード9は、本当に素晴らしい。

いつもながら、荒いザッピングシーンがあるので、脚本のツギハギ感はありましたが、スターウォーズシリーズのメッセージをしっかりと形した物語でした。

では、スターウォーズのメッセージとは、
一体なんなのでしょうか。

様々な解釈もあると思いますが、
【意志と絆の力によって闇に打ち勝つ物語】だと、私は考えています。

正直、エピソード9を観るまでは、
宇宙ドンパチ作品と捉えていましたが、上記のメッセージを伝えるヒューマンドラマ作品だと捉えるようになりました。

「知ってらぁ。何をいまさら」

と仰る方もいると思いますが、
ちょっと説明させてください。

【意志と絆の力によって闇に打ち勝つ物語】

本作の主人公は、レイ。
そして、サブ主人公にカイロ・レン。

カイロ・レンは、
ダースベイダーを祖父に持つ一方で、
レジスタンスのリーダーのレイヤ姫とハンソロを両親に持ちます。

つまり、光と闇の両方の血を引いており、
師匠であるルークの訓練の中でこじれてしまい、闇堕ちしてしまった訳です。

しかし、父であるハンソロの殺害後、
レイとのやり取りの中で、段々と心が揺れ動いていきます。

さて、レンに深い影響を与えるレイですが、
その正体は、謎に包まれていました。

「スカイウォーカー家でもないのに、
なぜこんな強大な力を持っているのか?」

私は、エピソード1/2/3の世代であるので、
このレイに納得感というか親近感が持てず、
エピソード8/9にハマれないでいました。

「スターウォーズ=スカイウォーカー家の物語なのに、こいつは一体誰なんだ」と。

しかし、映画の途中で、
レイがチューイを助けるために飛行船に向けて、フォースを使った瞬間、

「なるほどな!!」

と思いました。

ネタバレになりますが、
レイの苗字は、「パルパティーン」

エピソード1から続くラスボスである、
パルパティーン議員の孫なのです。

この持って行き方は、
私には、ド刺さりしました。

要するに、
カイロ・レンよりもずっと深い業を、
レンは背負っていた訳です。

そしてここで、
上述のスターウォーズのテーマを理解しました。

主人公のレイの仲間を考えてみましょう。
・フィンは、元ストームトゥルーパー(敵)
・ポーは、スパイス(麻薬?)の運び屋

それぞれ様々な事情がありますが、
生い立ちに闇を抱えています。

しかし、レジスタンス陣営として、
シス含む闇の勢力と闘います。

彼らは、自分の意志の力で、
闇や暗い生い立ちを跳ね除けていきます。

エピソード9は、
終盤でこのメッセージを畳み掛けてきます。

まず、
元ストーム・トゥルーパーの女性ジャナと
カルリジアン将軍の会話のシーンです。

ジャナが、
「生まれはどこ?」と聞くと、

カルリジアンは、
「ゴールド星系だよ。君は?」と返します。

幼少期に人攫いに遭い
故郷を知らないジャナは、
「いや、どこか分からないの」と答えます。

すると、カルリジアンは、
「いまから見つければいいさ」と伝えます。

地味なシーンですが、
ここは象徴的な場面です。

要するに、
生い立ちなど関係なく、
【自分の心の所在は、自分で決めればいい】
ということなのです。

そして、
最後に本作の主人公のレイが、
アナキンの故郷であるタトゥイーンで、
通りがかりの女性に苗字を聞かれるシーン。

本当は、パルパティーンですが、
レイはこう答えます。

「レイ。レイ・スカイウォーカー」

レイは、
絆を深め合った仲間たちと
逆境を跳ね除けていく中、
特に、カイロ・レンの覚悟を見て、
【自分の心の所在は、自分で決める】
という意志の力に気付いたんだと思います。

闇落ちしたアナキン・スカイウォーカー、
父親を倒したルーク・スカイウォーカー、
そして、スカイウォーカー家の闇を救ったのは、パルパティーン議員の孫という血筋を持つ、レイ・パルパティーン。

光と闇は紙一重ですが、
闇に立ち向かうために何より大事なのは、
【意志と意志によって繋がった仲間】
なのです。

よくスターウォーズでレジスタンスという言葉が出てきますが、それは帝国軍といった勢力に対してだけでなく、自分の心の中に潜む闇に対するレジスタンスでもあるのです。

このテーマを理解したとき、
私はスターウォーズは宇宙ドンパチ映画ではなく、ヒューマンドラマ作品なのだと思いました。

このテーマ、私はもっともだと思います。
というのも、私自身が、闇落ちイベントに何度も遭遇する中で、

「ここで闇落ちしたら、ただの予定調和で、流れに任されて腐ってるだけだ。」

「自分を信じてくれている人もいるし、何より俺はこんな逆境に負ける人間ではいたくないから、跳ね除けてやろう。」

という気持ちに救われてきたからです。

その人の心の所在を決めるのは、
環境ではなく、自分の意志です。

環境のせいにせず、
自分の心の在り方は自分で決める。

そんな大切なことを訴えかけてくれる、
とても共感できる映画でした。

エピソード7/8はちょっと…という方も、
ぜひエピソード9を観てみてください。

シリーズの集大成として、
本当に素晴らしい映画でした。

※スターウォーズEp9のほかに、エブリスタでは、アメリカンビューティーや、東京03のコントを分析していますので、ぜひ併せてお読みください。

▼エブリスタ

https://estar.jp/novels/25570265