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高齢者の車の運転に危険を感じている家族が行うべき2つの対策

後部座席から見た車の運転をする男性高齢者


家族の中で高齢なのに車の運転を続ける人がいて困っている方へ


こんにちは。

名古屋で社会保障制度の調査代行をしている社会福祉士の稲山です。

最近始めたことは「弟の結婚祝いを貯めること」です。



高齢者に車の運転を辞めてほしい、運転免許証を返納してもらいたい…だけど「今日も車で出掛けていく」。そんな家族がいる方に読んでほしい記事です。





なぜ、車の運転を辞めてほしいのか


はじめに確認をしておきます。なぜ高齢者に車の運転を辞めてほしいのか。それは、高齢になるにつれ認知症の発症率が高くなり 、事故を起こしやすくなるから。認知症は脳の病気や障害など様々な原因により、認知機能が低下し日常生活全般に支障が出てくる状態をいいます。認知症は「状態」を表す言葉なので、「認知症と診断されていないから大丈夫」なんてことはありません。





今回の狙い所は「免許の取消」です。


免許更新時
免許更新以外の時の方法をお伝えします。





免許の取消方法~免許更新時~


免許の取消方法、免許更新時は「質問票」です。

自動車運転免許更新時の質問票



免許取得時又は更新時には、認知症等の症状に関する「質問票」を提出する必要があります。虚偽の申告をした場合には、「1年以下の懲役または30万円以下の罰金」(道路交通法117条の4)が課せられます。


この質問票、高齢者が適当に書いてしまっては意味がありません。質問票について公安委員会に問い合わせてみました。


Q.
質問票は事前に受け取ることはできますか?

A.質問票は申請書と裏表になっているため、事前にお渡しすることはできません。


Q.本人が質問票を記載する際に、家族が一緒にいてもいいですか?

A.構いません。


Q.質問票の記載内容について「はい」にチェックがついた場合に、個別のヒアリングがあると聞きました。その時に家族は同席してもいいですか?

A.構いません。


質問票は本人の普段の様子を伝えるチャンスです。周りの人が積極的に関わり、このチャンスを活かしましょう。


ちなみに、75歳以上の高齢者が免許更新時に義務づけられている「認知機能検査」は、内容の見直しが行われ厳しくなったとはいえ再受験が可能など、危険な運転をする高齢者が検査をすり抜けてしまうことも多いです。その結果、免許が更新され事故を起こす、ということが後を絶たちません。


危険運転のストッパーとしては、「認知機能検査」よりも「質問票」の方が効果がありそうです。





免許の取消方法~免許更新以外の時~


免許の取り消し方法、免許更新以外の時は、道路交通法101条の6「医師による届出制度」です。

https://www.pref.iwate.jp/kenkei/_res/projects/project_kenkei/_page_/003/000/564/s_ishi_todokede.pdf


認知症等を患っているドライバーを診察した医師は、車の運転に支障があると思われる場合、その旨を公安委員会に届け出ることができるという制度です。


現在の法律では認知症の方は免許の取得・更新はできません。受診をした方が認知症で車の運転をやめなくてはいけないのにやめない場合、医師が届け出をすれば公安委員会がそのドライバーの対応をしてくれます。この制度は、認知症等によって安全に車を運転できないと考えられる方の事故防止を目的としています。


「医師による届出制度」について、公安委員会に問い合わせてみました。


平成25年6月に道路交通法が改正されてできたこの制度は、現在「ほぼ利用されていない」そうです。その理由は、届け出が義務ではなく任意ということもありますが、一番の理由は「知られていない」ことです。


本人が認知症と診断されても車の運転をやめない時は、家族が医師に診断書を書いてもらって公安委員会に提出すれば、それで本人の免許は取消になるそうです。しかしそれでは、診断書作成のお金(文書料、一般的に3,000円~5,000円程度)や提出の手間など、家族の負担が増えます。法律で定められた制度がある以上、まずはその利用を医師に依頼してみてはいかがでしょうか。





結論


家族の中で高齢なのに車の運転を続ける人がいて困っている方へ。

・質問票

・道路交通法101条の6「医師による届出制度」

という二つの方法があります。


本人の気持ちも大切です。「車の運転をやめない」という気持ちも、制度を利用していく中で変わってくることがあるかもしれません。


痛ましい交通事故は、みんなを不幸にします。危ないと分かっているのであれば、すぐに動いてほしいと思います。



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