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ふたしき
2021年10月31日 22:28
幼き骸骨少年は物憂げにため息をついた。 身にまとうのは布切れひとつ。頭上に広がる曇り空のように、煤けたボロ切れただひとつ。 今はひとり、沼のほとり。切り株に腰掛けている。 沼を満たすのは錆色の泥水。聞こえるのは、ときおり水面に浮き出た空気がたてる、ぼこぼこという音だけ。沼をぐるりと取り囲む立ち枯れた木々も今は、耳を澄まし、口をつぐんでいる。 骸骨少年が沼にたどり着いてから、すでに一昼夜が