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400億インプレッション!?“PRの総合格闘技集団”を率いる熊本薫さんのマインドセット

こんにちは、フリーランス広報ユニット「ふたり広報」です。

「ふたり広報」は2022年1月から企業や個人の広報サポートを開始し、このたび、2周年を迎えることができました。そこでチーム発足2周年の記念に、お世話になっている経営者の方や尊敬している広報の方をお招きして「ふたり広報2周年特別対談企画」を開催します。

広報や編集、ライティング、デザインなどに関する悩みは尽きません。本企画では、代表の多葉田愛(@aitabata22)と経営者や広報パーソンが対談。具体的なノウハウやキャリアなど、さまざまな課題解決に役立つ情報をお届けします。

第3弾となる今回お招きしたのは、「BREW株式会社」の取締役・広報PRの熊本薫さん@kaoru_kumamoto)。

広報未経験からスタートし、7ヶ月目の時点で14社もの広報PRを担当されたという経歴をお持ちです。そんな熊本さんは、これまでどのように仕事と向き合ってきたのでしょうか。複数の企業に伴走する上で大切にされている、マインドや価値観についてお伺いしました。

熊本 薫
BREW株式会社取締役・広報PR。2008年USEN入社、ヒトサラ編集部、新規事業「こどものヒトサラ」を立ち上げて編集長に就任。16年4月にand factoryへ初期メンバーとしてジョイン。 働くママ向け情報メディア「ママプラ」を立ち上げ編集長に就任。その後マザーズ上場準備で総務、社内広報を行いながら、ビジネスプロデューサーとして大手企業のプロモーションや調査を実施。東証一部鞍替えのタイミングで社内外の広報。20年4月BREWの創業メンバーとして参画し、現在に至る。
𝕏:https://twitter.com/kaoru_kumamoto

スタートアップのスピード感のなかで、起業家の想いを伝えていく

BREW株式会社プレスリリースより

── 私が最初に熊本さんを拝見したのが、2021年に公開されたPR TIMES MAGAZINEのインタビュー記事でした。当時、熊本さんは未経験から広報担当になり、最初の年ですでに14社ものサポートをされていましたよね。現在は何社ほどサポートされているのですか?

熊本さん:広報チーム全体で25社の広報PRを請け負っています。

── すごい数ですね…!これまでの経験をとおして、熊本さんがあらためて感じるスタートアップ広報の面白さについて教えてください。

熊本さん:スタートアップ広報の大きなミッションは、「起業家の想いを叶えていく」こと。社員ではなくとも、クライアントの“中の人”として一緒に成長を感じながら取り組めるのはとても楽しいです。

何より、広報は裁量権を持って業務を遂行できるので、自分で考えて実行したことがうまくワークしたときにはやりがいを感じますね。特にスタートアップはPDCAをまわすスピードが早い。私にはそれがとても心地よくて。

── そのスピード感や裁量権の大きさによって、未経験から短期間で広報PRのノウハウを蓄積していったのでしょうか。

熊本さん:そうですね。スタートアップに伴走する過程で、事業フェーズごとにさまざまな広報PRが必要だということを知った経験は大きかったと思います。

企業によって最適なアプローチは異なるので、メディアプロモートだけやっていればブランドイメージが確立するわけではないですし、上場を見据えているならプレスリリースも工夫したほうがいい。たくさんの企業に伴走しながら、フェーズに合わせた認知の設計方法をキャッチアップしていきました。

スタートアップは人が少ないので、業務委託でチームをつくることも多いんです。他社で活躍しているPMやマーケなどのみなさんとご一緒するなかで、まわりの方々の仕事のやり方を学んだ経験も、短期間で広報PRとしての知見を養えたポイントだと感じます。

こういった他社のみなさんとコラボレーションができることは、スタートアップ広報の醍醐味でもありますね。

400億インプレッションを叩き出した「圧倒的なメディアキャラバン」

株式会社Greenspoonプレスリリースより

── BREWの広報チームは、強みのひとつとして「圧倒的なメディアキャラバン」を掲げています。ここ最近で特に印象に残っているものはありますか?
※メディアキャラバン…Webやテレビなどのメディアに対して、商品やサービスを直接説明してまわる広報PR活動。

