027話:靴木型の設計でタイトにできる所、できない所
今回もマニアックですいません。靴木型の設計において、足の内面・神経に踏み込んだ話です。
足の型を研究する靴職人の方は多くないですが、一定数います。ですが、神経にまで言及する職人さんはごく僅か。
こちらの画像は、産総研の足の触覚感度を検証した結果画像です。
さんざん木型を削ってきたなか、型を正確になぞるべき所と、タイトにできる所がこの画像に相関します。
型を正確になぞるべき所
・足の甲
・親指の先
・小指の先
この箇所は少しの刺激にも敏感に反応し、ずれてしまった時、言い難い痛みが走ることになります。
タイトにできる所
・踵側面
・内側の土踏まず
踵側面は甲にくらべて、感度が鈍感であるため、比較的抵抗なく受け入れることができると思います。
ですが、土踏まず内側は、甲と同じくらい感度が敏感です。にも関わらず、なにゆえにタイトにできるのでしょうか
刺激に対する許容度です。
こちらの研究。(画像オリジナル)では刺激に対する触覚感度について検証していますが、どのくらいまで許容できるかが言及されていません。
私が木型を3桁削って検証してみたところ、土踏まずの許容度は甲にくらべて桁違いに許容度高いです。試しに棒で土踏まずを押すのと、甲骨を押す、同じ力でやってみるとその違いが実感できるかと思います。
どのように削るのか?
踵については、こちらで紹介しましたので、それ以外を簡単に書きます。
まず土踏まず内側を削ります。
さらに、甲骨の内側は削りませんが、外側を削ります。そのことにより土踏まず内側にテンションがかかります。
甲の内側は足の型に正確になぞってください。
そうすることで、踵、踏まずをタイトに押さえ、甲を優しく包み込む木型が削れるはずです。
今となっては載せた木型に合格点を与えることはできませんが、この2012年までの間に、今に通じる原則を抑えられたと思っています。
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