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#24 ふたりの新婚

再婚した。3回目の結婚である。

なぜそこまでして結婚するの?

3回目ともなれば友人の反応もユルくなり、「あ、入籍したんだっけ? いつ?」と、後から聞かれることの方が多い。
こちらも似た塩梅で「いつだっけな?」と返す始末である。

そんなノリなのに、何で3回も結婚するのか? と聞かれたら、答えはシンプル。
これまでの2回とも、結婚生活が楽しくて、楽しくて仕方がなかったからだ。

過去の結婚生活は終わりを迎えたが、それはお互いにとって「このまま一緒にいたって、どうしようもないね」という結末だった。
関係が終わることで、双方が幸せになるなら離婚がいい。そんな、選択肢としての離婚だった。だから、次の結婚にも希望が持てたのだ。

ふたりの新婚、異なるバックグラウンド

私にとっては3回目、けれど相手は初婚である。結婚式もハネムーンもやり切った私と、何もかもが「これから」の彼。
それはもう、期待値が違うのではなかろうか。指輪は薔薇の花束と一緒にパカっとやりたいとか(私はもうやった)、ディズニーシーでプロポーズしたいとか(私はもうやった)、セーヌ川で愛を語りたいとか(私はry)言い出さないだろうか?

普通のカップルだって、一度は揉める結婚準備。
これは結婚観の違いで、最初からバッチバチにぶつかり合うのか!?

……という私の不安は、杞憂に終わった。なにせ今回の新婚ふたり、どちらも激務。1日12時間労働は当たり前の世界に生きている私たちにとって、結婚の準備もまた「効率的にこなしていく」以外の道は残されていなかったのだ。

コロナ禍であったこともあり、結婚式は断念。ハネムーンは国内旅行。というわけで、準備の段取りも圧倒的に少なかった。TO DOリストにまとめられた手続きはサクサクと進み、いま私は、加湿器でほっこりした新居で原稿を書いている。

こんなに楽でいいのか?
と思ったとき、気づいた。
こんなに楽でいいのが、普通の結婚なんだよと。

結婚って「生活」だから

結婚って、生活の延長にあるものだ。だから、できるだけ楽に過ごせる相手と結婚するのがいい。と、言うは易しだが、現実は難しい。

なにしろ、私たちの大半は恋愛結婚をしているからだ。

好きな相手には緊張するし、緊張する相手へは気をつかう。恋愛対象の前で尻をボリボリかいて寝ることはできないし、歯を磨かずに寝ることもない。
そんなのは結婚以前に人間として最低限だよ、というツッコミはさておき、好きな相手を前にダラダラするのって、予想以上に難しい。

だから、私は3回目の結婚まで「気を抜く」のに相当時間をかけていたのだ。最終的には化けの皮が剥がれるとはいえ、いきなり「楽」なんてしちゃいけないものだ、と何となく思っていたのである。

それに比べて、夫のリラックスは早かった。
裏起毛のぬくぬくパジャマで、みかんを剥いて食べる夫。
爆睡しながら飼い猫に踏まれている夫。
取り寄せた油そばを愛おしそうに調理する夫。

あっぱれ、見事である。
彼は新婚ながら、普段どおりの生活を手にしていたのであった。
そう、結婚って、生活なのだ。

ふたりの新婚、それは普段どおり

そんなわけで、私達が結婚してからあっという間に1ヶ月が過ぎた。
それでも私たちは、驚くほどリラックスしている。一緒にゴミ捨て場へ出たり、猫と遊んだり。どれも平穏で、単調で、限りなく愛おしい日常だ。

結婚してから、日常に彩りができた。何気ない料理や散歩が、彼と一緒になったから。
これから一緒に歩きたい場所のリストを、Googleスプレッドシートに打ち込んでいく。
そうそう。これだから、結婚はやめられないんだった。

明日もあさっても、日常は続く。
それが私たち、ふたりの新婚。


PAX株式会社 代表/ライター トイアンナさん

「恋愛と就活のプロ」として累計100以上のメディアで執筆するなど幅広い分野で活躍中。 自身の人生観と累計5,000名以上の人生相談を受けた経験に基づく記事の数々は熱い支持を得ている。

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