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ゴミ出し

御年80歳の未来さんと光里さん。
今日も井戸端会議で盛り上がる。
近くて遠い…未来のお話。

光里「あれ?」
未来「どうしたの?」

光里「今日、火曜日?」
未来「そうよ」

光里「ゴミまとめるの忘れたぁ」
未来「そうなの?午後の回収…
   間に合わないか」

光里「実は、先週も忘れたから溜まっててぇ」
未来「どうして?ポストに入れとかないの?」

光里「昔の癖で、
   ゴミを入れっぱなしにできなくてぇ」
未来「玄関先のゴミポストに、
   入れるだけなのに、なんで?」

光里「実は昔住んでた家が
   ゴミ集積所の隣で、
   前日に出されると家まで臭ったのぉ。
   それが嫌だったから…
   何となく自分もぉ」
未来「それは大変だったわね。
   そういう問題もあって今では、
   各家庭の玄関先に
   ゴミポストが設置されたんだから。
   気にしなくていいのよ」

光里「そうよねぇ。
   でもポストの防臭機能とか心配でぇ。
   近所迷惑になってないかなあって…」
未来「大丈夫よ。
   私の家の前、臭くないでしょ?」

光里「うん」
未来「他の分別ゴミがなければ、
   今日から入れっぱなしでいいのよ」

光里「わかった。そうするぅ」
未来「でも本当に便利になったわね。
   重たいゴミを運ばずに済んで」

光里「うん。みんな言ってた。
   歳を取ったら戸別回収の行政サービスを、
   申し込まないといけないってぇ」
未来「あれも条件があるから、
   審査に落ちることもあるのよ。
   年齢介護認定を受けてるかとか」

光里「頭はハッキリしてるけど、
   足が悪い人もいるよねぇ」
未来「そこも審査員のさじ加減みたいよ。
   まあ今はそれらも一掃されて、
   ゴミトラブルも減って万々歳ばんばんざいね」

光里「うちの自治体も、
   町内会に加入してない人のゴミ出しを、
   断固として認めない!って、
   早朝から集積所が
   ピリピリしてて嫌だったぁ」
未来「そういう人が隣町の集積所や、
   通勤途中のコンビニにゴミ捨てて、
   問題になったりね」

光里「裁判とかもあったよねぇ」
未来「そうね。
   日本は昔から何かとまとめたがるのよ。
   今みたいに欧米スタイルで良いのよ。
   誰がこんなこと決めたのかしら」

光里「あれかなぁ。
   日本の住宅が密集してるからとかぁ?」
未来「まあ確かにそういうのもあるかも。
   回収のために1件ずつ車を停めるには
   間隔が狭いか…。
   それか、地域の協力関係が昔は密接だった…
   とかね」

光里「昔がどうとか言いたくないけどねぇ」
未来「ルールや仕組みは時代に合わせて、
   変えていかなければいけないのよ。
   今までは良かったではダメってことね。
   だから久しぶりに良い対策よ。
   ゴミ回収自動化政策は」

光里「定期的に回収ドローンが巡回してくれるし、
   道端のゴミも回収もしてくれて一石二鳥」
未来「動物の死骸も回収してくれるらしいね。
   私も家から出て直ぐの通りにあった時、
   電話したら持って来て下さいって言われて、
   困ったことあったわ」

光里「うちもそれが嫌なら
   燃えるゴミと一緒に、
   出してくださいってぇ」
未来「まあそれらの問題も
   一挙に解決したから、
   支持率上がったんじゃない?」

光里「そうかぁ。
   でも少し前は歴代最低だったよねぇ?」
未来「それはあれよ。
   自動回収ドローンに、
   人命救助機能を付けようとしたからよ。
   巡回してるし丁度いいと思ったんでしょ。
   そしたら人間をゴミと一緒にするなって、
   猛反発受けて大炎上したからでしょ。
   何でもまとめればいいってもんじゃないのよ」

光里「人は昔から変わんないんだねぇ」

これは未来の話でありフィクションです。
でも30年後はさだかではない…。

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お疲れ様でした。