熊本さん:直近だと、スープやサラダに続いて登場した「GREEN  SPOON」のメインディッシュのリリースです。

「GREEN SPOONの歴史の中で1番大きな山をつくる」という目標を掲げ、代表の田邊さんやグローバル企業で活躍する方、SNS担当の方も含めた4人でチームを組みました。

キーワード選定や調査リリース、認知の設計、メディアプロモート資料の作成など、4人でリリース3ヶ月前から徹底的に準備した結果、1ヶ月半で51媒体にも掲載していただいて。SNSなども含めたインプレッション数は、概算ですが、なんと400億を超えていました

── 400億!?そんな数字、なかなか聞いたことがありません…!キービジュアルのハンバーグの写真が印象的で、業界問わずいろいろなところで話題になっていましたよね。

熊本さん:ありがとうございます。ハンバーグと色とりどりの野菜が一緒に入ってる包み焼きの写真は、ありとあらゆるメディアに掲載いただきました。

「ユーザーがリリースを見たときに、最初にどのメニューにふれてほしいか」を考えて、今回は画づくりから始めたんです。検索したときやLPに飛んだとき、公式の印刷物を見たとき、いつどの媒体を見てもハンバーグが写っているキービジュアルが目に入るように、メディアミックスでアプローチしました。
※メディアミックス……幅広い層の認知獲得を目的に、複数のメディアで同じ内容を訴求するPR手法

── GREEN SPOONといえばスムージーや野菜のイメージが強かったのですが、このリリースを見ただけで「メインディッシュもある」というのが視覚的にも伝わってきて、とてもインパクトがありました。

熊本さん:メディアには、「掲載や記事を書く場合は、とにかくすべてハンバーグが写っているキービジュアルを使ってください!」とお伝えしました。最大限できることをやった結果なので、もうやり切ったという感じですね。私1人の力ではなく、チームだからこそ成し得たことだと思います。

BREWの広報チームは総合格闘技集団!?一人ひとりが際立つチームへ

BREW広報 HPより

── GREEN SPOONの広報PRサポートをはじめ、複数のプロジェクトを同時に進めていくために、クライアントとのコミュニケーションで心がけていることはありますか?

熊本さん:BREWでは定期的にクライアントとミーティングをして、双方の認識に相違が生じないようにしています。その際に、ゴール、・進捗・現在の状況・ネクストアクションの4つは毎回必ず確認していますね。認識のズレを防ぐために、誰もが社内の現状や課題、目指す先を想像できるよう、解像度を上げることを心がけています。

── なるほど。それがBREWの広報チームの強みでもあるのでしょうか。

熊本さん:そうですね。立ち上げから企画、実行までを1人で一貫して担当できるところは強みのひとつです。ゼロからすべて1人でやるので、個人的にBREWの広報チームは総合格闘技集団だと思っています(笑)。

あとは、積極的にメディアキャラバンに行くので、その行動量は他社より多いのかなと。

── どのくらいの頻度でメディアや記者のもとを訪問されているんですか?

熊本さん:多いときはチームみんなで月60回ほど。1日喋りっぱなしの日もあります。

── これぞ圧倒的なメディアキャラバンですね。ちなみに、チームとしての目標はどのように立てていますか?

熊本さん:目標のひとつとしてKPIをおいています。売り上げはもちろんのこと、クライアント数や継続率を指標にしています。

チームとして最も大事にすべきは、クライアントに喜んで継続してもらうこと。私たちの取り組みが、クライアントにとって本当に役立っているかどうかはしっかり見ています。

信頼関係が築けていなければ、お客様に喜んで継続していただくのは難しい。だから、まずは私たちがクライアントのファンになって、“推し”部分を丁寧に見つけていくことを大切にしています。

── 最近BREWの広報チームのホームページも立ち上げられましたよね。

熊本さん:そうなんです。今一人ひとりが0から10までできる状態になってきたので、これからは個々の“強み”や“色”を生かせるチームにしていきたい考えていて。

そのためには、一人ひとりの顔が見えたほうがいいので、新しいホームページにはメンバー全員の顔写真を載せました。

理想は、それぞれがバイネームで仕事を依頼されるようになること。「BREWさんにお願いしたい」って言われるのも嬉しいけれど、「〇〇さんにお願いしたい」のほうが絶対嬉しいじゃないですか(笑)。メンバーそれぞれが推しブランド、推しサービスをたくさん持って、それを広げていければいいなと思います。

