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『旧市町村日誌』32 佐賀から長崎へ 文・写真 仁科勝介(かつお)

12/23(土)曇り

 迷ったものの、作業日とする。おかげで作業もプラス状態になった。ここから崩れないようにすることだ。継続してやることを、やり続けるということ。バランスを乱したら、戻るまですごく時間がかかっちゃうもんなあ。

 

12/24(日)曇り

 旅の再開。旧脊振村は雪が残っていて、驚かされた。同じ佐賀県でも、景色がまったく異なっていた。

 

今日、最もインパクトが強かったのは、佐野常民さんだ。幕末の佐賀藩の近代化に大きく貢献し、明治に入ってからは国づくりを担い、さらには日本赤十字社を創設した。やっていることの幅が広い。そして、人柄がかっこよかったなあ。

 

12/25(月)曇り、雨

 小城市、佐賀市を巡り、少し時間に余裕があったので、知り合いの方に教えてもらったカフェに入ると、置かれてある雑誌や本を読むのが楽しくて、思いのほか長居してしまった。カフェの楽しみ方も、そこにあるよなあ。最近、チェーン店のカフェで作業してばかりだから、あんまりよくないなとも思った。

 

12/26(火)曇り

 白石町と嬉野市を巡る。佐賀県は全国2位の蓮根生産地で、さらに佐賀県の生産量のうち、9割が白石産であると知った。道の駅で、蓮根を求めてごった返す店内に驚かされた。

 

志田焼きの里博物館で、ろくろ師の女性と話をした。焼き物についていろんな話を楽しくしてくれて、最後に「土って生き物ですか?」と尋ねたら、食い気味に「全然生き物です!」と言われて、なんだかそれが嬉しかった。土を成形するとき、土が手よりも先に動くのを待つのだと。土が生き物であることを、わかっておくということが大事だと。

 

嬉野温泉のリーズナブルな旅館に宿泊。シーボルトの湯と合わせて、温泉に2回入った。お肌がつるつるだ。

 

12/27(水)晴れ

 スカッと晴れた朝の青空。いつぶりか思い出せないぐらい久しぶりだ。やっぱり晴れの日は気持ちが軽くなる。

 

武雄温泉に入ることができた。気持ちよかったなあ。ぬる湯とあつ湯の湯船があり、ぬる湯は「43.0℃〜42.0℃」と書かれていて、それはぬるくないでしょと思ったけれど。

 

有田町を巡って、佐賀県の旅が終わった。終わってしまうと名残惜しいものだ。佐賀県ありがとうございました。

 

 

12/28(木)晴れと曇り

 佐世保からフェリーで新上五島町へ。8時出港だが、7時には港が忙しく動いていた。出港後の佐世保の風景は、この景色を見るためだけに船に乗っても良いほど美しかった。

 

新上五島町の5つの旧町を巡るも、島が広くてすべては巡れず。特に最北端の津和崎までの遠さよ。上五島や有川の市街地から若松島へ行くのと、津和崎へ行くのと、どちらもそれほど変わらない距離感だとは思ってもみなかった。

 

津和崎からは野崎島や小値賀島が見えた。五島列島だなあ。

 

12/29(金)晴れ

 宇久島行きの高速船が朝6時40分発で、目が覚めたのが6時5分だったので、ほんとうに焦った。全力で着替えて間に合ってよかった。

 

年末でレンタサイクルの事情がよくわからなかったので、歩いて宇久島を巡る。しかし、10kmほどでだいぶ疲れてしまった。徒歩で旅をしている人にはとにかく頭が下がる。

 

ただ、宇久島に行くことができたことで、五島列島の前半の旅が終わった。年末年始で状況が読みづらかったけれど、無事に訪れることができて良かった。後半はもう一度、福江島と奈留島へ向かおう。



佐世保の街並み

仁科勝介(かつお)
1996年生まれ、岡山県倉敷市出身。広島大学経済学部卒。
2018年3月に市町村一周の旅を始め、
2020年1月に全1741の市町村巡りを達成。
2023年4月から旧市町村一周の旅に出る。


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