ウミカゼ突行隊#004 釣りの扉

2015年は正気を失ったかのようにキャンプに行った。
山も森も林道も高原も野原も湖畔も股間も川も海も、あらゆるところにテントを張った。
キャンプをすると近くに川やら海やらがある事が多い。
そこには釣り人が大体いる。そういや同じ魚でも「釣り物の魚」って高いな。それだけうまいんだろうな。

そう、釣り物の魚はおいしい。というのも魚と言うのは網でとるものが多い。しかし網でとると魚は魚同士でもみくちゃになり、酸欠状態で悶絶死する。すると魚の味は落ちる。

魚の美味しさについて(ちょっと小難しい話)

魚は生きているときの生体エネルギーATP(アデノシン三リン酸)が死後ADP(二リン酸)AMP(一リン酸)という過程を経て(IMP)イノシン酸という旨味成分になる。鰹節のような旨味がこれ。
悶絶死した魚というのはこのアデノシン三リン酸からイノシン酸までの変化が急激に行われる。すると旨味成分イノシン酸がうまいことでてこない。
そこで、今流行りの「神経締め」となるわけだ。
神経締めとは、魚の神経をギザギザの針金で搔き出す行為で、これを行うと魚は死後硬直が遅れる。遅れることによりアデノシン三リン酸が旨味に変わるまでの時間を緩やかにすることで、輸送時間や食べるまでの時間で旨味が増えていき、美味しいときに食べることができる。
魚の大きさや保存温度によるが神経締めをすると平均24時間後が食べごろとなる。神経締めをしないと、死後硬直が完了するのが死後2時間程度。

だから、釣りたての魚を食べるなら神経締めをしないほうが美味しいということになる。

また、魚を釣ったら脳みそをナイフや千枚通しで突いて締める。これで魚は脳死状態になり悶絶死しないのだが、脳を破壊してもオイラの経験上15分で脊椎反射が始まり魚がビクビクと暴れだす。すると血が体内に周り美味しくなくなる。なので、大事なのは「血抜き」
魚のエラの胴体側に白い膜があるので、背骨に近いところに切れ目を入れる(大きい魚はエラの胴体側から2枚めを切る)と動脈が切れる。あとはエラを持って海水でフリフリと20秒位振ってやると血はだいたい抜ける。

肴釣り

オイラは大酒飲みだ。将来、金持ちになったら月に1度は湯船に大好きな日本酒をなみなみ入れて、ザブンと入り、酒の肴をツマミながら湯船の酒を手ですくって飲む。あぁ、たまらない。男のロマンだ。
そんな酒飲みのオイラはいつだってうまい酒の肴を探している。西にうまい川魚があれば、塩を片手に酒を飲み、東にうまい魚が揚がればワンカップ大関を片手に出向く。
釣りをするのはもちろん楽しいのだが、一番の目的は旨い酒を呑むための肴。

肴を求めて始まったオイラの釣りライフ。
オイラにとっては魚釣りではなく肴釣りなのだ。

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