一方的な売り込みはしない。ギブのマインドを大切に

── 熊本さんが広報の仕事をするうえで、意識していることを教えてください。

熊本さん:いくつか心がけていることはありますが、まずは誠実でいること、嘘をつかないことです

自分が担当する商品やサービスをメディアに紹介してもらいたいと思うと、どうしても「こんないいものがあります!」と一方的に伝えたくなるもの。でも、私たち広報が本当にやるべきは、ネタや企画を提供し、メディアさんと同じ目線で一緒にいいものを広げていくことです。

一方的な売り込みはせず、メディア側の視点を忘れないようにしています。「その商品やサービスをメディアで取り上げる理由はどこにあるんだろう」「この商品やサービスを紹介したら、メディアの読者や視聴者は喜ぶだろうか」と常に考えていますね。

── 広報には、「メディアと一緒に考えること」が求められますよね。私たちが「こういうふうに紹介したい」と決めるよりは、メディアの文脈とすり合わせながら、柔軟性をもって一緒にストーリーを構築していくというか。

熊本さん:まさにそうですね。私は、ギブのマインドを持つようにしていて。

たとえ自分の提案が通らなかったとしても、メディアの方が困っていれば話を聞いて、人をご紹介することもあります。私と絡むことでその人がいい仕事ができるのであれば、直接的な支援ではなくても協力したいので。

そういうマインドで仕事をしているからこそ、メディアへ急に電話しても対応していただけたり、困っているときに相談したらキャラバンをやらせてくれたりする関係性が構築されてきたのかなと思います。

── 徹底的に相手視点で物事を考える姿勢、とても尊敬します。熊本さんは子育てと仕事を両立するママでもありますが、忙しい毎日のなかでメディアの動きやトレンドをどのようにキャッチしていますか?

熊本さん:いつも朝と夜に必ずテレビを見ていて、情報番組や報道番組、NHKなど、いろいろなチャンネルから情報をとっています。朝は5時頃から8時まで、夜は22時から24時まで、ずっと流しっぱなしにしているんです。番組によってトレンドのコーナーがあったり、同じニュースでも切り口が違っていたりするので、参考にしています。

あとは、メディア関係者とはInstagramやXで繋がっていることが多いので、隙間時間にスマホからも情報を入手しています。

未経験でも、想いがあれば助けてくれる人が必ずいる

── 熊本さんのように未経験から広報になりたいと思っている方はたくさんいると思います。未経験から挑戦するために、必要な知識や意識すべきことはありますか?

熊本さん:特にスタートアップだと、マーケティングの知識はあったほうがいいと思います。

起業家の考えていることを真に理解するには、用語だけでなく、特に“経営に対する考え方”の部分もキャッチアップする必要があるので。マーケティングの知識や思考を持っていると、より踏み込んだ話もできますしね。

── なるほど。最後に、未経験から広報に挑戦したいと思っている方へメッセージをお願いします。

熊本さん:やりたいことは、ぜひやってみてください。広報担当者に何より必要なものは、「自分が好きなものを広めたい」という気持ちです。クライアントを好きになって、“推しポイント”をたくさん見つけられているなら、一旦飛び込んでみたらどうでしょうか。

その際に、さまざまなステークホルダーと丁寧なコミュニケーションをとることを大切にしてほしいです。

広報は社内、クライアント、メディアなど、いろいろな方々と関わるポジションですし、起業家が本当に考えていることを汲み取るにはコミュニケーションが必要不可欠なので。知識がなくても、人脈がなくても、動けばなんとかなるし、絶対に助けてくれる人がいるはずです。みなさんが踏み出す一歩を応援しています!

── 心強いお言葉に私自身も励まされました!本日はありがとうございました。

🤝 ふたり広報
企画やデザイン、ライティングなど、様々なスキルを持つフリーランスがチームを組み、広報活動を支援。既存の広報の枠組みにとらわれない“新しい広報のカタチ”をご提案します。
https://futari-kouhou.com/

✍️Marble
インタビュー、編集、広報など、「書く」+αのスキル を混ぜ合わせて、持続的なフリーランスライフを実現するスクール「Marble」を運営しています。
https://marble-school.studio.site/

🎤Interviewer:多葉田愛
✍️Writer:田口愛
📝Editor:おのまり

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