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素晴らしきメイゼル夫人

2017年以来、年末はAmazonオリジナルドラマ「マーベラス・ミセス・メイゼル」のいっき見を楽しんでいました。

シーズン4は今年の8月から撮影開始と予告され、今年も年末を楽しみにしていたのですが、アメリカの現状を考えると新シリーズは無理っぽいんだろうな。

このドラマは1950年代のニューヨークに生きるミリアム・“ミッジ”・メイゼルが主人公です。普通の専業主婦だったミッジは、夫の浮気をきっかけにヤケクソでスタンダップコメディの舞台に立ち、抜群の才能を花開かせてしまいます。偏見と差別に満ちた保守的な時代に、華々しい喝采とどん底の挫折を味わいながらミッジがコメディアンの道を歩んでいくコメデイドラマです。

ミッジの存在はフィクションだと思うのですが、時代背景は史実に基づき、彼女の才能を後押しする人物として実在したレニー・ブルースが登場します。歴史ドラマの側面も持つところがミッジの物語をより奥行きのあるものにしています。

キャストも本当に魅力的で、ミッジ役のレイチェル・ブロズナハンは立板に水のように喋る喋る。話芸が見事でファッションもカラフルで可愛い。ケイト・スペードの姪なんだそうです。

ミッジの浮気夫役のマイケル・ゼゲンは『フランシス・ハ』のグレタ・ガーウィグ、『ブルックリン』のシアーシャ・ローナンなど元気に七転八倒しながら生きる女性たちを、ニコニコ面白そうに見つめ愛する役を演じてきた人。このドラマでもミッジの才能に嫉妬しつつ生き生きしているミッジを愛する役なのがたまらないです。

そしてレニー・ブルース役のルーク・カービーがかっこよすぎる…! 
史実を考えるとこのドラマはレニー・ブルースの死がクライマックスになるのではないでしょうか(泣)。レニー・ブルースがミッジの才能を後押しする存在であるだけでなく、ミッジもレニーの才能を勇気づける存在になっていきます。色っぽい2人だけどセックス無し!「最高の笑いの芸を追求する」という固い絆で結ばれているところが熱いです。レニー・ブルースの死を想像するだけでもう涙が…。

ミッジに負けず劣らず魅力的なのが、彼女のマネージャー、スージー役を演じるアレックス・ボースタイン。生まれ育った境遇も考え方も容姿も何もかもまったく違うミッジとスージーも「最高の芸の追求」という絆で固く結ばれています。

性別や環境の垣根を飛び越えて信頼関係を築く、笑いの芸に取り憑かれた人々。みんなそれぞれ全然違う人間同士だからこそ、お互いに力を与える存在になれることを教えてくれるドラマであるところも最高に感動的です。

新シリーズが配信されないのが寂しいので『The Marvelous Mrs. Maisel Cookbook』を買ってみました。ミッジが生まれ育ったユダヤ人家庭の料理や行事のギャグが多出するのもこのドラマの特徴です。ノーラ・エフロンの映画を思い出します。連休はラトケスやブリスケット、バブカなど作ってみようと思います。レシピを見ていたらバブカはなかなかの量のバターを使いますね😅





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